シャッフル


9時15分よりサンドラ・ブロック主演の『シャッフル』鑑賞。ある日突然夫が事故死した事を知らされ、絶望したサンドラ・ブロックだが、翌日目をさますと、死んだはずの夫がリビングに居て、昨日起こった事など誰も知る由もないようになっている。子供達を学校に送って、旦那の帰りを待ちながら、寝て起きると、今度はワインとワイングラスがベッドの横にあり、家中の鏡には布がかけられ、精神安定剤がシンクの中に転がっている。あわてて起きると、今度は葬式の準備が、頭が混乱するサンドラ・ブロック。一体何が起こっているのだろうか…

という、『メメント』と『フォーガットン』を合体させたような、時間軸ずれまくり&自分以外の世界が嘘ついてるんじゃないか?的な作品。観ていて不思議なシーンがいくつかあった。まず、何故主人公は、こんなにあっちこっちに時間が飛ぶのに、今が何日で何曜日か調べようとしないのだろう?家にはカレンダーはおろか、時計も1つしかない。こんなに一週間がごちゃごちゃになるのなら、もっともっと早い段階で気がつくべきだ。そして不思議なシーンはもう1つある。何故、主人公がこんな能力を授かったのか、説明がまったくないのである。『メメント』は妻がレイプされ惨殺されたのを間近に見て、ショックで記憶が10分しか保てなくなった。だからあの文法で違和感ないわけだが、『シャッフル』にはそう言った説明が一切無い、これにはもちろん説明があるのだが、それを説明してしまうとネタバレになるので伏せる。音楽も常に何かが潜んでるようなホラー的な使い方で、それじゃあ、冒頭のシーンから何か起こりそうで、逆にハラハラしないわ!といった具合。

じゃあ『シャッフル』何がしたい物語だったのか?

『シャッフル』でサンドラ・ブロックは一週間をバラバラに行き来する。旦那が死んだり、生き返ったり、医者に行ったり、という行動がタイトル通りシャッフルされる。そんな事はあり得ないので、誰に話しても信じてもらえない。医者に話せば「頭が混乱してるんでしょう、精神安定剤を処方します」と言われ、毎日電話する親友や実の母親には警察に通報され、精神病院送りにされ、これから死んでしまう事が分かっている旦那には子育て失格の烙印を押され、浮気されかけられる。

この絶望的な状況の中で、唯一、親身になって話を聞いてくれて、相談に乗ってくれる人物。それが神父なのだ。神父はサンドラ・ブロックに「信仰を持ちなさい、それは希望や愛です。」と助言する。

つまりこれは、、、、例によって、アメリカ映画特有のキリスト万歳的な作品なのだ。人間はあなたの事を見捨てたけど、神は見捨てません。信じる者は救われるのです。信仰を持ちなさいという事なのである。じゃあ、なんであんなオチにしたんだよ!と見終わってから怒ってる人も居ると思うが、最終的な『シャッフル』のメッセージはこうだ。



ここからネタバレ。




人間はどんなにあがいても神が定めた運命には逆らえない。一週間どんなに右往左往しても、絶対に神には逆らえません。そんな事をしたって死ぬ事は決まってるのです。バーカバーカ。だから、どんな運命が待ち受けようとも、日々キリストを信仰して生きろ。クソ人間が。



ネタバレ終わり。



という事なのである。



あのな、そんな事を言うためにいちいち、一週間バラバラにして、サスペンスフルにするって、、、バカじゃねぇの!?あういぇ。