リアル鬼ごっこ

リアル鬼ごっこ』鑑賞。全国に佐藤さんが増えすぎたため、同じ名字が気に入らないという王様の命令により、王様はゲームを開始、佐藤さんは鬼から逃げなければならない。捕まったら死んでしまう。

この無茶な設定により、ボロカスに叩かれた原作は私の妹もかなり酷評してて、私は読んでない。

でも映画版『リアル鬼ごっこ悪くないよ!正直「肉体の躍動=アクション」という意味では、SABU監督以来、久々に突っ走るだけの映画だし、スタントアクションとしては、無茶なカット割りで細切れにする事はなく、CGを使ってるシーンもあるが「鬼から逃げる」という単純な設定がアクション自体もシンプルにしていて、久々にこの手のアクション(当たり前っちゃ当たり前だけど、カンフーはなかった)を観て感動した。走るシーン1つとっても、手持ちカメラだったり、緩やかなカメラだったり、視覚的にも飽きさせない。

R-15でもないのにしっかりと切り株残酷描写もあって、

雷が落ちて焼けこげる人間!

上半身から身体が真っ二つ!

レーザー光線でバラバラ!

へんなワイヤーで手も脚もバラバラ!

ビルの屋上から人間がドシャっと落ちる!

とにもかくにも人間がただの肉の塊になる!

という演出も少しではあるが、ちゃんと映像にして見せてる。

冒頭で全国の佐藤さんが怪死するシーンは黒沢清だったらもっと上手く撮ってると思うが、それでも不気味な感じは出てるし、空撮を使ったり、人を上手く使ったり、街を上手く使ったりして、ハッキリ言って、この手の映画(恋空、ネガチェン、NANA)の中では1番の好感触なんじゃないかと。

原作を読んでないから分からないが、「人間はいつまでも自分勝手だから他者と関わる事なく孤独に死ぬ」という部分も少し出て来るし、鬼ごっこに対して、不条理だ意味わかんねーって主人公は言うが、これだって、昔はそういう不条理な事が間違ったマジョリティによって当たり前になってたんだというメッセージもある。

ただもちろん悪い部分も多々ある。

これやっぱり設定自体が良くない。ハッキリ言ってこのメッセージやこのアクションはまったく別なもんに変えれる。もちろん『リアル鬼ごっこ』というブランドにあやかりたい気持ちも分からなくはないが、映画自体はけっこういい線行ってるんで、もっと設定を変えてもよかったように思う。なんつったって、ホントに無茶苦茶だからね、ご都合主義で無理矢理感ありまくりのストーリーだし。いや、無茶でもいいんだけどね、なんか細かいところで辻褄あわせしすぎてるっていうか、『CUBE』とか『バトルロワイヤル』みたいに全然不条理なままで突っ走っていいはずなんだよ。説明的なシーンもクソ多いし、セリフもそんなの絶対に言わないよ!ってヤツばっかりだし、

まぁ、でも、結構楽しめた。『スケバン刑事』もそうだけど、こういう映画が増えなきゃダメよ。