スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ


10時ちょい過ぎに『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』鑑賞。

私は『マトリックス』や『キル・ビル』など、自分の好きな物を寄せ集めたような映画が大好きで、特に『キル・ビル』に至っては、映画館に行き、DVDを発売日に買い、それを1日で3回も観るほどハマってしまった。

『スキヤキ・ウエスタン』もぶっちゃけそういう類いのバカ映画なんだろうと思っていた。『キル・ビル』も脚本はダメ、演出はダメ、アクションはウーピン師匠が振り付けたとは思えないほどだけど、全シーンが「わかる!わかる!」と共感したくなるほどツボで、何よりも全シーンに取り込まれた映画への愛が伝わり、泣きそうにもなった。悪意あるパクりでなく、愛あるパクりである。

スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』というタイトル通り、『続・荒野の用心棒』にオマージュを捧げられる映画なんかなぁと(原題がジャンゴなので)元ネタを見てない私としては非常に悔しい思いなのだが、まぁ人よりも西部劇見てるし、マカロニからのもじりだから、血しぶきも復讐もあるんだろうと、様々な妄想をしていざ鑑賞。

結果…微妙…

『スキヤキ・ウエスタン』はまず脚本が壊滅的に悪いギャグは寒い、展開は悪い、ストーリーは無い、となんとも中途半端な印象である。それだけでなく演出も微妙で、一人一人のキャラに過剰な演出を施しすぎて、テンポが悪過ぎる。似た様なもんとしてやっぱり『キル・ビル』が出てくるんだけど、『キル・ビル』の場合は「ストーリーとか関係無く、オレの好きなもんをつめこんでやるぅぅ」というかっこよさがあった。『スキヤキ・ウエスタン』はそういうかっこよさよりも、妙に普通の映画にしてやろうというのがあり、そこで、テンションが下がってしまった。セリフで説明出来る部分もわざわざ映像にして撮ってるしね。

でも、気になったのはそれくらいで、冒頭とクライマックスはやっぱりさすが三池監督。

冒頭のタランティーノのくだりは明らかにセット丸出しのバックが鈴木清順を思わせ、そこに血しぶきが飛び散るなど最高。スキヤキの中にカメラが入っていって、焼き豆腐の焦げがタイトルになってるなど凝っている。

マカロニの世界観を踏襲した展開やガドリングガンの登場など、いかにもな引用もニヤリで、クレーンを使った街を見下ろすショットや超が付くほどのクローズアップとレオーネも出て来てよかった。栗田豊通による撮影は完璧と言っていいくらいで、場面場面にあわせて色彩を変えるなど非常に凝っている。木村佳乃の演技や安藤政信の無理矢理感もなかなかで、特に桃井かおりのかっこよさは今まで彼女が出て来た作品の中でも最高なのではないかと、

さらに伊藤英明。なんで伊藤英明なんかなぁと思ったら、『殺しは静かにやってくる』のジャン・ルイ・トランティニアンにそっくりなんですねぇ!

最後村に雪が降ってきて、そこで戦うんだけど、もう『殺しは静かにやってくる』のオープニングに似てるんだよ、それは意識したのか、偶然だったのかは分からないんだけど、伊藤英明バッチリだった。衣装や美術に金をかけるなど、金の使い方も完璧、音楽も北島三郎が最高(これジャンゴのカバーらしいですよ)

確かに完成度は低いし、中盤はちょい退屈するけど、バカみたいな純愛映画がヒットする中で、こういういかにもなバカ映画を日本から発信するのが嬉しいじゃないですか、

とりあえず、こういう映画をたくさん公開してほしいので観てね!