『サロゲート』は思った通りのB級ノリSFアクション
『サロゲート』鑑賞。
ロボットと脳をプラグで繋いで、自分の身代わりにさせるという『マトリックス』と『ターミネーター』を足したような内容で、皮膚がはがれて金属がむき出しになるなど、ホントに映像も『ターミネーター』っぽいなぁと思ったら、監督がなんと『ターミネーター3』のジョナサン・モストウだった。
ジョナサン・モストウと言えば、夫婦でドライブに出かけたら砂漠で立ち往生して奥さんがいきなり行方不明になる『ブレーキ・ダウン』という傑作を撮った後に潜水艦モノの『U-571』を作り上げ、いわゆるポップコーンムービーとは一線を画す娯楽作品を撮ってたのだが、『ターミネーター3』というズッコケ大作を撮ってから、その名を聞かなくなった。『サロゲート』でいよいよ1作目の路線を復活させるのかと思ったが、ブルース・ウィリス主演で『ターミネーター』のような内容なので、出来上がったものはやっぱりビール片手に楽しめるポップコーンムービーだった。車の上を大ジャンプで駆け抜ける描写などはホントに『ターミネーター』を彷彿とさせる。
冒頭、サロゲートシステムが栄えたことを説明するシーンが出て来るのだが、ここが非常にうまくて、おもしろい。リアルなウソのニュース映像をドキュメンタリーのように編集して、すごく説得力があった。まずは身障者用に脳からの信号で手足を動かすシステムで、そこから軍にその技術が行って、そこから一般向けになっていったという流れもリアルだ。さらにロボットで生活することを反対してる団体がいて、それがかつてのヒッピーみたいな生活をしているというところも現実っぽくていい。
あとはロボットの描写。この手の映画だと、人間が演じて、人間そっくりですねぇと演出するもんだが、『サロゲート』では明らかにロボットはロボットとして描かれる。まばたきの回数は圧倒的に少なく、髪の毛もズラをかぶってるような違和感があり、肌の色や歯並びまでマネキンがそのまま意志を持って動いてるように描かれて行く。みんな理想の顔や体型にしているため、街にはエビちゃんや佐々木希のようなモデルっぽい女の子ばかりになっている。
サロゲートが死んでも、ロボットなので、操ってる人間は死なないという世界なのだが、ここでサロゲートもろとも人間までもが死ぬ事件が起こり、それをブルース・ウィリスが追うというプロット。別に深みは無いが、非常におもしろいと思った。なんと言っても、サロゲートを操ってる人間の姿は分からないようになっているので、「実は女だけど、中身は男!」みたいな設定が後々に効いて来て、物語を転がす仕掛けになっているのだ。まぁ、ベタっちゃベタなんだけど、普通にハラハラしてしまった。
ただ、いろいろと「?」と思ったこともあったりした(ここからは観た人にしか分からない書き方で書く)。
・サロゲートをぶっ壊す、あの武器だが、一体いつ人間の手に渡ったのか?
・サロゲートに繋いだプラグはいきなり引っこ抜いてもいいのか?
・ロボットの耐久性が曖昧
・ロボットの能力の説明が無いため、どこまで強いのか分からない。急に足早くなったりするし。
・サロゲートを全停止させるシステムを作ったのはあのデブだけなのか?
・ずっと寝てばっかりで床ずれはないのか?
・つーか、病気に気づきにくくて、結構そこが問題視されるのではないか?
・ロボットが入れない領域にロボットが数体居たのはなぜ?
・ラストでブルース・ウィリスがする決断を、最初からあの博士が考えてればよかったのではないか?
まぁ、設定や持っていきかたはリアルだったのにルールは曖昧だったが、90分という手軽さもあって楽しんだのも事実。レイトショーやサービスデーに行って、ビール片手に鑑賞するのがベストなのだと思う。おすすめとは言わないが、暇つぶしにどーぞ。あういぇ。