2008年ベスト&ワーストムービー
まだ『WALL・E』も『ブラインドネス』も観てないですし、『ホット・ファズ』も『片腕マシンガール』も『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』も観れてないですが(だって公開しないんだもん!死ね!)記事はかなり前から出来上がってるもんで、2008年ベストムービーという事で早速行ってみましょう。ええい!
1位『クローバーフィールド』
『グエムル』や『キングコング』など怪獣映画界の元気がいいが、ついに決定版の登場!映画館で2回観て、DVDでも5回以上観た。新世代にもゴジラ世代にも幅広く受け入れられた衝撃作。海からやって来てタンカーを破壊して、上陸するという「ゴジラ」そのまんまを踏襲しつつ、セプテンバーイレブン風味で味付け、この世の地獄、阿鼻叫喚を体験する90分。説明の一切ない展開に流れるエンディングの曲!「画面の揺れがイヤ」だとか「説明がない」という感想はオール無視(というよりも映画に説明を求める事自体どうかと思う。じゃあ、あんたはドーンと音が鳴って、外を覗いて、遠くの方でビルに飛行機がつっこんでるところを見て、「なんでつっこんでるんだよ!」という説明を求めるだろうか。それよりも「怖い!」っていう方が強いんじゃないのか?という話はもうさんざんしたんで終わりだ!うんこうんこ)『空飛ぶゆうれい船』との共通点も多々あり、これは『キル・ビルVol.1』と同じように、日本が作るべき映画だった?私の中では他の追随を許さない人生のベスト作です。
2位『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
ダニエルおじさんは石油とお金が大好きです。ダニエルおじさんには女の影が見えません。ダニエルおじさんは各地を点々としているので、家と呼べるものがありません。なので、何故お金を稼ぎたいのか分かりません。でもダニエル伯父さんには子供が居ます。ところがその子供をどう愛していいか分かりません。ダニエルおじさんにウソをつくと怒ります。ダニエルおじさんに中途半端な優しさを見せるといじめられます。ダニエルおじさんにとって世界は0か100かです。ダニエルおじさんは怒る時は怒るし、泣く時は泣くし、笑う時は笑いますが、怒りながら、そして罵倒しながら、泣いて笑います。ダニエルおじさんは信仰の意味がわかりません。ダニエルおじさんは人間が悪にしか見えてません。そしてダニエルおじさんは悪魔のような男です。でも、ぼくはそんなダニエルおじさんが大好きです。
3位『ウォンテッド』
ボンクラ中学男子大集合!クソッタレな平凡だが、オレには殺し屋の才能がある!?ヤリマンな彼女と親友を名乗るカスと、デブでイヤミな上司達に「FUCK YOU!!」とツバを吐き、男の夢にダーイブ!!!!だが!そこで待ってたのは、過酷な特訓の日々!日々!日々!最高の殺し屋になった男に降り掛かる、意外な事実と、悲しい現実。。。。。。。『ロイ・ビーン』とジョン・ウーと『マトリックス』を昇華したラストの大銃撃戦に心奪われ、アンジーの背面ヌードと熱烈キスで全身がエレクト。もちろんボンクラとしか呼べないジェイムズ・マカヴォイにも心からの拍手を!これは「映画の中だけだったら夢見たっていいじゃん!」という男にとっての『ローマの休日』だ!
3位『ランボー 最後の戦場』
最初から最後まで、殺戮殺戮殺戮殺戮の嵐!たった1人戦場に叩き込まれた男の殺戮絵巻。地獄曼荼羅。阿鼻叫喚。腕や足、脳天、内蔵が画面いっぱいに飛び散る殺戮スターマイン。1人も殺さなかった『ランボー』から、結局、1番の皆殺し映画になった『アフガン』を軽々と越えた今作。暴力は暴力でしか解決しない。でもそれじゃ何も生まれない。なのに殺す事でしか生きられない男の戦い。『プライベート・ライアン』に嫉妬した男の戦場は、最後にして最高の戦場になった。
3位『ダークナイト』
ヒース・レジャーのジョーカーが魅力の大半を占めるものの、どうしても越えられなかった『バットマン・リターンズ』の壁をついに越えたノーランの傑作。『ビギンズ』はまったくおもしろくなかったが、それも『ダークナイト』に対する前フリだった!?正義と悪は人間の中にあるものであり、悪は敵ではない。もしかしたらアメリカは悪ではないものを敵とみなし、殺してるんじゃないか?今年のアメリカ映画はひと味違う。『メメント』以来ぱっとせずだったノーランしてやったり!
3位『ミスト』
フランク・ダラボンがついに『ショーシャンクの空に』以来の大傑作を生み出した!『クローバーフィールド』と同じくらいのバジェットで作り出されたのにもかかわらず、『クローバーフィールド』の中になかったものがこの中にはギッシリ入っている。画角やカメラアングル、人物の収め方など、ドキュメンタリーのそれのように演技してる役者をカメラが追うだけの演出。演技として振り付けられたものとは言わせない、役者自身のアドリブ演技の迫力。それは圧倒的な緊迫感と恐怖を見る側に植え付ける。怪獣映画なのだが、人間ドラマの側面が強い一品。オレの周りでもよく聞く「あの絶望的なエンディングはホントに嫌だ、ムカムカする、なんで原作と変えたんだ」という感想は、あいからわず殺意すら覚えるが、バカヤロー!そんな予定調和な人生なんてねーんだよ!ファック!
6位『シューテム・アップ』
ボンクラ中学男子大集合!ジョン・ウーだーい好き!三隅研二だーい好き!な監督が、これでもか!と銃撃戦だけを詰め込んだ、弾丸エクスタシーな一本。冒頭の『Breed』からノリノリ!ただでさえ男臭い映画をモニカ・ベルッチの娼婦っぷりでイカ臭くした?赤ちゃんのミルク代のために街を歩く男をフェラのシーンで大爆笑したら、あとは映画の流れに乗るしか無い!駅弁体位から繰り広げる大殺戮は笑いとエロと緊張感が三位一体になった映画史上最高のシーンの1つ。水につかったバレッタを乾かすというシーンはご愛嬌(いや、すべての銃撃戦がご愛嬌)だが、ニンジンを頬張って、赤ちゃんを守って突っ走れ!マカロニウエスタンを彷彿とさせるラストまで目が離せない!必見だ!
7位『ノーカントリー』
コーマック・マッカーシーの血みどろ皆殺し小説を忠実に映像化したら『ファーゴ』になってしまったコーエン兄弟の最高峰にして、アカデミー賞受賞作。キャストから映像まで完璧だが、もっと早くにアカデミー賞はあたえるべきだったんじゃないかなぁと思わせる。言ってみれば、コーエン兄弟が好きなら絶対好きな1本。コインの裏表のように生と死は隣り合わせだ。それをこの映画で教えられた。
7位『アメリカン・ギャングスター』
去年は『ディパーテッド』がランクインしてたが、今年は『アメギャン』必ず先人の偉業を追いかけるリドリー・スコットが『グッドフェローズ』と『フレンチ・コネクション』を混ぜ込んで70年代の空気感を完全に再現。女ったらしで野性的なファックをするというラッセル・クロウ本人を地でいくキャラ。デンゼル・ワシントンの方が良い生活をしていて、かっこいいというのは『フレンチ・コネクション』を彷彿とさせる。ギャング映画としては緩い部分もあるが、それも含めて個人的に好きな作品。
10位『グラインドハウス』
新潟ではグラインドハウスとして公開しなかったので、年始にDVDをゲットしてのランクインとなったが、やっぱりこれはフェイク予告編を入れての90分が2本という作品がコンセプトなので、この形として観ないと意味が無いと思うし、『プラネット・テラー』が来て『デス・プルーフ』という順番も気が利いてる。事実上のベスト1。
惜しくもランク圏外だが、ジジイと若者にツバを吐きかける『百万円と苦虫女』、前作を余裕で越えた『28週後…』、中学生男子爆発『アイアンマン』、『天使の涙』以降、「好きだけど、ちょっと違うんだよなぁ」と思っていたウォン・カーウァイ復活の『マイ・ブルーベリー・ナイツ』、オリジナル脚本と演出の勝利だった『アフタースクール』、マリオカートを完全再現した『スピード・レーサー』、かなり酷評されたが、個人的に今年1番の冒険活劇だった『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』、TVドラマの映画化としてでなく、あくまでも原作の映像化にこだわった『容疑者Xの献身』、もっとも分かりやすいクローネンバーグ印の『イースタン・プロミス』、原作をそのまま再現した事の評価として『20世紀少年』も同じようにおもしろかった。なんやかんやで自分の好きなものだけに特化したものになったし、世間的には駄作と呼ばれる物も多かったりするが、やっぱり最初に観た時の感動もあって全部好きだなぁ。どうせ『おくりびと』や『迷子の警察音楽隊』『JUNO』は他の人が入れるだろうし。オレが薦めないと誰が薦めるんだよ!って話だから。
2008年ワーストムービー
1位「カリスマ的デスメタルバンドのヤツ」
2位「傷とキッズをかけたヤツ」
3位「柴咲コウのカンフーだか、ラクロスだか分からんヤツ」
4位「チェーンソー男を女子高生が退治するヤツ」
5位「新潟県中越地震で犬と家族が生き別れになるヤツ」*1
6位「男を鍛える塾に入った高校生のバカっぽいヤツ」
7位「山猿がスキーで滑りまくるヤツ」
8位「Lのスピンオフなヤツ」
9位「萌え絵なのに残虐ホラーを実写にしたヤツ」
10位「国家繁栄のために若者が死亡予告証で死ぬヤツ」
1位は今年で1番許せないというか、観てる側から「ふざけんなよ!」という怒りしか湧いてこなかったダントツにして問答無用のワースト。これ書いた脚本家をオレは絶対に許さないし、これをおもしろいと宣う輩が居る事がホントに理解不能。もしかして、オレってもう終わってる??2位は傷つき、傷つける事だけを売り物にし観客を寄せ集めようという性根の腐りきった出発点はおろか、主人公達の行動が理解不能。小池徹平と売れた原作だけに頼り、脚本を作り込んでない事が露呈されてしまったダメ映画。3位は怒りというよりも「ちきしょー!この題材を持って来てるのに、こんだけの映画しかできねーのかよ!」という憤りとこの手のジャンル映画を愛するものとしての悔しさから。4位は「女子高生がスーパーパワーでチェーンソー男と戦う!」というのがウリなのに「退屈な日常がダラダラ続いて行くくらいなら、それを死ぬ気で打破したい」というわけわかんない映画になってて、裏切られた感が強かったから。5位は新潟が舞台なのに新潟弁を誰も喋ってないという致命的な弱点があるのに、それを新潟県人が誰も気づいてないという憤りから。6位はこの手の映画を応援したい気持ちはあるんだけど、結局この出来なら、そりゃこのジャンルが押し込まれてしまうわなという単純な理由から。7位は脚本の整合性のなさにつきる。演出は良い。8位は冒頭の大殺戮シーン以外はぶっちゃけ褒める要素が見当たらない。記事を読み返したら、恐ろしく感想が薄かった。ナンチャン演技頑張れ!9位はこの予算なら作らない方がよかったんじゃねぇの?役者全員ミスキャストだし。10位は演出が素晴らしいのに、設定が無茶しすぎ。24歳までイキガミが届くかもしれないなら、それを理由に遊びほうけて、国家はもっともっとダメになるっ!
*1:映画は2007年だけど、年始に観たので