寺田克也は絵が無茶苦茶上手い。


友人の家にて『高校アフロ田中』『中退アフロ田中』『上京アフロ田中』を読み耽った。ひとんちのリビングに寝転がりながら、ゲラゲラ笑って読んでた。友人は隣でノートパソコンを取り出し、イヤホンを付け、ピンクフロイドビートルズなどを聞いてたのだが、いちいち笑える個所を二人で言い合いながら勝手に読んでた。このマンガおもしろいです。

アフロヘアーの田中という青年の高校生活を描いただけのマンガで、抜群の画力に各キャラクターのリアクションのうまさでゲラゲラ笑う。あと主人公達が童貞というのもいい。主人公達はくだらない話に興じ、下ネタばっかりなんだが、いわゆるモテない草食男子で、恋愛に対してかなり奥手で、人一倍恋愛に対して悩んでいる。しかも尋常じゃない性欲のせいで、セックスがしたいだけなのか、それとも恋をしたいのか分からんと長い間悩み続けるところにすごく共感した。

家に帰って、コミック・キューを読んだ。コミック・キューは存在だけ知ってて、前の彼女に教えてもらったのだけれど、古谷兎丸とかおおひなたごうとかがよく連載していて、ジュンク堂でも見かけたりして、気になってた。ただ、ジャンプのようなコミック雑誌なのに、1冊900円くらいする代物で、手が出なかったのだけれど、ぜーんぶ105円だったので、あるヤツ全部買って来た。

それにしても、このコミック・キュー、無茶苦茶おもしろい。コンセプトは、1冊にテーマを設けて、そのテーマにあわせて、人気マンガ家が、読み切りを掲載するというもので、一話完結を好むぼくにとってはかなりツボなコミック雑誌だ。しかもテーマがコラボレーション、食べ物、子供、手塚治虫のトリビュート、名作カバーなど、分かりやすいモノから実験的なモノまであっておもしろい。

コミック・キューで感動したのは、名作のカバーをテーマにしたヤツで、音楽にトリビュートがあるんなら、マンガにトリビュートがあってもいいだろうと企画されたヤツ。これで、松本大洋が『ドラえもん』をカバーしていて、それにすごく感動した。のび太くんが、『ピンポン』のスマイルのように描かれ、そこで展開されるのはまさに松本大洋の世界。これには驚いた。あと手塚コピーの天才、田中圭一のマンガも初めて読んだが、死ぬほど笑った。手塚治虫の絵を模写する事に定評があるが、藤子不二雄のコピーもすごかった。オノマトペまで完璧にコピーしてて、それが下ネタだから尚更おもしろい。単行本を買おうと思った。

あとビックリしたのは寺田克也森本晃司のマンガ。イラストレーターであるとか、アニメーターとしては知ってて、マンガを読んだ事がなかったんだけど、やっぱり絵が抜群に上手い人のマンガはすごい。二人ともメビウスとか大友克洋の影響が強いんだろうけど、井上雄彦とか桂正和鳥山明の上手さとは何かが違う。マンガ的な表現とは違う絵の上手さみたいなものを強く感じる。ぼくはこの人達がコミック・キューで書いたマンガはすごく好きだ。構図もコマの作り方もすごく独特で、しかもマンガとしておもしろいというよりは、超絶な絵から成り立っているようなマンガで、話そのものは純文学のような瑞々しさもある。

てなわけで、これからもブックオフの105円のコーナーから目が離せないのである。

今日は『バットマン:ロング・ハロウィーン』の二巻が届いたよ!楽しみだよ!あういぇ。