『カリギュラ』と『時計じかけのオレンジ』
- 出版社/メーカー: ギャガ・コミュニケーションズ
- 発売日: 2008/06/06
- メディア: DVD
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『カリギュラ』とは46億円を投じて製作されたハードコア・ポルノ。マルコム・マクダウェルとかピーター・オトゥールなど、豪華キャストが出てる事もビックリだが、本人達はポルノだという事を知らされずに出演したとか(当時だから出来た事なんだと思うが)
いやね、この映画すごいよ!
豪華絢爛という言葉がびったりなセット!
『アイズ・ワイド・シャット』並みの酒池肉林!(しかもキューブリックのようにエロくない!)
クリームをケツに塗って、いきなり拳を入れてみたり、
ち○こをざっくりと切ってみたり、
延々レズプレイが展開されてみたり、
人の命など虫けら以下だ!と言わんばかりにあっさり人が死んだり、
権力と嫉妬と強欲が渦巻くドロドロとした人間関係だけがあったりと、
これはまさに
おっぱいと血と人間の死に彩られたエロ殺戮地獄曼陀羅だ!
2時間半もあり、2時間半の中におっぱいと人間の薄汚さとセックスと豪華絢爛な映像という、
とても私好みな要素がてんこ盛りなのだが、
『カリギュラ』は
映画としてまったくおもしろくないという致命的な要素も抱えている。
まぁメル・ギブソンがこれに影響されてるのは間違いないだろうし(『パッション』や『アポカリプト』など)キューブリックも、もしかしたら『アイズ・ワイド・シャット』で参考にしたかもしれない(乱交パーティーのくだり)無駄に金がかかってるのは映像を観れば一目瞭然で、天井の高いセットがオーソン・ウェルズを思わせるなど、監督の演出力はある意味で賞賛に値する。
むしろここで展開されるローマ史は実際にあった事かどうかは分からないが、男なら誰でも一度は夢見る、ハーレムだとか権力だとか好き勝手やってみるとか、そういうのがおもしろいかなぁと、ヴァーホーヴェンの『ショーガール』が1番近い作品だと思うのだが。
でもこれで2時間半ならば、
石井輝男の『徳川女系図』とか『徳川女刑罰史』とか『徳川いれずみ師責め地獄』とか、徳川ばっかり並んでるけど、その手の映画を観続けた方がいいなぁと思った。
しかも、もっと映画のカタルシスを求めた場合『忘八武士道』の偉大さは揺るぎないなぁとも思った。あとラス・メイヤーは言わずもがな。ああ、久しぶりに観たいなぁ。
ただ、マルコム・マクダウェルは本当にああいう役が似合うんだなぁと心底思い、『カリギュラ』を観ると、さらにもっともっと暴力的でもっともっと性欲を刺激される、
『時計じかけのオレンジ』が観たくなるのであった。
だもんで、6時過ぎに今度は『時計じかけのオレンジ』を観るという(笑)まぁさすがに全部は観れないから、前半のシーンをね。
私は『時計じかけのオレンジ』死ぬほど好きでね。というか嫌いなヤツが居るのか?という感じだが、初めて観たの15歳くらいだったけど、もう自分が持ってた倫理観ひっくり返された。確かビデオでーたーかなんかで廉価版のビデオが出ると広告が載ってて、そのパッケージがかっこいいなぁと思って、石丸電気で1700円で買ったんだと思う。
初見の感想はね、まず、人を痛めつけてるシーンでこんなに興奮するとは思わなかった。格闘ゲームとは全然違う陶酔感というか、当時はそんなに知識も言葉も知らなかったから、単純にかっこいいと思った。今でこそ「人は虫けらのように死ね!」とか言ってるが、当時はそんな事を言ってはならないと思ってたからね。『時計じかけのオレンジ』は暴力と性を最高に刺激してくれる至福の2時間だった。
これ見終わった後に山高帽買おうと思ったが、さすがに恥ずかしいからやめた。つーか、親に止められたという方が正しい(古町の帽子屋まで行って、試着というか、試しに被って本気で止められた)
今でこそ『時計じかけのオレンジ』が問いかけた意味など、完全に理解してるが、当時は分からなかった。
だから当時は後半が退屈でアレックスが捕まるまでの流れをビデオで観続けていた。
何故かというと『時計じかけのオレンジ』の中で、人を殴って、女をレイプするアレックスはすこぶるかっこいいのに、後半、洗脳されて、おっぱいを前にしても触れず、人に罵倒されても反撃出来ないアレックスは、異常にかっこ悪かったからだ。もちろん人として、後者の方が正しいわけなんだけど、それをかっこ悪いと思ったという事は、潜在意識の中で、暴力とセックスというのは、何かをかき立てられる部分があるという事だろう。当時はもちろん、それを言葉で説明する事は不可能だったわけなのだが。それは「闘争心」とか「愛」に直結する感情だったりもする。
『時計じかけのオレンジ』で死ぬ人間は数人。しかも画面に映らないところで死んでる。なのにもかかわらず、イギリスではビデオが長い間発売禁止になったほどの影響があった。それは人をナイフで刺し殺すとか銃で人がバッタバタ倒れるとか血がビュービュー吹き出す暴力ではなく、人を蹴り跳ばすとか、杖でボコボコに殴るとか、拳で殴るとか、殺意とは別の陶酔感がある。
人をナイフで刺すとか銃で人が倒れるとか血が吹き出すというのは、絵空事と言ったら、あれなんだけれど、オレにとっては面白味がないというか、いや、映像で観る分にはおもしろいし、最高なんだけど、というかもっと血がビュービュー出ろ!って思う方なんだけど、
実際にやるとなると、パンチングマシンとかもそうだけど、気持ちいいでしょう、きっと。いや、やった事ないから分からん。まるでセックスをした事ないヤツがセックスに憧れる気持ちだよな、これは。それは『ファイトクラブ』でもハッキリ描かれてるし、やっぱりある種の陶酔感があると思うんですよ。ナイフで切る暴力は相手に対しての殺意があるが、殴る蹴るの暴力は相手に殺意があるわけではなくて、自分の中にある何かを暴れさせたいという欲求の方が強い気がする。
むしろそういう欲を発散させるという意味では『時計じかけのオレンジ』はポルノと変わりない。私は人を殴った事もなければ、そういう事をしようとも思わない。でも、そういう衝動に駆られる事はあるし、1度人を本気で殴ってみたいとも思う。『時計じかけのオレンジ』はそういう欲求を映像の中で1番解消してくれる映像集でもある。
この解釈というか、見方はキューブリックは望んでないのかもしれないが、それでもそういった意味でも『時計じかけのオレンジ』はこれからも最高峰の作品であり続けるのだ。(でも『バリーリンドン』は生涯のベスト1だし『現金に体を張れ』も死ぬほど観てるし、『シャイニング』は絶対に年に1回観るし、『2001年宇宙の旅』の冒頭のセリフ無いシーンも死ぬほど観てる。。)
とりあえず、新しく出たDVDをいつ買おうか。。。↓
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
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