デビルズ・リジェクトはやっぱり最高だ!

飯を喰らったところで『デビルズ・リジェクト』鑑賞。3回目の鑑賞となる。よく映画の話をする時に『ホステル』は結構みんな見ていて、ヒデキチも社会人さんもオレがオススメする前に見てたりするのだが、何故か『デビルズ・リジェクト』は見ておらず、「なんで『ホステル』見てるくせに『デビルズ・リジェクト』は観てないんだよ!」と言いたくもなるのだが、まぁ、それはさておいて、

私は『デビルズ・リジェクト』が大好きで、ホントにホントに傑作だと思う。ロード・ムービーであり、殺戮映画でもあり、ホラーでもあり、サスペンスでもあり、復讐劇でもあり、銃撃戦も、血しぶきも、強烈なバイオレンスもある。

んで、評価されてる所では評価されてるのだけれど、ほとんど知られておらず、とてもとても残念だ。読んでないが、映画秘宝でもかなりプッシュされてたらしいので、それは嬉しい限りなのだが、『デビルズ・リジェクト』を全国で上映しないでどうする!と憤慨してたのはきっと私だけではあるまい。

『デビルズ・リジェクト』は様々な映画がぶちこまれた作品だが、タランティーノのようにこれ見よがしなもんはなく、その映画達のスピリットを脈々と受け継いでるだけで、映画自体は完全なオリジナルテイストに溢れている。基本的に空気感はアメリカンニューシネマなのだが、『デビルズ・リジェクト』の中には、『ワイルド・バンチ』『ゲッタウェイ』『バニシング・ポイント』『俺たちに明日はない』『悪魔のいけにえ』『時計じかけのオレンジ』『タクシードライバー』などがぶち込まれていて、これらが好きな人にとってはたまらない作品であり、むしろ『キル・ビル』のように、『デビルズ・リジェクト』を観れば、70年代の映画を味わえるから、それだけで満足という人も多いと思うのである。

上記の映画に共通するものは何か?それはロクデナシの極悪人が主人公であるという事だ。『ワイルド・バンチ』や『俺たちに明日はない』などは主人公達が平気で人をぶっ殺すような極悪人であるが、どちらも主人公達が魅力的に描かれており、特に『ワイルド・バンチ』に至っては男泣き必至の作品となっている。今では両方とも映画史に残る傑作となっているが、当時はかなり非難された。

そして『タクシードライバー』や『時計じかけのオレンジ』は善と悪の構造やその倫理観をぶち壊す映画だという事。一体何が正しくて、何が悪いのか?という事を根底から揺さぶったのがこの作品達だ。『時計じかけのオレンジ』はバイオレンスシーンが飛び切りカッコ良く描かれているため、いくつかの暴力事件を誘発したが、それはキューブリックが意図的にした演出だった事は有名である。

さて『デビルズ・リジェクト』である。

『デビルズ・リジェクト』はこれらの映画のテーマを1時間40分の中に見事盛り込んだ作品で、それらの映画を凌駕するほどの衝撃、感動がある事は私が言うまでもないわけなのだが、まず、『デビルズ・リジェクト』の主人公達は恐らく映画史上最も最強の極悪人だ。いや、もっと極悪なヤツらは映画の中に居ると思うのだが、ここ近年でそういう映画も鳴りを潜めていた事は否めない。主人公一家は総出で快楽のために人殺しをし、その数や残忍性はとてつもない。

ところが、一家に身内を殺された保安官に追われる事から、映画のテーマはどんどん違う方向に加速していく。それが『タクシードライバー』や『時計じかけのオレンジ』と一緒で善と悪に対する倫理観の崩壊だ。

『デビルズ・リジェクト』は『ワイルド・バンチ』のクライマックスのようなシーンから始まる。もっというと、『ガントレット』とか『明日に向って撃て!』とかもそうかもしれない。警察に完全包囲された殺人一家だが、降伏する事なく、ファックを言いまくって、撃ち合いになる。このワンパンチから一気に引き込まれるが、ここから逃げる事に成功した兄弟の逃避行により、映画はロードムービーの体制をとり始める。ところが、映画は真っすぐ進まない。『悪魔のいけにえ』になったり、それこそ『フロム・ダスク・ティル・ドーン』になったり、『ペーパームーン』になったりと、様々な表情を見せる。変態殺人一家の話だが、時にユーモアもあったりする。胸くそ悪くなるくらい残忍なシーンもあるし、主人公達に共感出来るどころか、むしろ反感を買うくらいの演出も徹底しており、どのように観たらいいのか分からなくなってしまう。ところが、ところがである。後半に行くに連れ、主人公達の逃避行にハラハラし、ラストには泣きそうになる自分がいた(というか、泣いた男達も多かったはずだ!)家族愛、生き様、体制に逆らうとはどういう事なのか?これが『デビルズ・リジェクト』のすごさ、素晴しさである。これはアメリカンニューシネマにはよくある展開だが、ここまで徹底して突き詰めたのは『デビルズ・リジェクト』だけだろう。

もちろん音楽や車、役者陣、撮影などすべてが最高である。こんなに最高なのにも関わらず観てるヤツが少ないというのはどういう事だ!?こら!みんなのシネマレビューでも4人しかレビューを書いてないぞ!ボケ!

とにもかくにも、こんなクソ感想文を読んでるくらいなら、とっととビデオ1にでも行って借りて来い!と言いたい傑作。『恋空』とかで泣くヤツは信用ならんが、『デビルズ・リジェクト』で泣いたってヤツとは親友になれる自信があるぞ!

あー!ちょー最高!今回初めて字幕版で見たが、やっぱりファック、ファック言ってる映画はいいと思うのであった。