「やっぱり家が一番よね!」の意味がこれから変わってしまう…


その昔『妖怪道中記』というPCエンジンで発売されたゲームをプレイしていたときの事、ステージ3かなんかで出て来る竜宮城に入ったら、乙姫がストリップをするというイベントがあった。

この時に、「もしかしたら浦島は竜宮城でキャバクラのように女の子をはべらかせて豪遊し、さんざんヤラしいことした後に乙姫とセックスしたのかもしんねー」と妄想したのは言うまでもない――――

人魚姫が人間になるのはロストバージンのメタファーだと解釈されるように、語り継がれて来た物語には性的なメタファーがあってもおかしくない。そして、世界的な児童文学でいろんなことを妄想する人が居たとしても不思議ではないのである。

映画秘宝の5月号で紹介されてから読みたくて読みたくてしょーがなかったアラン・ムーアの『Lost Girls』をひーひー言いながらやっと読んだ(豆腐さんホントにありがとー!)。『Lost Girls』はまさにその妄想を突き詰めたような強烈なコミックであった。

『Lost Girls』はあるホテルに3人の中年(初老?)女性が集まって来るところから始まる。その3人はアリス、ウエンディ、ドロシーという、ちょー有名な児童文学の主人公たちだ。性に対して異常な執着心を持つ彼女たちは同じ匂いを感じたのか互いに惹かれ合い、自分が体験した過去の冒険を話し始める…

『Lost Girls』の3人に共通するのはいずれも現実世界ではないところに冒険しにいった女の子であるということ。その冒険がオトナになるための通過儀礼であるならば、それはセックスを意味してるのではないのか?そして、その冒険が普段の生活とはかけ離れたものであれば、そのセックスも普通のものと違ってたのではないだろうか?そのようにアラン・ムーアが考えたかどうかは分からないが、ワンダーランド、ネバーランド、オズの国に旅立った3人は、ぼくらが聞いて来た物語とはかけ離れた、不思議な性のファンタジーを体験していた。

8割方セックス描写にまみれてるものの、装丁や絵柄は19世紀の絵画*1をうまーく使い、女体が横たわったり、ちんこ出した天使が飛び回ったりするような絵画の構図をキメ絵にして『オズの魔法使い』や『ピーターパン』、『不思議の国のアリス』のストーリーをなぞっていく――――もうここまでやったら、「これはエロすぎる!」と非難するのがお門違いになってしまうほどのアートコミックである。

その内容たるや凄まじい、噂以上だった、台風で家ごと飛ばされたときドロシーはマスターベーションをしていて、カカシやブリキの木こり、ライオンとハードなセックスを繰り広げ、ウエンディはいきなりピーターパンのちんこしゃぶったり、フック船長に犯され(しかも船から落ちるときに射精をしている)、アリスはネコにクンニされ、ウサギにニンジンをつっこまれそうになったりしているときたもんだ。

児童ポルノ的な内容なので、日本版が発売されることは絶対にありえないだろうが、とにかくあいかわらず文字数がハンパなく、誰かが何処かへ行って、何かをするという物語ではないために、理解出来てない部分も多くて、英語がまったく分からないことが悔やまれる。

なので、『フロム・ヘル』も楽しみなのだが、実際の歴史をなぞった『ウォッチメン』や『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』のように、『Lost Girls』もアラン・ムーアの真骨頂と言った感じで、素晴らしい――――でも深いところまで理解しているかと言われればウソになる。だから翻訳、なんとかならないだろうか、というか、なんとかして欲しい。日本語訳出してください、出せ。あういぇ。

『LOST GIRLS』の中身がこちら→http://f.hatena.ne.jp/katokitiz/Lost%20Girls/

エロいから18歳以下は見るなよ!

Lost Girls

Lost Girls

*1:具体的にはエゴン・シーレミュシャビアズリー、バイロスであるが、これはその映画秘宝で紹介していた柳下毅一郎氏の受け売りなのであった、にゃははは