映画

マーケティング重視なキャスティングとは思えない/『破門 ふたりのヤクビョーガミ』

『破門 ふたりのヤクビョーガミ』鑑賞。それにしてもこのクソだっさいタイトルなんとかならんのか…… 原作は個人的に“ナニワのエルロイ”、“ナニワのレナード”と呼んでいる黒川博行の直木賞受賞作。センテンスは短く、セリフはおろか、それ以外も関西弁で書か…

ロバート・アルトマンの映画を観てるような楽しさ『デッドプール』

『デッドプール』をBDで鑑賞。 親に虐待されて育ち、トラブルシューターとして日銭を稼いで生活している主人公の元にコールガールが現われて意気投合。ようやく人生に希望の光が差し込んだのもつかの間、なんと彼は末期ガンと診断されてしまう。そんな彼に「…

“ヒップホップの寓話”『TOKYO TRIBE』

『TOKYO TRIBE』をレンタルDVDで鑑賞。 ウォルター・ヒルが日本で撮った“ヒップホップの寓話”って感じであり、その元々『ストリート・オブ・ファイヤー』が持っていた薄っぺらい部分やダサさも含めておおいに楽しんだ。バトル・ラップ・ミュージカルと銘打っ…

人におすすめされなければ絶対に観てない『超高速!参勤交代』

『超高速!参勤交代』をレンタルDVDで鑑賞。職場の上司と「自分では絶対にレンタルしないけど、人におすすめされて観て、それでいておもしろかったといえる映画を貸す」という遊びをしていて、その人は基本的に映画を観るという行為をあまりする人ではなかっ…

山崎貴の気になる監督とは……『寄生獣 完結編』

『寄生獣 完結編』をレンタルDVDで鑑賞。 『DEATH NOTE』にはじまり、近年、漫画原作の映画は前・後編で二部作になることが多いが、そのなかでもわりと失速せずに前編のいきおいのまま、突っ走ってる部類で、むりやりふたつに分けてる感じがなく、もっといえ…

山崎貴、12年振りの傑作『寄生獣』

『寄生獣』鑑賞。かなり前にテレビで放送されたバージョン。 言わずもがなの超人気漫画の映像化。山崎貴自身原作の大ファンで映像化されるされないの前から自身が所属する特撮会社で勝手にデモ映像を作っており、もし監督できなくてもなんらかの形で関わりた…

演劇のえじき『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド』

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド』をレンタルDVDで鑑賞。いわゆる後編。いいかげんほとんどの人が観てると思うのでネタバレします。 「うそだろ?」と言われるかもしれないがマジでおもしろかった。しかも観た人全員が怒り狂ったで…

越えろ!『パシリム』の壁を!『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』

遅ればせながら『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』をレンタルDVDで鑑賞。いわゆる前編の方。 いきなり言うがおもしろかった。原作は三巻まで読んで飽きてしまったので、すっとんきょうなこと言うかもしれないが、まず、100年前にかつて巨人に襲われた村が、もう…

ダグラス・サークの映画にハズレなし!

以前『天はすべて許し給う』と『心のともしび』については感想を書いたが、急転直下な展開が待ち受ける重厚なメロドラマなので、ダグラス・サークに関してはこの二本でお腹いっぱいになってしまい、他の作品はいいかなーとスルーしていた。ただ、もうひとつ…

アウトレイジ ビヨンドビヨンド『龍三と七人の子分たち』

『龍三と七人の子分たち』をレンタルDVDで鑑賞。 もうさんざ語り尽くされてると思うのでいろいろ割愛するが、すごく興味深い作品だった。主人公はかつてヤクザとしてその界隈では名を馳せたおじいちゃん。息子夫婦、孫と同居しているのだが、息子はヤクザだ…

「うぁんちゃんさぁああ」から「あ、あんちゃん……」へ『そして父になる』

是枝監督の作品があまり好きではないことはわりと前から公言しているのだが『海街diary』があまりによかったので、その前に作られた『そして父になる』をDVDで観た。 いろいろすばらしいところはたくさんあるのだが、なんといっても福山雅治に驚いた。福山雅…

なぜテレビで出来て映画で出来ないのか『エイプリルフールズ』

『エイプリルフールズ』を鑑賞。結構前にテレビで放送したヤツ。最近こんなのばっかりだな。 『リーガル・ハイ』の監督、脚本コンビによる劇場作品ということで、かなり期待していたが、あまり良い評判を聞かず結局スルーしてしまった。おかんが「思ったのと…

人は都合のいいように記憶をねじまげる『白ゆき姫殺人事件』

『白ゆき姫殺人事件』を鑑賞。テレビで放送したヤツ。 Twitterでラーメンのレビューを投稿することを日課とする制作会社のディレクターに、元カノから社内でも美人と評判なOLが陰惨な殺され方をしたという内容の電話がかかる。その人の元でたまたま働いてい…

真実とはえてしてそんなものである『ソロモンの偽証』

『ソロモンの偽証 前篇・事件』と『ソロモンの偽証 後篇・裁判』を鑑賞。前者はテレビ放映で、後者はレンタルBDで観た。 ある学校の一人の生徒が屋上から転落死し、一人の生徒が「これは殺人です」という告発状を出し、そのせいで一人の生徒が疑われた。警察…

ポップな『東京物語』って感じ『海街diary』

是枝監督の「生き死にを商売にしてるように見えるけど、作家性だからしかたないのぉ」という感じが好きじゃないし、少女漫画も片手で数えるくらいしか読んだことがないので、観る気などさらさらなかったのだが、リビングのHDDに入ってたので観た。故に誰が出…

映像化不可能部分とは別に映像化には成功している『イニシエーション・ラブ』

『イニシエーション・ラブ』をレンタルDVDで鑑賞。 Mr.Childrenの曲で「ありふれたLove Story」というのがあるが、まさにそれを地でいく超普通の恋愛の話。87年の静岡が舞台。学生のときに合コンで出会った童貞と処女が付き合うことになるが、社会人になると…

「映画は二回観たほうがいい」なんて言いますが……『裏窓』

ヒッチコックの『裏窓』をちょー久しぶりに観たんですよ。 脚を骨折したカメラマンがひまつぶしに向かいのアパートの部屋をいくつかのぞき見してて、そうしたらそのなかのひとりがどうも奥さんを殺したっぽいなと思って勝手に調査する………まぁこういう話じゃ…

ヒッチコック映画の決定版『北北西に進路を取れ』

『北北西に進路を取れ』を音声解説で鑑賞。 最近「昔観ておもしろかったんだけど、いまひとつ細部を覚えてない名作を見返す」ということをやっていて、その流れで久しぶりに観ようと思ったら、DVDに脚本家の音声解説とメイキングがついていることを今更知り…

この映画のキリストは誰なのか?『インヒアレント・ヴァイス』

「伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう」というラジオ番組がある。第一部で伊集院光が映画好きな有名人に映画をおすすめしてもらい、二週間後に第二部としてその映画の感想を語り合うという特殊な番組だ。スポンサーがツタヤなので、足を運んでもらう…

85年前の不倫/三角関係映画『牝犬』

ワイドショーでベッキーや狩野英考のスキャンダルが話題になっているが、正義の味方面して「不倫は絶対にしてはいけません」とTwitterでいうわりに不倫がこの世からなくならないし(むしろ裁判で一番多いのは男女のこじれた関係のものらしい)、っていうか『昼…

荒唐無稽なスパイ映画を継承するのはオレだ!『キングスマン』

『キングスマン』をBDで鑑賞。 ロンドンでクズ同然の生活を送っていた男の元にスーツを着た英国紳士があらわれ「君のお父さんは伝説のスパイだったのだよ!さあ君もスパイになろうじゃないか!」と言われ、そのまんまスパイになってしまうという映画。スパイ…

例えばこれがラーメン屋だったら……『桐島、部活やめるってよ』

注・相当話題になった映画なので観た人にしか分からない書き方をしています。『桐島、部活やめるってよ』ちょー遅ればせながらBSで放送したヤツを鑑賞。 そのカメラワークや、金曜日が何度もそれぞれのキャラクター目線で映されるなど、基本的には襲撃が起き…

これぞ低予算ホラーの醍醐味『ヴィジット』

『ヴィジット』を鑑賞。 先週、急に5連休になることが決まり、大急ぎで東京行きを決めて、新宿でラーメン凪を喰らったあとに池袋で観た。ホントに急なお誘いだったのにOKしてくださった亘さん、ケロみんさん、チケットの手配等、ありがとうございました。『…

ドラマとアニメを評価するならこっちかと「WATCHA(ウォッチャ)」

以前「Filmarks」という映画レビューを載せまくるアプリを紹介され、今でも楽しく使っているが、また新しいその手のアプリを紹介された。ぼくは簡素なデザインで使いにくかった「鑑賞メーター」を評価しておらず「Filmarks」の方が見た目も良いし、Twitterと…

二時間マジでカーチェイス『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』鑑賞。 公開されたと同時にすさまじい熱量の感想がツイッターに溢れかえった。さらに新しく観た人が前に観た人の感想をリツイートしたりして、TLが「マッドマックスヤバイ」だらけになった。『マッドマックス』でこう…

何度目かの映像革命のひとつ『ミュータント・タートルズ』

『ミュータント・タートルズ』をBDで鑑賞。 見事に直撃世代であり、アニメも実写版も子供のころに繰り返し観て、ゲームも数本プレイしており、かなり思い入れは強い。それは妹もおなじらしく、しっかり映画館で観て、BDも購入していたので、ご相伴にあずかる…

世界の映画がオタクが選んだベスト100の78位『ポイント・ブランク』

『ポイント・ブランク』をDVDで再見。『殺しの分け前』でも『標的にされた男』でもない。 『Cut』という雑誌の「世界の映画オタク10万人が選んだ史上最高の映画ベスト100」特集にて、78位に堂々ランクインしながらも、その100本のなかで唯一存在すら知らなか…

再び高倉健萌え!『ミスター・ベースボール』

『ミスター・ベースボール』鑑賞。BSで放送されたヤツ。高倉健が亡くなってからそこそこ経つのに未だに出演作がこうやって放送されるのがすごいな。もちろん嬉しいけども。 成績不振と素行の悪さにより、アメリカではオファーされず、日本の球団に移籍するこ…

あくまでギャレス・エドワーズ“の”『GODZILLA ゴジラ』

『GODZILLA ゴジラ』をBDで鑑賞。 日本の『ゴジラ』に忠実に描かれているというふれこみながら、間違った日本描写はあいかわらずで、集中して観ていたつもりだったが、置いてけぼりになるような設定もあり、芹沢博士は終始どこにいたのか?とか、アナログで…

そもそも誰もおもしろいと言わない話だった『かぐや姫の物語』

『かぐや姫の物語』鑑賞。TVで放送したヤツ。 今作では余白についてのこだわりを見せ、青空はおろか木々の様子も細かく描かれず、むしろ地面ですら着色が途切れたりしている。あえてそうすることにより、空間を閉じ込めない。逆に広がりを感じてほしいとは監…