サザンが活動休止する前に

ROCK AND ROLL HERO

ROCK AND ROLL HERO

職場の後輩とメディアパワーに行き、桑田佳祐の『ROCK AND ROLL HERO』と『TOP OF THE POPS』をレンタル。後者は持ってるのだけれど、CD-Rにした時にスピッツの『正夢』と一緒にしてしまったので、トラック名を取得出来ず、再度レンタルした。まぁ100円だし。

さて、この間書こうと思ってすっかり忘れていたのだが、カラオケに行った時に、サザンの『BOHBO No.5』だとか『HOTEL PACIFIC』とかを歌った。一緒に行ったヤツもサザンが大好きなので、桑田佳祐のソロとかを歌ったのだが、私はサザンオールスターズが好きだ。ここで言っておきたいのは好きだという事。

サザンは全部のアルバムを熱心に聞いてるわけではないし、ミスチルほど詳しくないのでファンだとは言えないのかもしれない。それでも飛び抜けて好きな曲がたくさんあるし、ついつい新曲が出れば聞いてしまったりしている。私はサザンの曲は『BOHBO No.5』みたいなノリノリなヤツが大好きで、歌詞も『エロティカ・セブン』とか『マンピーのG★SPOT』みたいな下ネタが好きだ。

桑田佳祐の歌詞のおもしろさは日本でもトップクラスだと思う。何しろ振り子の幅が異様に広い。英語のような響きと井上陽水にも通じるような音にこだわった言葉選び。すごく好きなフレーズがいくつかあって『芥川龍之介がスライを聞いて』とか、芥川龍之介スライ&ザ・ファミリーストーンを組み合わせるというのがすげぇ。

あと『この首筋に夢の跡』とかすげぇ好き。キスマークの事でしょ。表現が美しい。しかもあの曲は不倫の歌だからな。不倫の歌なのにサウンドがナイアガラ寄りになってるところもさすがというか。

昔の楽曲はよーわからん。だからあまりこういう事を書くとみかん星人さんに怒られそうだが(笑)

サザンも30周年という事で、改めてちゃんと書こうと思ってたのだが、実は私、サザンよりも桑田佳祐のソロワークの方が好きな曲が多かったりする。サザンも桑田のソロも変わらないとか言われてるらしいが、全然サウンド的には違う。特に『ROCK AND ROLL HERO』という曲が無茶苦茶好きで、元ネタは『Back In The U.S.S.R.』なんだけど、この時代にアレだけのサウンドを鳴らして、さらに桑田佳祐っぽさも存分に出してるのが好き。カラオケでこの間歌った時も、歌詞の語感が非常に気持ちよくて、それに全てが込められてる気がする。『真夜中のダンディー』とかもブルースロックな感じがあったり、フォーキーな『月』とかも無茶苦茶好き。特に『月』の歌詞は桑田佳祐が追い求めた“英語っぽい響き”とは真逆の日本語の美しさが全面に出て来て、情景を浮かばせるような言葉が次から次に出て来て、今聞くとものすごく感動する。『月』の歌詞は吉田拓郎の『流星』を思わせるが、ちょい妖艶なところが桑田佳祐らしい。

桑田佳祐サウンドはロックからブラックミュージックまで歌詞のように幅広いが、大滝詠一直結のナイアガラサウンドが多いのも特徴。だから彼が純粋なポップスをやるとすごくエバーグリーンになる。特に『波乗りジョニー』や『涙の海で抱かれたい』『可愛いミーナ』などに見られる、Bメロのリバーブがかったパーカッション。ああいう細かい部分のこだわりがいかにもという感じで良い。ちなみにこの精神を完全に受け継いだのがキンモクセイだと思う。

あとあまり知られてない事実だが、実は桑田佳祐は曲作りの才能も特出している。『いとしのエリー』なんかは本でもコード進行が載ってるが、あれ簡略化されてて、ホントのコードは「なんでそんなコードにあのメロがのるんだよ!」といったものばかり。いろんな音楽を研究し尽くした結果だと思うが、アホアホな曲からアンセムになり得る曲、さらにロックンロールからナイアガラサウンドまで再現出来る幅広さは、ある意味で日本のビートルズと言ってもいいんだろう。

んで、私は『ROCK AND ROLL HERO』のアルバム自体を聞いてなかったので、サザンが活動休止する今、あえて聞いてみようと借りた。

いやぁ、やっぱりカッコいいっすなぁ。1曲目から非常にオールドなサウンドでいいです。クラプトンを彷彿とさせるっていうか、元ネタはちゃんとあるんだろうけど。あとあまり当時は意識してなかったけど『東京』って曲が無茶苦茶かっこいい。あういぇ。