アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン


6日夜
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』鑑賞。

フランシス・ベーコン具象絵画をイメージしました。エンターテインメント性ではなく、逆に極めて芸術性の高いアート作品を目指したつもりです。彼らの新境地の演技を見てほしい

とは監督の弁だが、ヌーベルバーグに影響を受けたような、極端に説明のない、もっと言えば、台詞すらろくにない映画で、風景の中に役者を放り込んで、一枚の絵として、切り取って行ったような作品。

確かに、役者達は今までに無い演技で、新境地を開いてるのは間違いないだろう。過去の事件にトラウマを持つハートネットは、ナイーブな演技を見せ、人を痛めつけるのが好きなサディスティックなギャングであるイ・ビョンホンは鬼気迫る表情で狂気を表現し、現代のキリストを演じたキムタクは3人の中でもっとも台詞の無い難しい役を演じ切っている。ボーダーレスで3大スターが出演してる事で話題になってるが、ショーン・ユーサム・リーイライアス・コティーズといった脇役も見逃せない。

その浮遊感漂う映像の中にレディオヘッドの先進的な音楽が相乗効果を呼び、さらに大量の血や目をそむけたくなるようなバイオレンスがスパイスとなり、今までに見た事ないような作品にはなっている。なってはいるが、、、

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』は恐ろしくつまらない!!!!

キリストの復活とか再生、受難を描くのはよく分かるし、寓話である事も十分承知なのだが、それにしてはありえない事の連続で、どんだけの奇蹟が重なれば、こうなるんだよ!ってくらいご都合主義が目立つ。

ハートネットは世界一の金持ちに息子探しを依頼されるわけなのだが(その息子がキムタク)、世界中何処に居るか分からない、ましてや、殺されたと証言まである男に、いきなり出会う(笑)神の思し召しとかそういう風に言えば問題ないんだろうが、それにしてはすごい。この時点で完全に入って行けないという(笑)

個人的に前半はすごくタルかった。逆に後半はあっという間だったりもしたんだけど。

イ・ビョンホンの肉体美を見る為に期待して行ったババアどもは面食らったろうなぁ(笑)

それでも、登場人物が意味もなく裸になり、しかも、何故か濡れてるというところが、日活黄金期の映画を彷彿させてよかった。女にとっての萌え要素をバッチリ抑えてるところがナイスである。

まぁ、全然つまらなかったんだけど、妙に映像は残るし、印象深いシーンもあったので、これはこれでありなんじゃないかなぁとか思ったりもしたが、当然おすすめなんて出来ないので、各自、自己責任にてよろぴく。