『300』の音声解説

300<スリーハンドレッド>特別版(2枚組) [DVD]

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リビングのクソでかいテレビで『300』を鑑賞。初めて音声解説で観る。

いやぁ、やっぱり大きい画面で観る『300』は格別だ。やっぱりこうやって観ても私は傑作だと思う。何度も言ってるが『300』は原作から得たインスピレーションが圧倒的で、それをワンカットワンカット再現するだけじゃなく、ザック・スナイダーのビジョンが見事に融合してる。それにしても3000円というのはなんとかして欲しかったなぁ、まぁ買ったけど(笑)

実際、音声解説で観ると、「ここは原作にはない」とか「ここは原作と一緒」とか、ワンシーンワンシーンを細かく解説していたので、分かりやすかった。『300』は2つの何もないセットで撮られていて、1つは60メートルくらいのステージ。これはレオニダスが住む中庭以外の外の風景に使われていて、麦畑のカットも、崖から落ちていくカットも、同じところで撮られてる。んで、もう1つがバトルステージと呼ばれてるもの。こちらはその名の通り、戦闘シーンに使われた。最初にレオニダスが皆殺しにするシーンは横からのワンショットで撮ってるが、ここもカメラを3台置いて、引きと寄りと中間の距離にカメラを置き、それぞれを編集で繋げている。だから、あれだけの動きの中でカメラが寄ったり、離れたり、瞬時に出来るというわけだ。

個人的に1番好きなシーンである、アスティノスともう1人のヤツ(名前わからん)が、360度カメラがグルグル回る中で、バッサバサと斬りまくるシーン。ここは完全に2人の立ち回りをカメラで捉えていて、驚く。さらにこの中で腕が飛んだり、脚が飛んだり、血がスローで飛んだりするのだから、なお驚く(もちろんCGだお)監督自身「ここの殺戮シーンは最高だね、この映画の醍醐味だよ」と語っていたが、それは私も同感だ。『マトリックス』の方法論で切り株と血しぶきが出る、肉体的なアクションを求めてた者にとって、このシーンはホントに素晴しい。このシーンだけでも、見続ける事が出来るはずである。

360度見渡せる広さのスタジオで撮られたらしく、ここはアクション監督の演出がすごいのだろうが、私が『300』こそ革新的な映画であると思うのは、まさにこのアクションシーンなのだ。今までいろんなアクションシーンを観て来たけど、このシーンはホントに見事。360度カメラが猛スピードで回りながら、スローモーションと通常スピードを組み合わせ、さらに激しいアクションをするというのは『マトリックスリローテッド』の100人カンフーが最初だと思うが、2人が寄って「背後の守りだ」というセリフ以外の2つのカットはかなり長いワンテイク。しかも、2人のアクションを同時に撮っていて、それが絶妙に絡み合ってるのがすごい。ここの撮影は絶対に時間がかかったはずなのだが、それを『マトリックス』のようにこれ見よがしにやってないのも素晴しい。

『300』は生涯のベスト作である『バリーリンドン』や『ウエスタン』と一緒で、ワンカット、ワンカット凝りまくってるのに娯楽性豊かであるところも素晴しいが、このご時世にウソ無くいろんなモノを出してるのもいい。今冷静になって観ると『300』にはとんでもないもんがゴロゴロ出て来る。私は大好物なのだけれど、世間的には不健全だと言われるものだ。

首チョンパ

血しぶき

手足の切り株

崖から落ちる象

目に槍がブッ刺さるサイ

ラリって踊る裸の女

ハンセン病みたいなおっさん

死体の山で壁作り

フリークス

ハーレム

セックス

これらを超絶に凝りまくったワンカットと激しい肉体アクションで包み込んだ『300』は今思えば、

私の理想に最も近い作品なのかもしれない。

アポカリプト』『300』『パンズ・ラビリンス』『プラネット・テラー』みたいな作品がこれからもどんどん生まれますよーに。あと、ペンギンな!ペンギンが出まくる映画を作れ!ぐあー!!!!