藍坊主のベスト10

藍坊主の昔の曲を聞く。私は藍坊主が好きだと言いながらも、全部聞いてるわけではない(すいません)でも好きな曲が無茶苦茶好きで、再生回数がハンパじゃない。藍坊主の音楽は、普通に聞くといわゆる巷で流行のギターロックというジャンルにわけられるんだろうが、私の中で、今の若手、ギターロック、いや、ロックミュージック全般でも藍坊主は1番おもしろい音を鳴らしている。ストレイテナーは好きだが、そこまでグッと来ず、RADWIMPSもそこまで良いと思わず、Aqua Timezに至ってはどうでもいいと思ってる私だが、藍坊主だけは何かそれとは違う部分があるように思う。

藍坊主はソングライターが2人居て、曲の雰囲気、メロディは似てる部分があったんだけど、書く歌詞がまったく違うものなので、いい意味でその個性が分散されている。ボーカルHozzyの書く歌詞は哲学的で本人も哲学のつもりで書いてると語っていた。

『木枯らしは木枯らしで、アリはアリで、ネコはネコ、けどぼくは、いまだに、ぼくになれない』

『ドーナツの穴ぼこは存在か?空白か?と誰かが言ってた 美しい言葉 ぼくの抱える穴が意味のある存在だったら どんなにいいだろう 救われるよ』

『フラフープの輪が棒に変わる90度回転させただけで □も△も○も横から見ればただの線さ 指で弾いたコインのように立体になる僕たちの個性』

『精神解放が彼をゲイにした 人間模様は色とりどり 彼は彼の哲学を持ち 僕は僕の思想に生きる』

こういうフレーズからも分かる通り、ふだん当たり前にある事に疑問を持ち、深く追及していくのがHozzyの書く歌詞だ。物には名前があり、名前があるからこそ、その物として存在するのに、人間は何故にその存在があやふやなのだろうとか、ドーナツの穴は穴も含めてドーナツと呼べるものなのだろうか?とか、意味のない造語を連発して、そんな造語には意味がないが、口にすれば意味を持つとか、なかなか普通の歌手が歌わないような事を歌いあげている。個人的にHozzyが作詞した作品の中でも『ハローグッバイ』と『コイントス』は天井近い完成度にまで到達しており、
この2曲は今の日本の音楽には絶対的にない歌詞として響く。

もう1人のソングライター藤森真一の書く歌詞は恋愛の苦しみや想いをストレートに書く。情景が目に浮かぶ様だったり、ストーリーテリングがしっかりしていて、短編小説のような世界観が持ち味。言えばHozzyがジョン・レノンで藤森真一がポールと言ったところだろう。

フレーズだけで歌詞の世界観を表す事は難しいが、男からの別れを歌った『雨の強い日に』や、恋人が車に轢かれて死んでしまう『テールランプ』など、こちらの歌詞も深みがある。

個人的に藤森真一の曲の方が好きなんだけど、歌詞の世界観はHozzyの方が好き。アルバム『フォレストーン』も聞いたのだけれど、それはまた今度書くとして、今日は好きな藍坊主の曲をピックアップする。心のベスト10ですな。

1『ジムノペディック』
2『ハローグッバイ』
3『ハニービースマイル』
4『桜の足あと』
5『雨の強い日に』
6『テールランプ』
7『鞄の中、心の中』
8『瞼の裏には』
9『泣いて』
10『宇宙を燃やせ(リアレンジ)』

1は最高傑作。Aメロの変則的なコード進行からあのメロを引っぱり出す事もすごいが、なによりもサビメロが神。トップクラス。一度聞いたら忘れられないあのサビメロだけでもすごい。歌詞の世界観はちょっと分からないが、サティのピアノ曲というフレーズを引っぱり出すのが素晴しい。

2はHozzyの哲学的な部分が全開になった傑作。藤森真一作曲の中だったらメロは練られてるわけではないが、サビのフレーズ『あなたが生きているこの世界にぼくは何度でも感謝するんだ』は、元カノとの思い出が蘇ります(笑)

3は歌詞がホントに意味不明だがサビメロがこれまた神。Hozzyが天才だという事が分かる。

4は藍坊主を知ったきっかけになった曲。サビメロがこれまた神レベル。

5は藤森作品の1番いい部分が出てる作品。ストリングスを使ったアレンジもいいが、何よりも、彼女に対して冷めていって、どのように別れを告げるべきか?という今までになかった世界観の歌詞が素晴しい。

6は藤森作品の歌詞の中ではとびぬけ、妹も絶賛していた。彼女が死んでしまう悲しい唄。

7も藤森作品。サビメロで爆発するわけでもないのにドキャッチー。千葉さな子はネットで調べましたよって。

8も藤森作品。恋愛の事をストレートに書く藤森作品の中でも1番ストレートな歌詞なんじゃないかと。

9は最近好きになった。歌詞はシンプルだが、Aメロ、Bメロ、サビと、けっこうクラシカル。
10はリアレンジバージョンの方が断然素晴しい。イントロのギターリフが無敵。歌詞もHozzyのいい部分がむき出しになっていて、哲学的な側面が見え始めた曲。

実験的な楽曲もあるが、結構振り幅は広い。でもかっこいいんだなぁ。