デスノート前編

超が付く程のヒット作である原作をほぼ原作通りに映像化。もちろん映画用の展開も見せるので、原作を読んだ人でも入り込め、観る価値は十分。映像から特出すべき点は見当たらないが、その分ウエルメイドに録られており、好感が持てる。見てて違和感がないキャスティングも見事。若干TVドラマでもやれそうな雰囲気だが、金をかけるべきところにかけているので、やはり映画館で見るべき作品だろう。新世代の娯楽作としてはなんの不服もない作品だ。

原作を読んだお客さんに対してどう演出するのか?というところが一番気になったが、監督自身そこまでのプレッシャーは無かった様に思う。実際、忠実に再現しなくてはならない点と素通りしていい点を監督はわかっており、原作で一番スリリングだった“バスジャック”と“ポテチ”のシーンをそれぞれ“動”と“静”で演出した事も評価すべき、原作ありきだと、原作に頼ってしまって、かなり省略して描かれる事が多い。全体的に冒険した部分は少ないが、しっかりと道しるべもなされているので、複雑な内容だが、原作を読んで無い人でも問題なく楽しめるのはさすがだろう。たしかにデスノートのルールが曖昧だったり、どんどん足されたりしてる感はあるが、それが物語に決定的な深みとおもしろさを与えてるのは確かだ。

藤原竜也はかなり完璧なキャスティング。頭が良く、クールで人の事を見下し、目的の為なら手段を選ばない。ちょっと演技が作り込まれた感じがあるが、そもそも役柄がキラというキャラを隠してる演技なので、若干過剰になってもいいかなと。L役の松山ケンイチは最初聞いた時、合わないんじゃないか?と思ったが、映画を見る限りではなんの違和感もないのがすごい。この辺はさすが役者だろう。藤原竜也はどうかわからないが、松山ケンイチはマンガをかなり読み込んだのではないだろうか。あと、かなり勝手ながら鹿賀丈史のイメージが『麻雀放浪記』だったので、ここまで老け役を演じれるのが不思議だった。いや、最近見たばっかりなもんで(笑)これは私しか言わないと思うが(笑)一番再現が懸念されたリュークだが、オールCGという離れ業で完全再現。声は中村獅童。これまた違和感が無い。

後編への続き方はTVドラマのようだ。一番気になる場所で終わってしまう。これならば絶対に後編が見たくなるので、そこが一番の見どころか(笑)