フォロー・ミー


フォロー・ミー』鑑賞。キャロル・リードの遺作。ビデオを探してもなかったのだが、この間BSで放送されてるのを録画した。新聞を観て、マジでバビった。

インテリで物知りな夫と何を考えてるか分からないような自由奔放な妻。夫は妻が浮気しているのではないかと疑い、私立探偵を雇って、妻を尾行させる。結果、妻は肉体的な関係を結んでる男は居ないようなのだが…

キャロル・リードは『第三の男』しか観てないので、なんとも言えないのだが、いきなり『七人の侍』を観た後に『まあだだよ』を観る感じというか、『仁義なき戦い』を観た後に『バトルロワイアル』を観るというか、いや、『バトロワ』はパワフルな傑作なので、例えにならないな。

正直、無茶苦茶おもしろかった。キレイな一枚絵を惜しげもなくぶった切るのはさすが巨匠という感じだが、それだけでなく『第三の男』でも見せたような、ユニークな映像。最新技術に興味があったのか、『第三の男』でも『市民ケーン』のようなケレン味溢れるカメラが出て来るが、『フォロー・ミー』でも文法的には回想をメインにしてたり、オーバーラップを駆使して、妻とのセックスに耽ったり。心情を別撮りにして合成したり、凝った作り。ロケーションが非常に効果を出していて、舞台でもやれそうな感じだったが、どうも舞台でやったヤツを映画化したようである。

あの雰囲気と夫婦の倦怠期をテーマにしたあたり、『アニー・ホール』にも影響がバッチシありそうだし、もっと言えば『アイズ・ワイド・シャット』からセックスを抜くとこうなるというか、

それにしても、恋愛と結婚は違うとか、相手を想いやる事がうまくいく秘訣であるとか、何よりも結婚する前は新鮮に感じた事が、結婚した事でうっとうしく感じるだとか、非常に身につまされるというか、もし、ホントに結婚した後でこうなってしまったらどうしようとか、会話や夫婦でいる事の苦労なんかが、ものすごくリアルな会話によって紡ぎ出され、『アイズ・ワイド・シャット』がすげぇ映画的だったんだなという事を実感させられる。

音楽もヌーベルバーグっぽく、ミア・ファローはすこぶる魅力的。私立探偵の役はエリオット・グールドの方が合うんじゃないかなぁと思ったが、個人的には非常に楽しみました。これから結婚しようと思ってるカップルにおすすめ。