『ダークナイト』の原作をついに読んだぞ!


12日朝
起きて、ビデオ1に行き、『ラスト、コーション』と『マッスルモンク』をレンタル。前者はアン・リーの映画で映画館で観ようと思っていたのだが、あっさりと終わってしまったので。

12日昼
コーラを飲みながら柿ピーを喰らいマンガを読むという生活を続けているので、運動しなくてはと、ジュンク堂まで歩いた。今、ちょこちょこ読んでるマンガは読み終わったら感想をそれぞれ書いて行こうかと、んで、いつものようにさっそうとアメコミのコーナーへ————そしたら、いつもの場所にアメコミのコーナーが無くなってる!!死ね!と思ったら、レジの横に移動してただけだった。心無しかちょっと拡大してる気も————

そしたら、なんと、『バットマン:ロング・ハロウィーン』が売ってた!ウオー!!

バットマン : ロング・ハロウィーン ♯1

バットマン : ロング・ハロウィーン ♯1

この邦訳版は3200円もするし、本棚作製などで、散財してしまってたから、ネットで注文しようかどうしようか、さんざん迷っていた。ただ、アメコミというのは基本的に重版がなく、見つけたら即買えみたいなところがあるので、買いましたよ。Amazonで発売しますって決まった時にはあっという間に在庫切れになったし。あと、もう一つ、アラン・ムーアの『続リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』も購入した。『リーグ・オブ・レジェンド』の原作で、一巻は読んでないのだけれど、Amazonでもえげつない値段になってて、前も『イヤーワン』を買い逃して7800円になってしまったので、二度とそんな事にならないように購入した。つーか、重版すりゃいいじゃん。確かにアメコミみんな読まないけどさ。帰って早速、『バットマン:ロング・ハロウィーン』を読むが————これ、すっげぇおもろい!!!!

ウォッチメン』や『ダークナイト・リターンズ』も大変素晴らしい超傑作だったが、バットマンに限って言うんだったら、これが一番好きかもしれない。例えば、『ウォッチメン』や『バットマン:イヤーワン』などは一つのコマに収められた情報量が多く、日本のマンガに慣れていると、読みずらいという印象を与えるかもしれないが、『ロング・ハロウィーン』は日本のマンガに近い動的な表現が所々に入っていて、セリフも少なければ、アメコミ特有の主人公達の心情を表す少女マンガのような吹き出しもそこまで多くない。

『ロング・ハロウィーン』はハロウィンやバレンタイン、クリスマスなどの記念日に殺人事件が起きるという、アメリカの記念日ホラーとミステリーを融合させたようなユニークなストーリーで、『イヤーワン』の続編という事もあり、ゴードンとデントがかなりフィーチャーされたコミックだ。バットマンの相方であるロビンやアルフレッドもちっとも活躍せず、バットマンは探偵のごとく事件を追って行く。記念日にマフィアのファミリーが殺されて行き、その事件の概要からホリデイと名付けられた殺人鬼が出てくるのだが、『ロング・ハロウィーン』はこのホリデイが誰なのか?というミステリー仕立てになっている。

ホリデイの正体を追うコミックだが、すごいのは、このホリデイが誰なのか?という容疑者にあたる人物が、コミックの中の登場人物全員に当てはまってるところである。主人公のブルース・ウェインやゴードン、デント、キャット・ウーマンやジョーカー、さらにマフィア側の人物まで、全員が容疑者であるところがすごい。しかも全員怪しいように描いてるところも見事である。

2008年を代表する傑作『ダークナイト』の元になったコミックは『ダークナイト・リターンズ』と書いてる人も多いが、実は『ダークナイト』の原作になったのは『ロング・ハロウィーン』と『キリング・ジョーク』だ。ぼくもそれはつい最近知った事だったのだけれど、後者はジョーカーの造形に多大な影響を与え、ハービーではなくゴードンをはめている違いくらいで、残虐性は薄まったものの、間違いなくモデルにしている。前者の方がもっと明確で、『バットマン・ビギンズ』の脚本を書いたデイビット・S・ゴイヤーはクリストファー・ノーランとの対談でこう言っている。

「『ダークナイト』が公開されれば、『ロング・ハロウィーン』の影響が一番強いってバレちゃうだろうな」


確かに『ロング・ハロウィーン』には『ダークナイト』に取り込まれたシーンが多々ある。ハービーとデントとバットマンが警察の屋上で会話するとか、実は死んでたはずの○○が生きてたとか、積み上げられた札束を燃やすとか、殺人現場にジョーカーのカードがばらまかれてたりとか、バットマンの相棒がロビンじゃなくて、デントとゴードンだったりとか、ストーリーは違うにせよ、『ロング・ハロウィーン』が無ければ生まれなかった映画だと言い切って良い。

ダークナイト』が公開された時にアメコミの枠を越えたという評価が目立ったが、コミックを読むと、実は『ダークナイト』は過去のバットマンの名作コミックの良い所をちょっとずつ取り込み、独自の物に昇華した、いわばバットマンのサンプリング映画だったという事がよくわかる。『イヤーワン』『ロング・ハロウィーン』『ダークナイト・リターンズ』『キリングジョーク』のテイストをふんだんに詰め込み、さらにクリストファー・ノーランの映像表現を+したのが『ダークナイト』だったのだ。

というわけで偉そうに知った口で『ダークナイト』を語ってた事を猛反省しているわけだが、『ロング・ハロウィーン』はセリフが少ないので、ちゃんと洋書も買って読もうと思うのであった。しかも円高で安くなっているし。

ちなみに『ロング・ハロウィーン』の日本版は3200円で、全二巻。一巻だけでは犯人が誰か分かりません!もどかしい!もちろん二巻も予約しましたが、全部読むのに6400円+税という無茶苦茶な値段します。洋書だったら1800円で全部読めますが、ああ、英語が分からないのが悔やまれる!あういぇ。

バットマン : ロング・ハロウィーン ♯2

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Batman: The Long Halloween

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