カナデフウビの翔に電話して「頑張れ」と言っておいた。どしゃ降りの中、ツタヤまで必死こいてチャリを漕ぎ、立ち読みやら、マックで飯喰うやらして、LOTSへ、プロミストランドというイベントに行くためだ。
翔とかもよく『今の新潟のバンドはマジでレベル高い』と言ってたが、実際私自身も音源を聞いた事がなく、PIECE4LINEとカナデフウビくらいしか知らなかった。
オクウラミカと飲んだ時に『絶対にプロミストランドに来て欲しいです!』と言われ、さらにPIECE4LINEの直也殿からも『ライブで見て欲しいんで来て下さい!』と直訴されたので、こりゃマジで行かなきゃだろと重い腰を上げてみた。
プロミストランドとは新潟出身&新潟で活躍するミュージシャン6組によるイベントで、今まで2回行なわれており、前回はLOTSをソールドアウトにしたイベントである。結構、PIECE4LINE以外にも噂は聞くバンドが多かったのだが、いやぁ凄まじいイベントでしたな。
まず、ホントにレベルが高い。音も演奏もプロ並み、いやプロ以上だ。実際、プロでもBUMPやらGO!GO!7188などライブがヘタなバンドは多々居るが、さすがコンテスト荒らしのバンドや業界に注目されてるバンドばかりなので、そのクオリティたるやハンパじゃなかった。
オープニングとして小村方駿という人が弾き語りをしてた。ギターがめちゃうまっ!ギターは山崎まさよしとスガシカオを組み合わせたようで、音の響きがおもしろかった。
avex a-nationのオープニングアクトを努めたLyri&songはすごく音がよかった。多分、1発目というのもあったが、1番音がよかった気はする。演奏うまっ!って思ったが、やっぱりフロントマンに軽いカリスマ性があって、そこが人を惹き付けるんだと思った。アイドルみたいだったしね。『ナイトライダー』という曲とthe pillowsの『LAST DINOSAUR』のアルペジオをサビメロにしたみたいな曲がよかった。
オクウラミカが大好きだというNine innocent materialは、いわゆるリンキンパークとかエヴァネッセンスを彷彿とさせるへヴィロックですごく音が厚くこれまた圧倒された。ハーフの女の子がボーカルをやってるから、ホントに洋楽に聞こえる。実際アメリカのバンドのオープニングアクトもしてるほどだし。このバンドはボーカルの存在がでかく。彼女なくしては成立しないと言ってもだろう。あの音にあのボーカルパフォーマンスが重なるから、それが音楽的な違和感として美しく加速する。最後にやった『エスケープ』という曲かな?あれがめちゃかっこよかった。あの曲はCDで欲しい。
PIECE4LINEはまず音の変化に驚く。あきらかに洋楽指向というか、ナンバガ等を彷彿とさせる高音ギターはなくなってて、バンドサウンドがビルドアップしてた。一発目にキラーチューンの『ブランコ』を持って来たが、まるで楽曲自体が筋トレをしたかのような感じだった。実際最初『ブランコ』だと思わなかったし。ものすごい音の歪みと音の重さで、洋楽の様な音になってたが、間違いなく前よりもかっこよくなってる。あまりに歪みすぎて、『約束の唄』や『エタニティグラビティ』は濁った印象になってたが、最後2曲は新境地とも言える楽曲で、PIECE4LINEが目指す方向性が分かった。もし、あれで行くならば、ホントに日本からとんでもないバンドが登場する事になりそうだ。ギターロックの括りから脱出するだろうし、洋楽っぽいし、PIECE4LINEという独自性もあったし。
MYSTRENGTH88は洋楽とストレイテナーを噛み砕いたような音楽性で、かなり人気があるらしく会場も沸いてた。10代とは思えない演奏力と楽曲の洗練さには驚いたし、なんと言ってもボーカルの女の子に人を引き付ける力がある。特にストレイテナーの『TRAIN』を下敷きにしたような曲はポップでよかった。メロにインパクトがなかったように感じたが、あれくらいの方が洋楽っぽくてウケるのかも。
feeble bank strokeは目当てのPIECE4LINE以外で一番良かった。元々、feeble bank strokeのフロントマンはPIECE4LINEのギターをやってて、それでいろいろ噂は聞いてたが、今までいろんなバンドを聞いて来た私自身が驚くくらい衝撃的なバンドだった。スリーピースのバンドで、聞く人によっては「音に厚みの無いBUMP」とかなるんだろうが、私にとってfeeble bank strokeはそれまでのスリーピースの概念を打ち破られるくらい衝撃的で、楽曲、演奏、メンバーの佇まい、パフォーマンス、ギターの音、すべてが完璧で、1発でファンになってしまった。というか、自分でもなんでここまで誉めれるのか不思議なくらいのハマり方。けなす所がなく、すべてがツボだったのだ。
スリーピースは音のスカスカ感を利用してアレンジメントを考えたり、それとは別にスリーピースである事を感じさせない様な、逆に言うと4人でやれよ!とツッコミたくなるバンドがある。前者はロストインタイムだったり音速ラインだったり、後者はレミオロメンとかGO!GO!7188とかが居たりする。feeble bank strokeはそのどちらにも属さない特異なバンドである。
まず、彼らの音楽は4人でやるべき音楽だ楽曲の幅はかなり広いが、それがスネオヘアーみたいに振り子の端と端くらいデカい幅でなく、どちらかというと、前後左右に少しずつ揺れてる印象がある。だからギターのアレンジメントも含め、普通なら4人くらいで演奏しなければ楽曲が持つ世界観を伝えきれない。BUMPなんかは楽曲が洗練されすぎてるので、ライブでは6人くらいで演奏しなければならなかったりする。そういう意味でバンドの人数編成というのはとても重要だ。
ところがfeeble bank strokeは4人でやるべき音楽を3人で演奏し、それにまったく無理を感じない。むしろ、4人でやるべき楽曲を3人で違和感無く演奏してるその事が最大の魅力。4人から1人抜けて、今の編成になったらしいが、私的にはそれは大正解だったようにも思える。これが4人でやってたら、普通の一般的なギターロックバンドになってしまう。3人でやってる事の違和感が、音楽的には最高の違和感であり、それが最高の武器となり個性になるのだ。
やってるスタンスという意味ではアシッドマンやストレイテナーに近いのだろうが、音楽的にはまったく違う位置にいるので、そう言った意味でも私には衝撃的だったのかもしれない。
ライブも無理に笑いを取ろうとしてスベったり、だらだらとトークをしてライブの温度を下げてしまうバンドが多い中で、feeble bank strokeはとてもストイックに勝負してた。楽曲の持つ世界観だけで十分に圧倒された。正直、客を湧かせるような華のあるバンドではないが、演奏する3人の立ち振る舞いも含め、ライブで見るべきバンドだと思うし、あれくらいストイックな方が私の様な人間には華になり得る。
今回初めて聴いたが、演奏した楽曲はどれもかっこよく、特にPIECE4LINE時代の『星の砂』は原作者であるプライド感じさせる演奏だった。間違いなくこちらの方がいい。○○っぽいというバンドも多い中でfeeble bank strokeの音楽は独特だ。しいて言えばBUMPっぽさがあり、実際『リトルブレイバー』と『ロストマン』を足した様な曲もあった。でも、それすらも3人で演奏してるから、その演奏力が魅力になる。
ライブが終わりすぐにフロントマンであるサトウカズヤと話した。というか実は軽い面識が(笑)
向こうも私に気づいて『あー!あー!』となったが、開口一番『正直、PIECE4LINE目当てで来たけど、それ以外では1番良かった!マジでカッコ良かった』という事だけ伝えておいた。私は彼に『4人にするつもりないの?』と聞いた。彼は『ああ、1人入れたいんですけどねぇ』と言ってた。もちろん上記の理由で好きになった私は『絶対にスリーピースで行くべき!』と勝手な意見を押し付けて来た(笑)バンドというのは転がっていく物だし、誰かのアドバイスで4人になるかもしれない、でもfeeble bank strokeはそうなったとしても独自の音楽を作っていけるだろう。がんばってほしいものだ。
トリを努めたのはカナデフウビ。なんかやかましいおばさんがいるなぁと思ったら翔のおかんだった。向こうも『なんであんたがいるぅーん!私の声でわかったろぉ』とか言うくらいだったし(笑)バンド編成は初めて見たが、かっこよかった。パフォーマンスという意味では一番魅せてた気はする。実際お客さんもかなり湧いてたし、MCでも笑いをバンバンとってたしね。
「パチンコの曲!」と言って、ダムズのCM曲をやったが、その時の客の湧き方がハンパじゃなかった。やっぱりCMをやってるというのはでかいなぁ、あれは1番キャッチーやね。Aメロは『スターフィッシュ』だけど(笑)
11時近くまでライブ会場に居た、打ち上げに行こうかなと思ったが、どうやら関係者だけらしい、しゅん。