ジョン・ウーが好き

さまぁ〜ずさまぁ〜ず鑑賞。その中で「すっげぇ好きだけどマニアじゃないみたいなのはダメなのか?」というトークをしていた。つまり「オレはこの女優が好きだけど血液型も出身地も知らない、でも好き!」と言う事だ。

巨人の熱狂的なファンだけど、徳光さんや中居くんには勝てないと三村は言ってたが、それでも熱狂的に好きだと。この気持ちは良くわかる。だから私も好きな作家については公言してない。何故なら全部読んでるわけではないし、胸を張ってファンです!と言えるかどうかも自信がないのだ。

前、仕事中に職場のミスチル好きと話をしたのだが、実は私はそこまでミスチル好きを公言してるわけではない。でも、全部のアルバム聴いてるし、カラオケで歌える曲もかなりある。じゃあ何故好きというかファンを公言しないかというと、嫌いな曲も多々あれば、最新の『HOME』はかなり微妙でまったく聞き込んでないからで、それはBUMP OF CHICKENにもくるりにも当てはまる。だから胸を張ってファンと言えない。ただ、それぞれ死ぬほど繰り返し聞いた曲が多いのも事実で、隠れキリシタンというか、隠れて聴いてるみたいな。。。

映画でも良くある。例えば『ブレードランナー』無茶苦茶好きだ。死ぬほど好きな映画である。すべてのバージョンを観て、メイキングも何度も何度も観たはずなのに、「あそこの台詞がどーのこーの」と言われても分からなかったりする。だからこういうコミュには入らないようにしている。映画館で観てないし。

スターウォーズ』もそうだ。人並みに好きなのだが、こちらは逆にセリフが言えたりして、「それは人並みに好きを通り越して、立派なファンだろ」と言われるが、全部のキャラの名前は言えなかったり、用語的なものもうろ覚えで、微妙なラインである。

んで、それに1番当てはまるのがジョン・ウーである。

私はジョン・ウーがすげぇ好きだ。間違いなく好きな監督の1人だ。ペキンパーやレオーネ、シーゲル、ホークスが好きなら絶対に好きになる漢の中の漢。現代で最も優れたアクション映画を作る巨匠である。何度も何度も繰り返し観て、何度も何度も泣いた。妹に至っては「『狼/男たちの挽歌・最終章』は完璧な映画の1本だ!」と公言していて、2人で良くこの映画の事を話す。

でもだ。私は『ウインドトーカーズ』も『ペイチェック』も観てないし、『狼たちの絆』も観てなければ、『男たちの挽歌』以前の映画は『アーメン・オーメン・カンフーメン』しか観てないという体たらく。あ、『ソルジャー・ドッグス』も観てなかった!でもTV映画の『ブラックジャック』と『ブレイクダウン』はビデオ買ったもんね。

ジョン・ウーはとにかく最高の監督の1人だ。いつ観ても燃えるし、いつ観ても泣けるのだ。今度『レッドクリフ』が公開されるが、あの三国志赤壁の戦いジョン・ウーが映像化する。どういう映画になるかまったく想像がつかないが、
それは『ウインドトーカーズ』も同じで、あれだけの銃撃戦を撮る人が戦争映画を撮るとどうなるか?という部分に興味があり、チャン・イーモウが『英雄』を撮った時と同じ雰囲気がある。ペキンパーが『戦争のはらわた』を撮ったみたいな?

とにかくジョン・ウーが好きな私としては、ここらで好きなジョン・ウー映画について言わなきゃならない!

まずジョン・ウーの何に惹かれたのか?ジョン・ウーを知ったのは『レザボア・ドッグス』に影響を与えた監督と言われてたので、その時タランティーノを狂ったように観ていた私としては、元ネタを探る意味で観た。そこでガツンとやられた。その前に『ハードボイルド/新・男たちの挽歌』は観ていたのだけれど。とりあえず今さらだけど、今、頭の中に浮かんだ、ジョン・ウー映画の特徴を。

2丁拳銃
それまでダサいというイメージだった2丁拳銃をスタイリッシュに変えた。
『リーサル・ウエポン』『デスペラード』『シューテム・アップ』を見れば影響は一目瞭然だ。

スローモーション
通常ショットとモンタージュさせ、絶妙な美しさを作り出すジョン・ウーのスローモーション。暴力を突き詰めると死になり、それに復讐心やら憎しみの感情を表現したペキンパーの精神を受け継いだ編集。ジョン・ウーは役者によってスローモーションを使い分けるという。中でもチョウ・ユンファのアクションは別格だったらしく、ユンファは1番遅いスピードで撮るらしい、つまりそこまで遅くしてもアクションに荒さが無いという事になる。


ジョン・ウーの映画の中では血みどろの暴力が展開されてる中で鳩が飛ぶ。

拳銃の突きつけ合い
セルジオ・レオーネにもある拳銃の突きつけ合いは、ジョン・ウー作品からタランティーノに受け継がれる。オレの好きな監督、レオーネ、ペキンパー、ジョン・ウーってやっぱりこういう共通点が。

んでもって、オレの好きなジョン・ウー映画。

『狼/男たちの挽歌・最終章』
ダントツで好き。好きな映画の1本でもある。映画における全ての要素はこれに詰まってる。絶対的に『レオン』にも影響を与えた1本で、アメリカで大ヒットした。ジョン・ウーの演出としてはこれがやりたい事やってる感じで、これ以降のジョン・ウー映画ってのは、これの発展系だという見方も出来る。ユンファ兄ぃだけでなく脇役も完璧な演技。ボートフェスの巧みな編集、アクションシーンの美しさ、何よりも男惚れしたダニー・リーが見せるクライマックスの衝撃。完璧な映画の1本である。

男たちの挽歌2』
個人的には1よりも2。死んだマークには双子の弟が居た!?という、「ふざけんなよ!」を通り越したずっこけ設定はご愛嬌で、作品自体の迫力、パワーはやはり素晴しい。絶対的に撮りたくなかった続編だろうが、撮るからには前作を越えてやろうというジョン・ウーの心意気が熱い。ディーン・セキの入魂の演技。仲間が死に、喪服で復讐に行くシーンは、タランティーノの『レザボア・ドッグス』に決定的な影響を与え、階段に仰向けで倒れながら2丁拳銃をぶっ放すシーンは誰もが考えつかなかったアクションで、これ以降の銃撃シーンはこれを越えようと必至になっているような気がしてならない。

『ハードボイルド/新・男たちの挽歌
実は初めて見たジョン・ウー映画がこれ。香港が返還された年、WOWOWで香港映画特集をし、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』と『天使の涙』と『ハードボイルド』を観て、それまでジャッキーしか知らなかった私に「ああ香港映画ってジャッキーだけじゃないんだ」と思わせた作品。特に『ハードボイルド』の冒頭で見せる銃撃シーンはジョン・ウーのアクションシーンの中でも最高峰。『男たちの挽歌』→『狼』→『ハードボイルド』の順にアクションシーンのレベルはアップしている。だからハリウッドに行ってからは、これのアクションを越える事が出来てない。実際、アナーキーな作りじゃないしね。時代とタイミングがピッタリとあった傑作でしょう。

フェイス/オフ
ハリウッドに行ってからのジョン・ウー映画と言えば間違いなくこれしかない。香港時代のファンも納得の完成度とアクション映画としてのおもしろさがばっちし噛み合っている。善と悪が入れ替わるという映画ならではの設定、トラボルタとニコラス・ケイジというジョン・ウー映画にぴったりの配役。バイオレンスの美学、スローモーションの使い方は神の領域。これを作った事でペキンパーを越えてしまったかもしれない超絶の傑作。

男たちの挽歌
実はアクション映画としてでなく、ドラマというか、熱い男の話として非常に好き。ユンファが最強のガンマンとして現れる衝撃の植木鉢シーンは意外とシンプルなモンタージュで、アクション映画としての魅力はまだ薄い。それでも熱いセリフの応酬、男泣きの展開、日本人好みのストーリーと、何度も観た。ビデオを買って、さらにDVDを買いなおす程好きな作品である。

というか、基本的にジョン・ウー映画は全部好きなんだけれど、やっぱりベストはこういう感じになるでしょう。みんなそうなんかもしれんなぁ。