「オーマイゴッド!」や「ジーザス!」と言わない『1408号室』
15時45分に『1408号室』鑑賞。娘が死んでから神を信じなくなってしまったオカルト作家が、過去に56人も死んでるドルフィンホテルの “1408号室”に仕事で行く。1+4+0+8=13という事で、非常に不吉な数字を気に入り*1断固として泊まる決意をする主人公に対し、絶対に泊まらない方がいいとホテルの支配人に再三忠告する。だが、それを無視して、主人公はついに“1408号室”に泊まってしまう。するとその部屋では、、、、、
という、いかにもなプロットなのだが、身もふたもない言い方をすると『1408号室』は幽霊の存在をまったく信じてない男がお化け屋敷に入っちゃいましたという作品で、主人公と同じような体験を観客もする事になる。最初はその恐怖の片鱗しか見せず、主人公と同じように「なんだよ、何が56人も死んでるだよ、大した事無いじゃんか」という気持ちになるのだが、カーペンターズの曲が唐突に流れ出してから、後半、これでもか!とわんさか出てくる恐怖表現の応酬に主人公と同じような心情になり「もう!やめてくれぇー!」と言わざるを得ないくらい怖かった。つーか、死ぬかと思った。マジで怖いです。これホントに生半可な気持ちで観に行っちゃダメ!心臓がぶっつぶれます。ホラー映画好きな私ですら思うのだから、マジで怖いです。ジョン・キューザックはいっつもいい仕事をしているように思えて、私は好きな役者なのだが、ここでもやっぱりウマいです。1つの部屋でジョン・キューザックが右往左往してるような話なんで、彼がウマい事演技しないとダメだと思ったのだが、さすがという感じ。
これおもしろいのは、主人公に信仰心がないもんで、ただの一度も神に祈らない。だから自分の想像を超えた現象が起きても、「オーマイゴッド!」や「ジーザス!」など1つも言わない。ただ、最後に主人公が言うセリフ。そのセリフがミソで、そのセリフによって、主人公は命拾いする事になる。それは観てからのお楽しみなのだが、神を認めなかった男が、最終的に認めるのは○○の存在で、神を認めず、さらに○○にまで徹底した裁きをうけるとなると、じゃあ、果たして神ってなんなんだ?と、一体人間にとっての救いって何なんだ?いうところにまでたどり着くわけで、それを演じたサミュエル・L・ジャクソンは素晴らしかったと思う*2これねぇ、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を読んでるようだった。お釈迦様がカンダタを試すように、○○もジョン・キューザック演じるオカルト作家を試したんだよね。
『1408号室』は過度な表現もよくあるクリシェも出てくるが、そこで描かれる恐怖は究極のものだと思う。私は音や視覚的に驚かすのは恐怖ではなく、驚きだと思うので、それはホラー映画とは呼べないんじゃないかと思うが*3それも含め、この世に神なんて居ないし、幽霊なんてありえない!と強がってる男を全力で恐怖のどん底に突き落とす『1408号室』はおすすめです!あういぇ。