こんな時代だからこそ、地球に優しいエコなSFを


昨日の夜、久しぶりに『サイレント・ランニング』を観た。『2001年宇宙の旅』、『ブレードランナー』、『未知との遭遇』など、映画史に名を残すSF映画の特撮マンとして活躍したダグラス・トランブルが初監督で放ったSF映画だ。

昨今エコだのリサイクルだの、地球に優しくしよーぜ的なことがよく叫ばれているので、あ、そういえばと、なんとなく観たわけだが、やはり素晴らしい作品だと思う。

90分の中に生命の大切さ、人間のエゴ、孤独、自然との共存、文明社会のあり方を盛り込んだ秀作で、低予算である事を逆手に取ったストーリーが秀逸。地球上に無くなった緑を宇宙ドームで育てるという発想がおもしろいのだが、この計画を打ち切られる事で、この計画に躍起になっていた乗組員が暴走してしまうという話はありそうで無い、それ故シーンの1つ1つが印象深く、シリアスな映画だがとても微笑ましい映画に仕上がっている。

地球に緑がなくなってしまったという話でエコと真逆じゃん!と思うわけだが、主人公が植物オタクというか、それ以前にとてつもない人間嫌いで、もっと言えば「ロボットと緑があれば人間なんていらねーよ!」という思想が全面に押し出されている。押井守の「犬と人形がいればあとはどーでもいいよ!」という部分と呼応するわけだが、それ故に『サイレント・ランニング』はとてつもなくおもしろい。どこか有吉のテレビでの立ち振る舞いを見て笑ってしまうというか、そこまで人嫌いだとあっぱれだな!という具合である。植物を育ててるだけに草食男子っぽいわけだが、その草食男子のストーカー的な恐怖も描かれていて、映画に組み込まれてるのはこの時代としては先見の明があると思う。

この映画で驚いたのはタイトルバックだ。あんなに美しいタイトルバックをぼくは初めて観た、そして一気に魅了された。これは誰のアイデアだったんだろう?タルコフスキーのあの感じとはまた違う自然の映像美で感動した。寄り過ぎるくらいズームした自然を長く映し出すオープニングは秀逸で、SF映画なのにSFとは無縁の映像から始まるという点で『2001年宇宙の旅』に近い印象を持つかもしれないが、このツカミからして、『サイレント・ランニング』は勝利していた。

低予算で映画の完成度は高くないかもしれないが、かなり個性的なSF作品だ。そもそも、植物とロボットがいれば人間なんていらないという発想がぶっ飛んでて好きである。だって、ロボットと植物って全然真逆のものでしょ?それを両方愛するというところがまず絵的におもしろくて、植物をバックにロボットとウロウロする映像を見るだけで、なんか好きだなぁと思ってしまうのだ。

とにかく“自然との共存”という主題ならば『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』よりも分かりやすく、歪んだ思想もあって、おすすめ。一時DVDが激安で売ってたのだが、ぼく的にはとっととBDで出してほしいくらいである、あういぇ。

あ、そう言えば、こないだビートルズのCDをレンタルしたと書いたが、返却した次の日の朝にメディアパワーから電話かかってきて、「昨日の深夜に返却されたビートルズホワイトアルバムに入ってたフォトブックが一枚紛失されてるようなんですが、心当たりありますか?」と言われた。あるわけねーだろ!!歌詞カードすら見てないんだよ!オレは!!誰だ紛失したヤツ!このままだとオレはフォトブックを盗んだ男というレッテルを貼られるどころか、弁償しなきゃならないかもしれねーんだぞ!!