17歳。タイムリープ覚えたて。

時をかける少女 通常版 [DVD]

時をかける少女 通常版 [DVD]

時をかける少女』を鑑賞。アニメ版。

主人公はタイムリープ(時間と空間を飛び越える能力)を使えるようになり、様々なトラブルを回避していく。だが、それで得た物と引き換えに、失う物も増え始める。自分がして来た事を後悔しだす、主人公…そこに衝撃的な事実が…

と、ストーリーを書いたが、ハッキリ言ってストーリーの説明が出来ない。何故ならば『時をかける少女』はものすごい多面体な魅力があり、一言で語れない部分があるからだ。

この手の青春映画を観ると決まって、嘘くさかったり共感出来ない部分が出て来てしまい、その嫌悪感で作品自体の評価をする気にもならなくなったりするが(なんたらを済ませばなんてその良い例であって)『時をかける少女』は青春映画としてだけでなく、恋愛映画としても、SF映画としても一級品で、時間を飛ぶという要素が核になっているから、どのエピソードをメインに持って来ても型くずれしない力強さがある。だからといってそのタイムリープに喰われてないプロットが見事で、それにまったく嘘くさくないちょーナチュラルな言葉使い、起承転結を弁えた展開、全編名台詞なんじゃないかと思うくらいのセリフと高水準なものを+した事が何よりも素晴らしい。

それだけじゃなく、ちょーリアルな美術設定に幻想的なタイムリープのシーンなど映像がおもしろく、時間は飛び越えられないから現実を生きなければならないといった事や、喪失感とか、後悔とか、そういう部分もしっかり出て来て、タイムリープ出来るから、全部都合がいいようにいかないのがいい。恋愛の部分や若さ故に起こしてしまう過ちなども描いてあるから、そういう部分にウソがない。

時をかける少女』が素晴らしいのは、なんといっても演出の簡略化である。タイムリープするシーンは1回だけしっかり描いて、後はコロコロと転げ回るだけで分からせたり、扉を開けると、すでに部屋から飛び出そうとしてたり、一瞬で分からせる演出だらけなので、映画の長さも1時間40分を切ってるという素晴らしさ。もう、無駄に長いだけの映画に飽き飽きしてる私にとってはたまらない映画だった。

後半はもちろん大号泣だったのだけれど、特にしみたのが。

「真琴!前見て走れ!」というセリフ。優しさも、友情も、愛情めいた物も、心配してる雰囲気も全部醸し出してるこのセリフに私は泣けた。これは声優の言い回しもあるだろうが、この一言で主人公に対する想いを知る事が出来るのがいい。

時をかける少女』はすべてのセリフが印象的でどれもが代表的な名台詞になりえるのだが、人によってそれが違うところもおもしろい。という事はいかにすべてのセリフが素晴らしいが分かる。

主題歌もバッチリだし、明確に主張して来ない音楽も完璧、セリフ、展開、映像、キャラ、そのすべてが噛み合い、見事な相乗効果をあげることに成功した『時をかける少女』熱狂的なファンを生んだのも納得の作品だ!