ジェネックス・コップ

『ジェネックス・コップ』鑑賞。今んとこハズレなしのベニー・チャン監督作。

正直、大分後追いなので、すべてはここから始まったなという印象。デビュー作ではないんだけど、ベニー・チャンっぽいというか、コーエン兄弟でいうところの『ブラッド・シンプル』という感じ。あくまで今までのジャッキー映画の調理法に倣って制作された『フー・アム・アイ』に比べると若干荒削りさは否めないものの、これがブラッシュアップしていって『インビジブル・ターゲット』になったんだなぁと思うと感慨深い。

ニコラス・ツェーを始め、若手が総出演していて、製作したジャッキー・チェンもよろっと次世代のアクションスターやアクション映画を探してたのかもしれない。

ストーリーは、とあるギャングを逮捕するためにエリック・ツァン演じる問題刑事が作戦本部からつまはじきにされ、自ら警察学校の生徒を引き連れてチームを結成。紆余曲折しながらも事件を解決するというお話。

さらっと書いたが、観てて、基本的に予想も付かない方向へと進んで行くのが特徴。この辺は香港映画ならではの作り。どこからどこまでが作り込まれていて、どこまでがその場で作られたのか分からないくらい歪で完成されてない。だからこそ、予定調和にならず、とてもハラハラしておもしろい。これって人生そのものだなとか思うのだが、言い過ぎだろうか。

アクションの演出はやはりうまい。ワンテイクが若干長めで、それに応えるかのように、役者もノースタントでほとんど演じ切っていて、度肝抜かれる。火薬の量が他の監督に比べると多めで、火のアクションが特徴的でおもしろかった。

まだフランク・ダラボンばりの鬼畜なドS演出がないところが、なんか微笑ましく感じるベニー・チャンの出世作。最後の最後で出て来る超ビッグなゲストも含めて、やはり応援したくなる作品だ。香港映画好きならばやはりおすすめなのであった。

あと、今日は破壊屋さんがゼロ年代のワーストを発表していた。

http://hakaiya.com/best/zerw/index.html

ぼくも参加させてもらった。ワーストにしたのは海賊の映画とキリキリ。もちろん他にもダメな映画はたくさんあったが、ゼロ年代はこれにつきるだろう。『サヨナライツカ』も入れたのだが、あれはゼロ年代じゃなかったのでした。すいません。

あと『ブラウン・バニー』ね!これは思い出の映画ですよぉ。『バッファロー'66』に大感動して、さらにクロエ・セヴィニーがギャロのアレをアレするってことで、無茶苦茶期待して発売日に3800円で買って、ワクワクして観たけど、死にたくなった。

邦画がかなりランクインしているが、ぼく自身、オールタイムベストテンを作れと言われると邦画だけでも10本作れてしまうくらい邦画には思い入れがあるために残念だ。それでもぼく個人的な意見を言わせてもらうと、『大日本人』とか『しんぼる』がキリキリの映画より劣ってるとはやっぱり思えない。地雷を踏み過ぎたきらいもあるが、やっぱり個性的な映画を撮ってるとぼくは思いますよ。実際、『大日本人』も『しんぼる』もスクリーンで2回観たし。ぼくは好きだなぁ。うん。ちなみに『しんぼる』はブルーレイ出ないんだって――――ちぇっ。