トロピック・サンダー/史上最低の作戦


9時45分より『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』鑑賞。いかにもハリウッド的なワガママ俳優3人が撮影と勘違いして、本物の戦場に巻き込まれて行くという、映画好きの方ならば『ハート・オブ・ダークネス』よろしくの世界で、『サボテン・ブラザーズ』やっちゃいましたと言う方が分かりやすい作品。

筋肉俳優が廃れて演技派に転向しようとして障害者を演じて失敗するという、まるでスタローンが『コップランド』に出た事までバカにするような芸の細かさ*1など、ハリウッドに蔓延る悪しき風習を徹底的に笑い飛ばす姿勢はさすが才人ベン・スティラー

今、書いた以外にもパロディにしたものは星の数ほどあり、その辺は町山智浩さんのはてなダイアリーとか見てもらえばわかるのだが、『プラトーン』『ランボー』『プライベート・ライアン』『地獄の黙示録』のようなシーンもバンバン出てきて、『ザ・プレイヤー』以来、「おいおい!こんなにハリウッドの内幕を笑い飛ばしていいのか!?」というくらいのギャグの応酬。個人的にハッキリと分かった小ネタは冒頭のフェイク予告編と『プライベート・ライアン』の耳鳴りくらいで、細かい部分が分からなかった事が非常に悔しい。

とにもかくにも、超が付くほどの豪華なメンバーが最高に笑わせるが、中でも『アイアンマン』で復活したロバート・ダウニー・Jr.が好演。そして、いろんなところで書かれてると思うがトム・クルーズは『マグノリア』以来のハイテンション演技で「ファック!ファック!マザーファッカー!ディーック!」と卑猥な言葉を叫び続けてとにかく最高に笑う。

用意周到なギャグの応酬に腹がよじれるかと思うくらい笑った*2のだが、小ネタをバンバン出す事に神経を注ぎすぎたのか、芯になるべき部分がちょこっとだけ弱く、俳優のワガママが足りなかったり、スティーヴ・クーガン演じる英国から来た新進気鋭の監督にプレッシャーを感じなかったりして、もうちょっとだけ、しっかりそこを演出してくれたら、もっともっと笑えたんじゃないかと思ったりもするし、何よりも、1回同じ場所に撮影を仕込むのにヘリが降りてるわけで、その時に何故襲われなかったんだ!?という致命的な欠点はあるものの、映画としてはやっぱりおもしれーし、金も恐ろしくかかってるし、CGに頼りすぎてる部分もなく、何でもかんでもバカにしてとにかく笑い飛ばしまくってやる!という姿勢が、徹底していたので好感が持てる。

地雷を踏みつけて爆破した人間の首を持って、いじくりまわすなどというグロいギャグもあるが、個人的にはかなりおすすめ。このタッチで『ザ・プレイヤー』風の映画を撮って欲しいなぁ*3

*1:実際、失敗したスタローンは『ロッキー』と『ランボー』に原点回帰する事になる。個人的には『オーバー・ザ・トップ』を復活させてほしい

*2:意外にもオレが観た時も結構笑ってたんっすよ、「お前のタマをなめて、サオをさすって、ソースを飲んでやるからほどいてくれぇ」っていう最低極まりないギャグでもかなり湧いてたし

*3:ドン・シンプソンの自伝とかどうっすか?