ライチ光クラブ

ライチ☆光クラブ (f×COMICS)

ライチ☆光クラブ (f×COMICS)

彼女を迎えに行く。んで一冊のマンガ本をおすすめされたので読むが、これが非常におもしろいマンガだった。タイトルが『ライチ光クラブ嶋田久作を輩出した伝説の劇団による伝説の作品で、これに衝撃を受けた古屋兎丸が20年の時を経てマンガにしたものだ。

彼女は若干腐女子の要素があるので、こういう世界観のマンガは好きなんだと思うが、毎日狂ったように今読んでると言われると、さすがに若干引いてしまうのは否めない。

それにしても『ライチ光クラブ』はすごい。何がすごいってこの世界観。何がしたい物語なのかよくわからない。アンダーグラウンドの芝居という事で異色という言葉がぴったりなのだろうが、それにしてもすごい。

ゼラと呼ばれるカリスマ的な高校生の元に様々な能力を持った青年達が絶対的な忠誠を誓う、ライチ光クラブという集団の物語。彼らは廃墟に集まり、人をさらっては殺し、機械をいじくる。やがて、人の目玉を埋め込んだライチと名付けられたロボットが完成。ライチに究極の美を教え込んだゼラは1番美しい少女を連れてくるようにインプットする。。。。

基本的にヒトラーだとか、キリストだとか、カリスマと呼ばれるものを想起させるゼラだが、この物語もキリストやギリシャ神話に連なる設定。部下による裏切り(しかもゼラは部下が裏切る事を予言している)、子供に殺される神(ロイ・バッティに殺されるタイレルみたいな感じ)など、聖書にまつわる事もちらほら出てくるが、それらが下敷きになってるかは不明。何故ならばそれほどまでに強烈な物語だからだ。

東京グランギニョルという名前の劇団なだけあって、マンガで繰り広げられるのはまさに一大グラン・ギニョールで、残酷に人が肉片になっていく様をエグく、執拗に描き込み、少女の陵辱や、処刑、やおいなど、映像化は不可能だろうと思わせる徹底的な描写が続いて行く。

耽美で妖艶で退廃的な世界観がとにかくずばぬけてすごい!これぞアバンギャルドな傑作だ!