『28週後…』

ワーナー南に行き『28週間後…』鑑賞。

今までこの世は地獄よりも地獄だ!って映画はたくさん観て来たつもりだけど、この『28週間後…』は『28日後…』の続編という言葉だけでは片付けられない、


そこには阿鼻叫喚しかない究極の地獄映画だ!


ある田舎の家に立てこもってる人々が居て、そこに子供が逃げ込んで来て、その子供をゾンビが追って来たのでいきなり冒頭から、息つく暇もなく人が死ぬ!感染する!ゾンビになる!超スピードで力強いゾンビに噛まれると素早く感染し、その感染の早さによって、人が死ぬ!死ぬ!死ぬ!ハードに死ぬ!感情移入のヒマもなく超スピードでどんどんゾンビになって、さらに人が死ぬ!死ぬ!死ぬ!助かって、28週間経って、再建し始めて、一通りの人となりを説明したら、また感染者が出て来て、タイレルの目玉潰しがあって、猛スピードで感染して、人が死ぬ!死ぬ!死ぬ!死ぬ!脳天打ち抜かれて死ぬ!死ぬ!死ぬ!死ぬ!んで人とゾンビの区別がつかなくなったので、○○○して、感染者の数を増やさないために○○から○○ー○を投入して、その後生き延びるんだけど、○○○にゾンビと間違われるので、そこからも逃げて!逃げて!逃げまくる!んで、最終的に○○の○○○○でゾンビをハードにみな殺した後、○○で○○○○○から逃げて、んで救いようもなく終わる。

というシンプルかつパワフルなゾンビ映画。2時間あっという間。ノドからからになる事必至の作品だ。

というよりも前半が超傑作で、後半部分にはツッコミどころが山盛りという『28日後…』のいい部分だけを凝縮し、前作を越えるハードな殺戮を加えたのが、この『28週間後…』になる。

ロバート・カーライルという有名人を使う事で後半にはプロットにひと捻りの工夫があるし、めまぐるしいごちゃごちゃの手持ちカメラと高速のカット割りは好き嫌い別れそうだが、個人的にはリアリティがあって、迫力が出て好きだ。走るゾンビは嫌われてるが、これは走るゾンビでなければここまでの恐怖にはならないだろう。

『28日後…』は結構評価が低かったが私にとって衝撃的な作品で、『ゾンビ』とか『死霊のはらわた』よりも先に観たゾンビ映画だけに感銘深いものがあった。まぁ、私のゾンビ初体験はゲームの『バイオハザード』とか『ハウス・オブ・ザ・デッド』なんだが。

さて、『28週間後…』に話を戻そう。

なんつっても『28週間後…』はハードな殺戮シーンが満載で、それが芸術的にも思えて来るという徹底ぶり、しかもそのシーンの詳細を書いてしまうと、それがネタバレになってしまうってんだから困り者。ネタバレにはならないだろうが、一切情報を入れて観なかった私はあの強烈なシーンに驚きまくったし。

この手の映画が徹底して描かれるようになったのは『プライベートライアン』と『宇宙戦争』からだと思うし、実際、スピルバーグが『ミュンヘン』でトドメを刺したかなと思ったが、『アポカリプト』と『パンズ・ラビリンス』と『300』など、新世代の「現実は地獄映画」は出て来た。これらの作品は実際に評価も高く、スピルバーグの残酷描写シンドロームは打破してると思う。んで、『28週間後…』はそれらの作品とは方向性が違う地獄映画。いや、地獄映画ではない阿鼻叫喚映画である。

すさまじいシーンが3つあって、それは先ほども書いた通りネタバレになるのだけれど、その3つのシーンだけでも『28週間後…』は偉大だ。まさに阿鼻叫喚。この世の地獄。実際、そのシーンになると、軍の司令部は全員一言も発さなくなるくらいの地獄描写。まさに救いなし。というか、あのシーンを通過したら否が応でも傑作になり得るはずである。

宇宙戦争』や『アポカリプト』『300』には救いや希望があったが、この『28週間後…』にはそれがまったくない。これに希望など一切見出せない。まさに新世代のゾンビ映画。とにもかくにも人間は無力、そして虫けらのように死んでいくだけの生き物だという映画だ。

『28日後…』は無人のロンドンをDVで映し、そこに全力失踪で力が恐ろしく強いゾンビが出て来た事が新しかったが、『28週間後…』はその設定を見事に活かし、物語に組み込んで、すさまじい恐怖を生んでいる。さらに『28日後…』にもあったが、ゾンビ映画の定型である、スーパーの物をかっさらって、それを食べて安堵するシーンもない。もちろん、もう誰も居なくなったからといってセックスもしない。とにもかくにも『28週間後…』は感染して、人という人がゾンビになりまくるだけという潔い映画。『アイ・アム・レジェンド』『AVP2』と人類滅亡映画が年末から新年にかけて公開されたが、両方とももう忘れた!この『28週間後…』はヒットしてないみたいだが、どっちも足下にも及ばないんだよ!あういぇ。