アンドロメダ…

ロバート・ワイズの『アンドロメダ…』鑑賞。何の情報もなく観たのだが…これが素晴しい!

公開されてから近いが、タルコフスキーの『惑星ソラリス』にも似てる。底冷えするような終末感、人の死という事がここまで恐いんだという突き放した演出、全体的に静寂が映画を包み、何が起こるかまったく予測がつかないという淡々とした展開。何かが起こっていて、それを徐々に調べていき、解明を急ぐというリアルさ、細部まで丁寧に描いた描写が圧倒的なリアリティを与えていて、画面を直接タッチするというタッチスクリーンや電子顕微鏡なんかは、今当たり前にあるので、そういった機械の描写が“いかにもSFしてますよ”という風にならないので、リアルに感じられる。

謎の病原菌が地球を襲うというストーリーだが、冒頭で人がバカスカ死んでるところも、全部現地を調べにいった人の無線で表現するなど、あえて、見えない恐怖にこだわったのはさすが『たたり』のロバート・ワイズ監督。死体だらけの街を探してるシーンで、人の死体を1人、1人、カットを短くし、スプリットスクリーンで同時に見せるという凝りに凝った演出も観られる。

さらに映像テクニックがこれでもか!と詰め込まれ、まったく古さを感じさせない。スプリットスクリーン(この場合はマルチスクリーンと呼ぶべきか?)、オーバーラップ、的確な合成、手前と奥のキャラにピントが合う技法(名称がわかりません)、など全てにおいてぬかりない。

原作はあのマイケル・クライトン。個人的に『ジュラシック・パーク』や『ツイスター』のイメージしかなかったんで、驚いた。DVDで鑑賞したのだが、日本語吹き替え版がまた秀逸で、声優陣が落ち着いた演技を披露していて、引き込まれた。