『嵐を呼ぶドラゴン』と『怒れるドラゴン』

仕事終わりで『嵐を呼ぶドラゴン』鑑賞。『嵐を呼ぶドラゴン』という邦題は『嵐を呼ぶ男』にあやかったものなのだろうか?まぁ、それはいいとして、映画はやっぱりおもしろかった。

ショウブラのカンフー映画キングレコードからクソ素晴しい画質になって出てるが、これはホントにグッジョブと言わざるを得ない。実際、今、デジタルリマスターがどーのこーのって感じでたくさん出てるが、このショウブラの画質には全然追いついてない。アメリカでショウブラのカンフー映画は人気らしいが、その関係なのだろうか?

『嵐を呼ぶドラゴン』は血みどろ復讐劇のマエストロであるチャン・チェ監督作品。男同士の友情、義理、肉体の躍動を撮り続け、ジョン・ウーにも影響を与えた監督だ。『嵐を呼ぶドラゴン』にはこれらが全部詰め込まれていて、やはりおもしろい。個人的にショウブラのカンフー映画は大好きなのだが、改めてそれを思い知らされた。チャン・チェ監督の作品は数多く観てるわけではないが、『新・片腕必殺剣』が衝撃的で、『続・嵐を呼ぶドラゴン』も、ものすごく素晴しかった。

『嵐を呼ぶドラゴン』はそれほど血が出るわけでもなく、アレクサンダー・フー・シェンのさわやかさもあって、かなりまっとうなカンフー映画になっている。血なまぐさいシーンになると画面が真っ赤になるという、鈴木清順のような演出をしているが、それに影響を受けたかどうかは不明。アレクサンダー・フー・シェンはとにかくイケメンだ。かっこいい。28歳で亡くなったというのが信じられない。他の作品も観たいなぁ。

その後『怒れるドラゴン 不死身の四天王』鑑賞。ジミー・ウォング監督・主演作で、あのカム・カンも出てる。

怒れるドラゴン 不死身の四天王 [DVD]

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これはちょーおもしれぇ!マジで傑作だと思う!

冒頭のカット割りはジミー・ウォングらしい撮り方で、ワイドに捉えたり、突然アップにしたり、香港ズームもあったりで、見事なバリエーション。下から煽ってレンズフレアも取り入れて、妙なオーラを出したり、長く回したかと思うと、短いカットを畳み掛けたり、ユニークな撮り方を率先して取り入れている。街中を悪人が闊歩するシーンのスローモーションは絶対に『キル・ビル』に影響を与えてるし、クライマックスに4人のスターが並んで歩いて行くカットは『ワイルドバンチ』を彷彿とさせる。

香港映画と言えば師匠を殺されて、復讐に行くというのがお決まりだが、主演してる4人が当時の大スターという事もあって、それぞれの見せ場を1つ1つ用意しなければならない、ところがそれが盛り込まれた事でプロットは複雑になり、1時間20分をストーリーで見せ切る事にも成功している。『リオ・ブラボー』のような負け犬の復活や泣かせるラブストーリーもあるし、娯楽度も満点。『吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー』や『片腕ドラゴン』も傑作だが、『不死身の四天王』も文句無しの傑作。あういぇ。