最も凶悪なカブトムシの歌


いよいよ、今日、ビートルズのリマスター盤が発売される。昨日、ツタヤに行ったら、“明日入荷”という文字がコーナーに貼ってあった。音楽の雑誌のところにも、ビートルズリマスターの文字がたくさん並んでいた。銀座では日付が変わった瞬間に発売されたりして、列を作ってたとかなんとか、うーん、行きたかったなぁ。

『アンソロジー』、『イエロー・サブマリン〜ソングトラック〜』、そして新たなベスト盤の『1』に『レット・イット・ビー…ネイキッド』、さらにミュージカルのサントラ盤の『LOVE』と、数年に一度、ビートルズはなんらかの新作を出している。その度にTVや雑誌に取り上げられたりして、新たなファンを獲得しているのだろう。実際、職場の若い人も、それらをレンタルしたりして、好きになったりしている。

ベスト盤から入ったりした人なら分かるだろうが、一般的なビートルズソングのイメージは“LOVE”だと思う。『レット・イット・ビー』や『ヘイ・ジュード』、『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード』とかあったりもして、人生の応援歌のようなイメージも持ってる人もいるかもしれない。

ただ、ビートルズ以前、ビートルズ以降という言葉があるように、ビートルズは曲だけでなく、歌詞の内容もおもしろい。確かに初期は愛だの恋だのいかにもアイドルっぽい感じなのだが、中期以降、言葉のコラージュを目指したジョンと、短編小説のような世界を目指したポールの作風が分かれ始めてからの歌詞は音楽性同様に多種多様だ。

だから「ビートルズって愛だの恋だのっていうのが多くて嫌」とか、妙な偏見を持ってる人は、ベスト盤ではなく、今回リマスターされたオリジナルアルバムを聴いて欲しいので、今日はリマスター盤発売を記念して、ぼくの好きな凶悪なビートルソングを一曲紹介しようと思う。『アビイ・ロード』に収録されている『マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー』という曲だ。

アビイ・ロード

アビイ・ロード

『マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー』


ジョウンはちょっと変わり者
大学では物理学を専攻してる
家に帰っても、夜更けまで一人
試験管で実験をするような女の子だ


マックスウェル・エディソンは医学生
彼は彼女に電話する
「ねぇ、ねぇ、一緒に映画でも観に行かない?」


彼女が出かけようと仕度をする……その時、ドアを叩く音が――――


バン!バン!マックスウェルの銀のハンマーが
頭めがけて振り下ろされる
バン!バン!マックスウェルの銀のハンマーが
彼女を死に追いやった


再び授業が始まるとマックスウェルはいつものようにイタズラをする
困り果てた先生だがここで揉める事は避けなければならない


先生は「授業が終わっても残ってなさい」とだけマックスに告げる
彼は居残って“態度を改めます”と50回書きながら先生を待った


そこへ先生がやってきて背を向けた…背後から忍び寄ると彼は――――


バン!バン!マックスウェルの銀のハンマーが
頭めがけて振り下ろされる
バン!バン!マックスウェルの銀のハンマーが
彼女を死に追いやった


巡査31番が言った「とんでもないヤツを捕まえました」
そして独り、法定席に立つマックスウェル
図を書きながら何かを証明している


ローズとヴァレリーが傍聴席から叫ぶ「彼は無実よ!自由にしてやって!」
しかし裁判官は無視して判決を言い渡そうとした


いよいよ口から判決が出ようとする時…背後から不気味な物音が――――


バン!バン!マックスウェルの銀のハンマーが
頭めがけて振り下ろされる
バン!バン!マックスウェルの銀のハンマーが
彼を死に追いやった


シルバーハンマーマン!!

ウィキペディアにも書いてあるが、歌詞を読んでいただければ分かる通り、連続殺人犯の事を歌っている。しかも、トンカチのカンカンという音が入ったりするお気楽ナンバーだけに、歌詞の内容と相反していておもしろい。

youtubeを探したら、この曲の内容をアニメ化した映像を見つけた。曲に合わせて歌詞も出て来て、歌詞通りに映像が動いていくので、より歌詞の内容を理解する事が出来るだろう。ただ、映像は血が噴き出して、なかなかエグいので、それが苦手な人は観ない方が良い↓

てなわけで、リマスター盤発売で再び盛り上がるビートルズ。これを機会にダークサイドなビートルズを聴く事も絶対におすすめする。確かに若い人にとっては古いとか、神格化されてるような存在に映るかもしれないけど、チャールズ・マンソンの信者が『へルター・スケルター』を聞きながら、シャロン・テートを殺したなんて都市伝説もあるくらい、ビートルズは楽しい音楽だよ!あういぇ。

ザ・ビートルズ・ボックス

ザ・ビートルズ・ボックス