午前十時の映画祭『ワイルドバンチ』


午前十時の映画祭に行く。さすがに『ワイルドバンチ』だったので、雨が降ってたけども、重い腰を上げた。新潟県人は車で移動するんだからいいじゃんって言われるだろうが、やってるのがTジョイなので、車で行くには非常にアクセスが悪い、なのでチャリで行く。映画観たら5時間の無料駐車券が付いて来るが、どこが契約駐車場だか分からないし、なんか4月から変わったりなんだりで、よく分からなかった。というか、あの辺車で行くの大嫌いなんだよ。ごめんね。なので、雨が降ってるとチャリだとキツいわけなのである。

久しぶりにTジョイに来た。ここはチケットを買うために、まず整理券を機械で発行して、病院の待ち合い室みたいに呼ばれてから、チケットを買うシステムである。午前十時の映画祭の他に時代劇まつりもやっていたので、ジジイばっかりで、その整理券のシステムが分からない人が多く、右往左往してた。

午前十時の映画祭は全席指定席だった。Tジョイはスクリーンが小さいので、結構前の方で席を取った。

映画を観ようと思って、スタスタとスクリーンの方へ。『ワイルドバンチ』はスクリーン2だ。チケットを切ってもらうためにもぎり台のところまで来たら、二十歳そこそこの女の子二人組が前に居てチケットを切ってもらっていた。その時に係員が「スクリーン2は向かって左側ですねぇ」と案内してたのだが――――スクリーン2って――――『ワイルドバンチ』観るの!?間違ってない!?生田斗真とか出ないよ!?

そもそも『ワイルドバンチ』って時代に取り残されていく初老の強盗団が最後の仕事を成功させた後に彼らなりの筋を通して、死に場所を選ぶっていう映画だぜ!?

ぶっちゃけ「なんで『ワイルドバンチ』を観ようと思ったの?お嬢さんがた?」と声をかけようと思ったのだが、ただでさえ職務質問されるナリだし、異常者に思われること必至なのでやめた。

まぁ、それにしても『ワイルドバンチ』はやっぱり傑作中の傑作だなと改めて思った。当然DVDでしか観てなかったのだが、やっぱりスクリーンで観るのはまるで違う。映画ってスクリーンで観ないとダメだな。それに尽きる。

冒頭、子供がアリの大群の中にサソリを放り込んで嬲り殺すシーンと紳士的に老女を送るワイルドバンチの面々の対比から、「こういうセリフのないモンタージュの連発こそ映画芸術だよなぁ」と、グイグイ引き込まれる。

特にスクリーンで観たことで役者の表情がこれでもかと映され、細かなニュアンスもストレートに伝わる。酒をうまそうに飲み干すことで、仕事の達成感と仲間の一体感を同時にセリフ無しで表現するなど、ペキンパーの繊細な演出手腕が光る。

ガルシアの首』や『ケーブル・ホーグのバラード』同様『ワイルドバンチ』でも女は重要なファクターになっているが、恋愛ではなく、あくまでセックスの相手ということを言い切ってるところが素晴らしい。それにしても何故にペキンパーはここまで肉感的な女性を揃えることが出来るのだろうか?おっぱいは大きく、野性的で、デブではないにしろ、いい具合にぽっちゃりしていて、さいこーだ。一体女の子は痩せてた方がいいって誰が決めつけたのだ!?最初に言い出したマザファカ野郎は誰だ!?

今まで何十回と観て来てるが、今回スクリーンで観たことで初めて、クライマックスで泣いてしまった。各キャラクターにもドラマがちゃんとあって、それぞれの行動に意味があり、それが最後にぜーんぶ結実するのも観てて気持ちがよすぎる。隣で観てた兄ちゃんもグスグス泣いていた。1000円でこの満足感と感動。いやぁ重い腰を上げてよかった。午前十時の映画祭さいこー!こういう企画なら大歓迎だ。あういぇ。

ディレクターズカット ワイルドバンチ スペシャル・エディション [DVD]

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