やっぱりロメロの『ゾンビ』

15時頃『ゾンビ』鑑賞。

スマイルBEST ゾンビ ディレクターズカット版 [DVD]

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私にとって『ゾンビ』は本当の本当に衝撃作。最初は『ゾンビ』って!って思ったんだけど、観始めてからグイグイ引き込まれて、こんなにおもしろ過ぎる映画があっていいのかという感じになり、観た瞬間から私のベスト作となった。始まってからノンストップで何度観ても新たな発見があり、それこそ『ブレードランナー』のようにいろんな要素が複雑に絡まり合って、その世界を形成してるという映画だ。

まず『ゾンビ』は娯楽映画として底無しにおもしろい。全編これ見せ場。ハラハラするシーン、泣けるシーン、興奮するシーンがスピーディーに山ほど出て来る。哲学的なセリフに凝った名シーン、緩急織り交ぜた見事な展開、けなすところなど1つも見当たらない。

その前に『ゾンビ』ってのは1つにテーマを括れないくらい、多面体な魅力がある。まず、「現世で戦争とかあって、この世は地獄よりも地獄になってるから、地獄が死者で満杯なら、そのまま現世に死者を送っても問題ないだろ?みんな死ね死ね!」

っていう世界観。ベトナム戦争がその思想を反映してるって言われてるんだけども、キリスト的な要素もあるらしくて、そのへんはまったく不勉強。それでも、そういう側面がある事は見て取れる。

それだけじゃなくて、スーパーマーケットってのは資本主義を象徴するもんで、その場所を人間同士が奪い合うでしょ。でも、ゾンビ達は人間を襲って、ゾンビ同士が襲い合う事はない。これって社会主義とか共産主義なわけよね。当時はまだ共産主義がきっと未来的な価値観として根付いてたわけで、資本主義側の人間は争い合って、共産主義側のゾンビは争い合わないってところもすごく深いと言うか。なんつったって、共産主義ってのは人種も宗教も越えると言われてたらしいですから、でも、ゾンビ達は考える力がないって設定されてますよね?だからもしかしたら共産主義というのは人間を奴隷化するっていうのをすでに予言してたような映画としても観れるわけです。この辺は哲学でどっちが正しいとか無いんだけど、確実にこちら側に問いかけてくる。それぞれのいい部分と悪い部分を対極化して、人間とゾンビにしてる。

ちょっと、なんて書いていいかわからんくなって、まとめらんなくなったけど、つまり『ゾンビ』ってのは『ブレードランナー』同様に深過ぎる映画だって事。掘っても掘っても魅力は尽きない。実際、黒人と白人と妊婦と警察とマスコミと人種も職種も様々な人間が出て来るし、ゾンビはいろんな殺され方するし、とにもかくにも素晴しい映画なんだな。

んで、今回、すげぇ久しぶりに観るわけなんだが、42インチのプラズマで観たわけですよ。そしたらやっぱり大画面で『ゾンビ』を観るってのは本当に至福だと思ったね。マジで涙を流しながらゾンビを撃ち殺すシーンはホントに名場面だよ。あと、銃を撃ってる場所に行って短いカットで武器を手にするシーンがあるけど、あれは間違いなく『コマンドー』に受け継がれてるね。やっぱり今回見直して魅力を再発見した。

私が持ってるDVDは画質も悪いし、音もモノラル。これも『ブレラン』同様にBOXかなんかで出して欲しい。切に願う。