ゴーストワールド


帰って『ゴーストワールド』鑑賞。

学校でも浮いてるような普通とは違う価値観のイーニドと、どちらかと言うと一般的な思想を持つレベッカは、高校を卒業したら2人で暮らす約束をしていた。レベッカは卒業してコーヒーショップで働くが、イーニドは職探しもせず、毎日自由気ままに暮らしている。そんな2人がたまたま出会い系広告に名前を載せていた男をいたずらでダイナーに呼び出す。最初は冗談で後をつけてた2人だが、イーニドは彼がブルースのレコードのコレクターだと知り惹かれる。ところがレベッカはそのレコードコレクターを「キモオタ」と罵り、忌み嫌う。そのズレは次第に2人の関係にも影響が出始め…

ゴーストワールド』には様々な要素が入っている。ハッキリ言ってこれ!という説明が出来ない映画だ。ティーンエイジャーの不安や思想、社会に対する不満、大人にならなければいけない事の辛さ、不安定な気持ち、現実、恋愛、価値観、思想、芸術、資本主義…

原作は『ライ麦畑でつかまえて』を引き合いに出され絶賛されたらしいが、映画も同様だ。『スタンド・バイ・ミー』や『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』のような繊細な描写も随所にある。『ゴーストワールド』はそういう繊細な要素の他にホップカルチャーの引用、現代的なセリフ回し、そしてオタクと女子高生の恋愛がギッチリと2時間に詰め込まれてる…

そう!これはオレのための映画だ!

そしてこれは『トゥルー・ロマンス』『バッファロー'66』に並ぶ男の夢だ!さらに『ゴーストワールド』は夢物語で終わってなくて、現実を突きつけられる。

社会に適応出来ないイーニドが喋ってる事や思ってる事は基本的に私が思ってる事なので、『ゴーストワールド』を観れば、私という人が分かるのだが、そのイーニドが惹かれるレコードコレクターの男も実は私と同じような人格で、服なんて着れればいいや、と思ってるし、飯も食えればなんだっていい。酒もビールをこよなく愛し、自分が良いと思った事を他人に押し付けてしまう。

イーニドはそんなレコードオタクをクールだと思い、自分のヒーローだという。後半は…私の実体験と重なって、涙なしでは観られない!!!つーか、実際ああなるっつーの!!!

脚本はかなり完成度が高く。ウエルメイドな映像と美術、衣装が完璧な仕事っぷり!ゾーラ・バーチ、スカーレット・ヨハンソンスティーブ・ブシェーミと演者も絶好調!

ゴーストワールド』は、既成の価値観にNOと言いつつも答えを見つけられないボンクラのための映画だ!

必見!あういぇ!