映画秘宝のゼロ年代ベストに『トゥモロー・ワールド』が入ったんだからさぁ…

映画秘宝ゼロ年代ベストを買った。ぼくは熱心に映画秘宝を買ってる方ではないのだけど、こういうベストの時は絶対に買ってしまう。

映画秘宝 2010年 02月号 [雑誌]

映画秘宝 2010年 02月号 [雑誌]

ぶっちゃけ1位の『殺人の追憶』はとても納得したけど、意外だったのがスピルバーグの『宇宙戦争』だった。いや、ぼくは死ぬほど好きな映画なんだけど、まさか2位にまでなるとは!――――と思ってたら、微妙に選者が変わってて、映画評論家という肩書きの人が少なかったのだった。あらら。それは関係ないのかな?

ぼくは『トゥモロー・ワールド』をゼロ年代のベストワンにした。もうすぐ発表されるであろうブロガーたちの祭典「破壊屋ゼロ年代ベストテン」の方でも『トゥモロー・ワールド』を一位にしてしまったくらい好きな映画だが(あとは破壊屋の方でお楽しみください)、映画秘宝でも三位になっていた。東京に向かう時に古泉智浩さんも、「『トゥモロー・ワールド』以前の90年代に衝撃的な近未来SFが無かったからなんだよ!」とおっしゃってたように、確かに『トゥモロー・ワールド』は『ブレードランナー』や『未来世紀ブラジル』とタメ張る傑作だと思う。

さて、そんな『トゥモロー・ワールド』をBDで観たが、素晴らしいっ!残念ながら日本盤は出ておらずUS盤の日本語字幕無しだったのだが、何度も観た映画だったし、世界観の設定は頭の中にばっちし入ってるので、否が応でも映像の力にグイグイ引き込まれていく。とにもかくにもさいこーで、『ブレードランナー』共々、ずっと何十時間も見続けていたい映画なのだ。

それにしても『トゥモロー・ワールド』のBDはすごい。いきなりどうでもいいところから入るが、パッケージがかっこいい!

あと『ダークナイト』を観た時も思ったが、街の全景を映し出すシーンこそBDの力が発揮されると思う。特に『トゥモロー・ワールド』はクローズアップがなく、街そのものに人が居るような映し方をしているためか、やたらと映像のキレイさに感心させられた。特に冒頭の2027年のロンドンが映し出されるシーンの美しさは目を見張るものがあり、クライマックスの市街戦もその場に居るような迫力に襲われ、音の良さも相まって、やはりとてつもない作品だと核心した。

トゥモロー・ワールド』を改めて観て思ったのは、映画の中で起こってることをドキュメンタリーのように撮影してるんだなということ。言えば、手持ちカメラと長回しだけで映画を成立させてしまったというショックがある。裏を返せば『トゥモロー・ワールド』はあれだけ映画的な興奮が詰まった、作品なのにも関わらず、デ・パルマのそれとは違って、カットバックはおろか、クレーンショットも、モンタージュも、クローズアップもトラックバック/アップも使われていない映画なのだ。


ここからネタバレ!映画を観てない人、観ようと思ってる人は読まないでねん!


冒頭の爆破シーンや暴徒に襲われるシーン、クライマックスの市街戦の長回しが有名なのだが、ぼくが一番驚いたのは出産シーンの長回しだ。というよりも、ここ長回しだったんだ!と驚いてしまった。部屋から犬が出て、戸が締まり、いきんで、赤ちゃんがスポーンと出て来て、抱き上げるまでワンカットなのである。US盤なので字幕が入っておらず、古泉さんから封を開けてないDVDを借りてメイキングを観たら、ここでもCGが使われていたのだが、それにしても暗い部屋の中であれだけのクオリティで合成したことは驚愕だ。


ネタバレは終わりだ!


あと『トゥモロー・ワールド』のBDは、映画を観てて、ボタンを押すと、その場面のメイキングが見れるムービーインムービーというかっちょいい特典があり、字幕が無いとキツいので、せっかく映画秘宝のベストでも3位になったんだから、早いところ日本盤を出してほしい。アメコミだってあんなに復刊したんだからさぁ――――って関係ないか、あういぇ。


死が訪れても決して立ち止まらない『トゥモロー・ワールド』 - くりごはんが嫌い