コララインとボタンの魔女


コララインとボタンの魔女3D』鑑賞。

読書熱が全開なのと、肌をつんざく寒さのせいで映画を観に行くという行為から遠ざかってしまっていた。家からチャリで5分の場所にシネコンがあるにもかかわらずこの体たらくである。東京の人を見習わなければならないなぁと本気で思う。新潟はホントに映画を観るには良い環境だ。市内に4つもシネコンがあるし、駐車代はかからない。しかも無駄にロビーが広くて、300人近く詰め掛けてもまったくストレスを感じないと来てる。

ぼくはヘンリー・セリックのファンだったので『コラライン〜』はとても観たい作品だったのだが、新潟でやってないだろと勝手に思い込んでしまって、諦めてた。そしたら古泉智浩先生に「レイトショーやってないから、ふたりデイ狙って行きませんか?」とお誘いいただいたので、それでやってたことを知って飛びついた。毎度毎度ありがとうございます。

映画が始まる一時間前に出発。つい最近まで雪が降り注いでいたことを忘れさせる陽光がフロントガラスを貫き車全体を微かに温めた。平日ということもあって、ワーナー南があるショッピングモールはさほど混んでおらず、スムーズに車を停めて、映画が始まるまでC・マッカーシーの『ザ・ロード』をフードコートで読み耽っていた。フードコートで読むような本じゃないな、こりゃ。

古泉さんと合流して、観たのだが――――いやはや、とてもおもしろかった。

白状しておくと、ぼくは名作として名高い『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』よりも圧倒的に『ジャイアント・ピーチ』派で、むしろ『ナイトメア〜』にはまったく思い入れがないくらいである。今回の『コラライン〜』は『ナイトメア〜』の悪夢感と『ジャイアント〜』の冒険がウマい具合にミックスされた作品で、ヘンリー・セリックの集大成になったんじゃないかなぁと思った。つってもそんなに撮ってないけど。

まず、驚いたのは、人形アニメなのに、カメラワークに制限が無かったことだ。超スピードでトラックアップ/バックするわ、オーバーラップするわ、モブシーンあるわ、CGを使ってるにしてもモーフィングから、空撮まで、デ・パルマ映画のそれのようにトリッキーなカメラワークを見せてくれる。

さらにキャラクターの表情に演出の趣を置いたのか、全キャラクターの表情が、役者よりも豊かだった。人形が動いてる!という感動はもう当たり前になってしまったわけで、監督はそこからもっと突き詰めた表現を試みた。これは特筆すべき点であると言える。

そして、ストーリーがまた良かった。『千と千尋の神隠し』や『パンズ・ラビリンス』に連なる、ダークファンタジーで、後半になると、トラウマ必至の恐ろしい描写が待っているのだが、それが近年のファンタジーには無い要素で好感が持てた。もうオレは『ハリーポッター』とか『パーシージャクソン』のふんちゃらかんちゃらなんて観たくないんだよ!両方観てないけど!

THE MOVIEの文字がポスターに刻印され、ベタベタと目立つところに何枚も張られてるわけだが、そんなどーでもいい映画を観るくらいなら明らかに『コラライン〜』を観る方がおすすめ。壮大かつ、ダークなイマジネーションに浸ろう!THE MOVIE関係で儲けた製作陣はそれを『コラライン〜』みたいな映画に出資しろ!あういぇ。

ジャイアント・ピーチ 「アリス・イン・ワンダーランド」ポストカード付き (初回限定) [DVD]

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ナイトメアー・ビフォア・クリスマス [DVD]

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