『ワイルド・パーティー』を音声解説付きで観る

『ワイルド・パーティー』をロジャー・エバートの解説付きで鑑賞。まんだむさんが最近日記で書いてたし、また観たくなったので。

ロジャーエバートの音声解説で全部観たのは初めてだったんだけど、『ウエスタン』しかり『ガルシアの首』しかり評論家の人の解説つきはおもしろい。だって2時間の間にこのシーンがこうだとかここはこういう意味があるとか言い続けるんだもん。

『ワイルド・パーティー』は人生のベスト10に入れるほど好きだけど、やっぱり奥深い映画だったんだなという事がロジャーエバートの解説でわかった。ラス・メイヤーはめまぐるしいカット割りで映画を構築する。これはMTV的な編集の先駆けなんだけど、ラス・メイヤーに出て来る役者はだいたい素人なので演技が出来ない。んで、長く映すとボロが出るから、それを防ぐためにパッパパッパとカットを割ると。

さらに『ワイルド・パーティー』はパンフォーカスを使っている。パンフォーカスというのはすべてのピントが合ってる映画の撮影テクニックで、『市民ケーン』で初めて登場したテクニックだが、確かにZマンの部屋を映す時すべてのピントがあってる。さらに天井が高いのでまさに『市民ケーン』のそれのようだ。もっと言うと『ワイルド・パーティー』はストレートに『市民ケーン』のオマージュシーンがあって、『市民ケーン』の時と同じカット割り、同じトリックで撮ったシーンがある。ロジャーエバートは「映画を観てもどうやって撮ったのか分からないので、こういう事だろうと予測してやった。後で調べたらオーソンウェルズも同じ手法で撮ってた」と語っていた。

『ワイルド・パーティー』が『市民ケーン』に影響を受けてるとは意外だったが、確かに『ワイルド・パーティー』に影響を受けた『ファントム・オブ・パラダイス』にも『市民ケーン』のパロディがあるからなぁ。意外なところで映画ってのはつながってるものだ。

オーソン・ウェルズはパンフォーカスをダイナミックに使ってるが、ラス・メイヤーは基本的にカットが瞬きする間に変わるので、ホントに一瞬で気付きにくい(笑)

というか、すいませんここまで書いておいてなんなんですが、パンフォーカスってどうするの?(笑)すべてにピントを合わせるってそんなに難しいんでしょうか?よくデ・パルマの映画にもあるけど、手前に立ってる人物がクローズアップでその奥に居る人物にもピントが合ってるってありますよね?『デス・プルーフ』でも使ってましたし、『リベリオン』にも出てきますが、あれはパンフォーカスなんでしょうかねぇ。ちなみに『リベリオン』は音声解説で監督自身が「これはデ・パルマでよくあるヤツだ。非常にクールだが、意外と手間がかかる」と言ってた。

基本的に映画の事について言及するくせに、その実映画の撮影技法の事はなんもわかってないわけです。あういぇ。