俺のレモンを搾ってくれよ、汁が足下に滴り落ちるまで
9日夜
夜中まで仕事をする。休憩中に『ザ・ワールド・イズ・マイン』を読む。帰ってしめはりつるを飲みながら、お刺身を喰らい、元祖大食い選手権を見る。ビール飲みながらごゆるりとリビングのソファで見てたのだけれど、気がついたら、朝の5時で、外が明るかった。
10日昼
12時まで寝てしまい、平本アキラの『俺と悪魔のブルーズ』の一巻を読んだ。素晴らしい!この漫画は『バガボンド』のミュージシャン版だ!
- 作者: 平本アキラ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/01/20
- メディア: コミック
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ウィリー・ブラウンやヴァージニアなど、ロバート・ジョンソンについてかなり調べあげたのだろう。そもそもロバート・ジョンソンを取り上げた作品は数あれど、彼の人生を作品にしたものは世界的に見ても、このマンガだけなのではないだろうか。確かに『クロスロード』という映画があったり『20世紀少年』でもロバート・ジョンソンにまつわる伝説はエピソードで出て来たが、まるまる主役になってるものは無い。
プレスリーやディラン、ジミヘン、ボブ・マーリーなど伝説と呼ばれるミュージシャンは数多いが、ロバート・ジョンソンこそ、伝説の人物という肩書きがしっくり来る人は居ない。ロバート・ジョンソンはミュージシャンというよりもブルースマンだが、彼が録音した29曲、42テイクはすべてブルースのスタンダードになり、あのボブ・ディランが「20世紀最大の詩人」と評するほど歌詞も突飛なメタファーが多く、ファルセットを多用したエモーショナルな歌声も相まって、クラプトンやレッドツェッペリン、ストーンズ、フェイセズなど世界中のありとあらゆるミュージシャンにカバーされまくっている。
ぼくがロバート・ジョンソンを知ったのは18歳とか、そのへんだったと思う、山崎まさよしが弾き語りでカバーした『Crossroads』という曲がやたらかっこよくて、それをコピーするためにスコアを買って、死ぬほど練習した。当時バイト先にスタジオミュージシャンを目指す人が働いていて、その人はブルースに精通してた人だったのだけれど、その人の前でギターを弾く機会があり、その曲を弾いてたら、「クラプトンじゃん」と言われたので、「え?これ山崎まさよしなんだけど」と返すと、「それはロバート・ジョンソンっていう人の曲をクラプトンがカバーしたヤツだよ、多分それを山崎まさよしがカバーしたんだと思う」と言われて、その人からロバート・ジョンソンとクリームのベストを借りたのだった。ロバート・ジョンソンは何が良いのかその時は分からなかったのだけれど、クラプトンの『Crossroads』はそれこそ何十回も聞きまくった。そこから『Unplugged』に行き着いて、ブルースを好んで聞く事になる。ロバート・ジョンソンは今でこそ良く聞くようになったが、確かに10代くらいでロバート・ジョンソンの事が本気でかっこいいと思ってる人はちょっと頭がおかしい(笑)
ちなみにぼくにロバート・ジョンソンを教えてくれたその人はスタジオミュージシャンとなって東京で活躍しているのだけれど、その人はクラプトンの『Crossroads』から今日のハードロックが生まれたんだと公言している。
ロバート・ジョンソンを研究した本もその人に借りたのだけれど、とにかく凄まじい人である。現存する写真は2枚。27歳の時に夫の居る女に手を出してしまい毒殺されたという説があるが、実のところ死因もハッキリしていない。酒と女をこよなく愛し、ギターを片手に各地を放浪していたのだが、ある時を境にギターのテクニックが向上し、その上手さから“悪魔に魂を売り渡した男”という伝説が生まれる。
研究本によると、録音された音源は「どう考えても2人居ないと成立しない奏法だ」「指が6本無いと絶対に弾けない」「低音と高音の三弦のリズムの刻み方、ボトルネックとファルセットの歌声を同時に操るのはほぼ不可能」など、本気で書いてるのか?と思うような文面も多く、そこまで言われると“悪魔に魂を売り渡した”という無茶苦茶な事もなんとなくしっくり来るような気もする。
『俺と悪魔のブルーズ』はRJ(ロバート・ジョンソン)というボンクラな農夫が主人公で、向上心だけはあるのだが、ギターがまるでヘタクソというキャラ。ところがある日、RJは教会で月明かりに照らされた十字架の下で悪魔と出会う。そして、数日後、RJは超絶なギターテクニックを持つ事になるという話だ。
『スラムダンク』がバスケブームを巻き起こしたように『俺と悪魔のブルーズ』もブルーズブームを巻き起こせばいいのになぁと思っていたら、どうもこのマンガ打ち切りになってしまったようである。うーん。残念だ。残念でならない。あとがきには鮎川誠を始めとしたロバート・ジョンソンマニアが、ものすごい長文で想いを寄せているというのに、玄人受けは良くても素人受けは良くなかったんだなぁ。
二巻以降はまるっきりフィクションになってしまうらしいのだが、それにしても感動した。平本アキラという人はギャグマンガを書いてるらしいのだけれど、そちらも読んでみたくなった。
最後にぼくが一番好きなロバート・ジョンソンの『Malted Milk』の動画を。
「お気に入りの麦芽ミルクをずっとかき混ぜててくれ 俺の気が変わるまで」
なーんか、やらしく感じるのは俺だけか?あういぇ。