クリスマスに『シャイニング』を観る


15時頃『シャイニング』鑑賞。クリスマスに観る映画と言えば『ダイ・ハード』か『素晴らしき哉、人生』であり。特に前者はあの人気ドラマ『フレンズ』でも『おい!ダイ・ハードを観ながらビール飲むって約束だろ』というセリフがあるくらい。アメリカではクリスマスに観るモノとして定番になっている。

だが、私はデートとして、ホラー映画を2人で観るというのがたまらなく好きであり、まだホラー映画が怖くて観れなかった時はよくデートと称してホラー映画を観たもんだった。『ドーン・オブ・ザ・デッド』とか『フレディVSジェイソン』とか『回路』とか、特に『回路』の恐怖の概念は“人間ってのは所詮繋がり合えず、孤独に死んでいく”という部分であり、ドキドキ感を求めてレンタルした私は、その傑作っぷりに打ちのめされ、当時の彼女はぽかーんとしてたなんて事もあった。

まぁ、その前にどこに連れて行ったら女の子は喜ぶのかというのを分かってなかったりもするんだけどな!

んで、私にはささやかな夢としてクリスマスにデートで『シャイニング』を観るというのがあり、よくテレビでもハニカミプランとか言って、砂浜に名前を書くだとか、脳天を斧でぶっ叩きたくなる事をやっておりますが、そんなクソプランなんかよりも、私にとっては肌をつんざくような冬の寒い日に2人で毛布に包まりながら、手を繋いで『シャイニング』を観る方がよほど重要なのであります(もっと言えば、閉鎖されたホテルの中で観たい)

昔、爆笑おすピー問題という番組の中で映画の特集をやってね、テーマに沿って映画を選んでいくんだけど、その中のテーマで「イヴの夜に好きな人と一緒に観たい映画」っていうのがあって、『ローマの休日』とか『男と女』とか『愛と哀しみの果て』とか『タイタニック』とか選ばれたんだけど、爆笑問題の田中だけ『シャイニング』を選んでて、すごく気持ちがわかったんだよね。(ちなみに太田は『カイロの紫のバラ』を選んでいて、それはそれで素敵)

ホラー映画の中でも私はとにかく『シャイニング』が大好きで、冬の間閉鎖されるだたっぴろいホテル+家族を養わなきゃいけないプレッシャー+孤独+子供の肩を脱臼させてしまう狂気+心霊現象+妄想+なんの役にもたたない超能力+ジャックニコルソンよりも怖い顔のシェリーデュバル+子供殺しと何やら怖い要素がてんこ盛りだけでなく、映像の美しさもあいまって、ホントにホラー映画の最高峰。もちろんキューブリックの中でも好きな部類に入る。

人物描写の欠片もないドラマ、最初から狂ってるニコルソンとマイナスもあるがなんつっても、ステディカムの使い方が見事で、あの移動撮影はやっぱり何度観ても感動するし、『ロボコップ』や『ダイ・ハード』を観れば、その後の影響も大なのである。

クリスマスに高級ディナーを楽しむ?いやいや、私らしくもない。イルミネーションを見ながら散歩?いやいや、外は寒い。ラブホテルに1泊?うん、それはおおいにアリなのだが、だいたい、クリスマスだのイヴだので、にぎわってる街並を闊歩するというのは、人ごみを見ると全員をマシンガンで撃ち殺したくなる私にとっては堪え難い。

それだったら、部屋の中で『シャイニング』を観てた方がオレっぽいし、そっちの方がたまらなくイベントっぽい気もする。

なんつったって、クリスマスに何が欲しいと聞かれて、

『『トランスフォーマー』の変形するDVDか、再発売されたディレクターズカット版の『ゾンビ』がいい!』って言ったら、

『この現実主義者め!選ぶ楽しみがないだろ!』と言われた私だから←実話。

んで、まぁ、今日、そのささやかな夢を実現したわけで。やっぱし『シャイニング』ってのは凄まじく素晴しい映画だと言う事ですわな。

おもしろかったのが真っ先に出た感想。


「ねぇ、あの奥さんの顔こわすぎ!」


やっぱり感性が似てるのか…レドラムも237号室もいいアイテムだったようですな。

あとね、誰もがつっこんだであろう、あれだけ準備万端で行ったハロラン氏がすぐぶっ殺されるところね。あれには怖いとか通り越してウケてたよ。あと、カティンカティンになるジャックもね(笑)

んでね、今回『シャイニング』観て思ったんだけど、これってDVDだと2時間20分もあるのね!『シャイニング』って2時間以内の映画で、なんちゃらかんちゃらバージョンってのが多分公開された時のヤツで、それが2時間以内のヤツなんだけど、DVDで出てるヤツはもう2時間20分になってて、ちょっと長く感じるんだわね。

だからと言って、どこがどう増えたのか、2時間以内のヤツを観た事ない私にとっては分からん!
ぶっちゃけた話『シャイニング』って2時間切ってる方がいいと思うんですよ、確かにね、全部に伏線張ってるし、長くなりやすい脚本なんだけど、1つの事実を知るシーンにしろ、リアルにしてる分、妙に長いし、でもどうなんだろう

おすぎは「『シャイニング』ってのは残念な事にかなり切られちゃって、丸々無くなったシーンもいくつかあるから、DVDで観るのが1番良い」って言ってたけどね。今度はそのなんちゃらかんちゃらバージョンを見たいと思います。

今回久しぶりに観て思った事はやっぱし映像がクールという事ですね。『バリーリンドン』は戦争の横移動と殴り合いのシーン以外は静止画と言ってもいいくらい、1枚の絵にこだわってるんだけど、もともと『突撃』がそうであったように、キューブリックってのはトラックバック&アップを駆使して、映像に奥行きを出すのが好きなんですなぁ。『シャイニング』は多分、それの究極でしょう。冒頭のシーンはそのまんま『アイズワイドシャット』だし、斧を持ってジャックが歩くシーンとかになると、なんか、ロングショットにして、あり得ない位置から、カメラをぐーっと動かしてる。あれはセット撮影だから出来た事でもあるんだろうけど、あの映像の感じはきっと『オールド・ボーイ』の長回し格闘にも少なからず影響を与えてるんじゃないかしら。

「オレはこの『シャイニング』って映画がすげぇ好きなんだよね」って言ったら、

「なんでこんな映画がそんなに好きなの?」みたいな顔されたよーだ。まぁ、とにもかくにも、今日は私的に素敵なクリスマスでありました。