LPと『ハイ・フィデリティ』

こないだ、レコードプレイヤーを遂に買い替えた。前のヤツがぶっ壊れてアームが言う事を聞かなくなったからだ。前からハードオフとかで見かけていて、買おう買おうと思っていたコロンビアのポータブルプレイヤーにした。

クレイジーパパさんにお借りしたはっぴいえんどのLPがこれでやっとまともに聞けるってんで、昨日は昼からビール飲みながら、はっぴいえんどのライブ盤をごゆるりと聞いてました。これぞ休日。

実ははっぴいえんどのライブ盤は初めて聞いた。ただ、これ73年のヤツなんだけど、聞いててはっぴいえんどよりも、大瀧詠一のソロである『空飛ぶ・ウララカ・サイダー』が完全にツボってしまった(笑)元々『ウララカ』って曲が好きだったもんで、ごゆるりとした感じになってて、休日にぴったりだった。

んで、改めて思ったのだけれど、CDやiPodで聞く音楽が家で見るDVDだとしたら、レコードで聞く音楽ってのは映画館で映画を観る感覚にすごく似ている。始まったら基本的に止められないし、早送りとか出来ないし、なんというか音楽鑑賞してるという気分にさせられる。映画館で映画を観て、おもしろかったらDVDを買って保存しておくのと同じように、好きなアルバムくらいはLPで買って置いといてもいいのかもしれない。

てなわけで、今日は朝から古町のレコード屋さんに行った。ウィズビルの中にあるヤツ。降ってるか降ってないか分からないくらいの小雨に当たりながら、自転車を漕ぐ。Tシャツからはみ出した腕が徐々に冷えていくが気にしない。ここに来たのは久しぶりだ。年代もののエスカレーターに乗り、三階の奥へと行く。さっそくきっちり置かれたダンボールが見えた。ポップやCDの棚には全部手書きの紙が貼られている。無造作にレコードのプレイヤーが積まれていて、そこに値札が貼ってあった。ヒップホップのコーナーが多く、ロックが少なくなっていた事には憤慨したが、店の雰囲気はぼく向きであった。探したのは、はっぴいえんどの『ゆでめん』。ジャパニーズロックのコーナーを漁ったが無かった。もしかしたらとフォークのコーナーも見た。それでもなかった。ザ・バンドのファーストも探したのだけれど、見つかったのは『ラスト・ワルツ』。アメリカンロック「B」の棚を見てたのだが、ザ・バンドのファーストの代わりに村上春樹の『意味がなければスイングはない』に出て来たブルース・スプリングスティーンの『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』のLPを見つけた。300円だったので即買い。実は聞いた事が無くて、いつか借りようと思ってたのでちょうどよかった。値段的にも。

レコードをずっと眺めていたら『ハイ・フィデリティ』が観たくなったので、DVDで久しぶりに観た。この映画を観るといっつも身につまされる。

ハイ・フィデリティ 特別版 [DVD]

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主人公のロブは気難しい性格で、友達は音楽オタク、中古レコード屋を経営しているが金無し、女の子にはいっつもフラれて、フラれては自分の部屋のレコードを整理して気持ちを落ち着かせる――――人と付き合う定義は本と音楽の趣味が合う事で、自分にとって何気ないと思っている行為が他人にとっては最低に映り、女を横取りした男を半殺しにする妄想をする――――しかも自分がフラれる理由ってのが、他人に深入りしない、将来やありとあらゆる事から逃げ続ける性格だという事――――

はぁ――――これオレなんだよなぁ……ああ!フラれた後に相手の家の前まで行って電話とかしたさ!ふん!

にしても、タランティーノシンドロームに犯されてない脚本はウマい。ラストにあなたの生涯のレコードベスト5は?と聞かれて、テープにダビングするくだりは何度観ても泣ける。

しかし、『ポイント・ブランク』もそうだが、ジョン・キューザックが制作か脚本にいっちょかんでる作品は好感が持てるなぁ。あういぇ。

ポイント・ブランク [DVD]

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