やっぱり『狼よさらば』的な復讐映画は好きだ。

9時にCDを返して、そのまんま映画館へ行き『ブレイブワン』鑑賞。

まず最初に言っておくが、私は映画の中で「この世に死んでいい人間なんていない!」というようなセリフが出ると、反吐が出そうになり、ものすごく嫌悪する。私の中にそんないい子ぶるような思想などは存在しない。というか、私は昔からそういう子供だった。もうホントに世の中のゴミどもを一斉に掃除してくれないかなと思っていた。

だから『デスペラード』でスティーブ・ブシェーミが「そいつらは生きてる価値もないくそったれだ、死んで当然だったと思うよ」と言うセリフには心底感動した。『デスペラード』を見たのは映画にハマる前だったが、かなり強烈なワンパンチとして、今でも大好きな映画である。

その後に私は、私自身の内面を覗かれたような『タクシードライバー』という映画に出会う。『タクシードライバー』のトラヴィスはまさに私で、今でもストレス発散ムービーとしてお世話になっている。トラヴィスが議員を乗せた時に『水洗トイレのようにこの街をキレイにして欲しい』というのは私の思想にピッタリだった。

私は常日頃そういう事を思ってるだけで、別に実行してるわけではない。だから頭がおかしいとか言われる筋合いもないし、むしろそれこそ一般的な価値観として親の前でも平気で言う。誰しもが、街にいるチンピラに嫌悪感を覚え、しっかり区別して生きているのだから。

そこまで前フリをしてから言わせていただくが、ジョディフォスターの『ブレイブワン』は、

まさに私のためにあるような映画で、私のような人間にとっては最高の一言しか出ない作品だ。

完全に『狼よさらば』を下敷きにしているが(というかリメイクと言ってもいいだろう)とにもかくにも最高だった。自分の婚約者が殺されて、事務的にしか処理しない警察に怒りを覚えた主人公が、生き続けるため、そして復讐のために、街のドチンピラどもを銃で撃ちまくる!!!!

ニール・ジョーダンは70年代には良くあった、一般的な倫理観を揺さぶる映画を丁寧に抑えた演出で作り上げていく。奇を衒った演出は一切無く、淡々とリアルに乾ききった映像で紡いでいく。その設定やプロットだけでなく、演出的にも『狼よさらば』に忠実だ。冒頭の暴漢に襲われるシーンは実に生々しく、ベッドシーンも添え物になっていない。銃を手にしてから初めて殺しをするシーンなんかは『タクシードライバー』を意識していて、さらに鏡に向かって、話す所も一緒だ。この辺は両方を観ている人ならばニヤリとするだろう。銃を手に入れるプロセスや警官は役立たずという『狼よさらば』では重要だった部分もほぼすっ飛ばして、街のチンピラをガンガン撃ち、さらに刑事と友情を育む映画にしたのも正解だと言える。

若干音楽がうるさく感じたし、ラジオのDJという設定よりもただの主婦くらいの方がインパクトがある気はするが、ラストの展開から衝撃の結末も含めて、すべてが私のツボを付いていた。好きじゃない人も多いと思うが、最高である。

これでラストが説教臭かったりすると、もう怒りまくるところだけど、これはそういうのがないのもいい。チンピラが現れて、銃を突きつけて脅せばいいのに、それもやらずにいきなりズドン(主人公は脅すだけでもよかったんじゃないか?と自問自答する)というところも気に入った。

確かに『狼よさらば』ほどのインパクトはないし、もっともっと倫理観を揺さぶる様な設定にしてもいいと思ったが、生温い映画がたくさん公開されてる中でこれくらいの強烈な映画があってもいいだろう。万人にお勧め出来ないけど、私は買いますよ、この映画。