きっと来年の今頃にはすっかり忘れてんだろうけど『ナンバー23』おもしろかった

フェリーニの『道』を観ようと思ったのだが、その後仕事があるのに、泣ける映画を観ておこうという気分にはなれなかったので、急遽修正してシューマッカーの『ナンバー23』を観る事にする。R-15だからきっとエロくて残虐だと勝手に想像してね、やっぱり仕事前は気分を高揚させないと。沈んでから仕事はいかんからね。

23という数字に取り付かれて行く男の話らしいが、正直、何かに取り付かれる男の話というのは好きで、ダーレン・アロノフスキーの『π』とか、最近でもフィンチャーの『ゾディアック』とか、もっというとスピルバーグの『未知との遭遇』とか、現実に居たら困るけど、映画の中だとすごくスリリングになる。でも映画の主題とまではいかないけど、そういう取り付かれ系のキャラが出て来る映画って多いね。主人公がそういうキチ○イ的なのって、理由は分からないんだけど、すごく引き込まれる。

さて『ナンバー23』だが、まずジム・キャリーってなんでこういう映画に出ようとするんだ?ジャッキーが青山真治の映画に出てるくらいの違和感があるんだよなぁ、『エターナル・サンシャイン』なんかもそうだけど、どう考えてもジム・キャリー以外に適役居るんだよ。オーディションとかで探そうと思えばいくらでも探せる気はする。ジム・キャリーって自分のお家芸を封印してたまに映画に出るけど、キミにそんなもんは求めてないからね!だからショーン・コネリーとかイーストウッドはすごいよなぁ、それぞれのお家芸から抜け出してちゃんとそれぞれのポジション築いてるもんなぁ。イーストウッドに至っては監督として傑作残してるしね、『荒野のストレンジャー』とか『許されざる者』とか、あと意外に好きなのが『ルーキー』っていう映画。チャーリー・シーンが新人刑事で、ラウル・ジュリアが確か悪役してて…あ、書いてて、話が脱線しはじめた!!!

話を戻すとして、『ナンバー23』

つっこみどころ満載だけど、2時間はあっという間な作品。

まずタイトルバックが恐ろしくかっこいい!!!!あれだけかっこいいタイトルバックは『セブン』か『フレディVSジェイソン』以来だろう。アメリカ映画というのはタイトルバックをデザインする人が別に居て、それだけで食ってけるくらい需要があるのだが、PVと一緒で、出だし1発でその映画をイメージ付けるので、どれだけ引き付けられるのかが勝負になるが、この『ナンバー23』になると、タイトルバックが完璧過ぎて、本編の中で1番印象に残ってしまった(笑)

もちろんタイトルバックは1番素晴しかったのだけれど、映像はさすがシューマッカーで、本を読んでて、そのイメージをワンカットで表現するシーンが前半にあるのだが、ヒッチコックかウェルズがCGを使えたら、恐らくああいう映像になるだろうというくらい素晴しく。フィンチャーデ・パルマ(デ・パルマの場合はCGがある前に映像に凝ってたけど)に負けじと凝りまくっている。

窓ガラスを貫通したり、おとぎ話のような雰囲気になったり、もちろんCGも使ってるし、途中でジム・キャリーのクローズアップが差し込まれてしまって、長回しにはならないんだけど(というか、あのワンカットは意味ないと思う)あのシーンはホントに鳥肌立った。あのシーンってシューマッカーが考えたんだろうか、気になる。

あ、ストーリーの事に言及してなかった。主人公が誕生日に妻と待ち合わせて、んで、遅れてくる。妻は古本屋で時間つぶしにある本を手に取る。それがナンバー23という本。主人公は本に興味ない人間なのだが、その後の誕生日パーティーでアウェイ感を感じ、その本を読み出す。すると、その本の物語は、主人公の人生をなぞってるかのようにシンクロし、そこに世の中は23だらけだという言葉が…

まず、この物語には軸が2つあり、1つは23という数字に取り付かれてる主人公で、もう1つはナンバー23という本が主人公の人生をなぞっているというところだ。これは取り方1つになるんだけど、2つの軸を盛り込んでるのが素晴しいという人と、どっちか1つに絞れよという人がいそうだ。

私は正直23に取り付かれてるという部分とオチが結びつかず、ちょっと?マークが点灯した。確かに『SAW』や最近の『パーフェクト・ストレンジャー』もそうなのだが、物語の骨格や出だし、企画は素晴しいのに、オチが微妙なため、作品の印象が悪くなるというのが多々ある。『ナンバー23』もそのタイプだ。『ナンバー23』はものすごく引き込まれるし、すごく先が気になる主人公は何故あそこまで23という数字に取り付かれるのか理由が分からない。それが描かれてないからだ(オチでちらっと説明はあるが)だが、そんな事はどうでもいいとばかりに次第に家族まで23に取り付かれ出して、あまり事件も起こらないのに、結構引き込まれる。

なんだけども、オチがオチなだけに、印象が急速に悪くなり、後半でガクッと来てしまった。さらにその理由が全部ネタバレだから、書くのもなかなか難しい。

ここからネタバレ↓マウスでドラッグしてください。携帯の人は観れませんので飛ばしてねん。


まず、あの物語を書いたのまでは分かる。だが、その後、誰が出版までこぎ着け、誰が読んで、誰があの古本屋に売ったのだろう。ぶっちゃけここはあの物語の肝だ。確かに映画の中でそういうのはどうでもいいが、あの医者か?さらに記憶喪失になって、あの施設で育ったのならば、物語を読んでたら、自分の過去とか分からんでしょう。記憶ないんだから、都合がいい部分だけ消去?だから奥さんとね13年前に出会ってる時点で、奥さんもあそこから出てきてるとこ観てるんだから、多少なりとも過去に何があったかは予測出来るんですがね。しかもあの医者も宅急便受け取る時にジムキャリーの事についてなんもいわなかったがな、知ってるくせに、


ネタバレ終了

まぁ、これまたヒマならば観て下さいって感じかなぁ。1番いいのはラスト付近で劇場を出る事。オチはイマイチなので、あえて謎のまま映画を見終わるというのも1番ドキドキしていいかもよん。超級のカスだった『パーフェクト・ストレンジャー』や『プレステージ』よりは全然いいです。

これから仕事。船越英一郎さんが来る予定だったんだけど、過労でキャンセルだって、過労って!