嬲ることの魅力は描けてるのだが…『隣の家の少女』

隣の家の少女』をUS盤BDで鑑賞した。

原作を読んで、すっかりケッチャムにハマってしまい、猛烈に観たくなったが、当然のごとく新潟ではやらないわけで、DVDレンタルまで待たなければならない。「待ってられるかぁ!」と調べると、アメリカではとっくに公開されてる映画だということを知って、某Twitterアメリカでブルーレイかなんかになってねぇのかなぁ」とボソっと呟いてみたところ、id:tada-woさんに「なってますが、英語字幕がないみたいです」と親切に教えていただいたのである。

さすがに英語字幕が無いのはキツ過ぎるが、予告編を観る限り、原作に忠実っぽかったので、もういてもたってもいられなくなりBDをAmazon.comで購入してしまった。実際安かったし。

んで、観たわけなのだが……正直……び、微妙……

セリフを完璧に理解してないとか別にしても、イマイチ盛り上がりに欠けるだけでなく、衝撃みたいなものも無かった。


原因は一つ。虐待するシーンがすっぽ抜けてるからである。


この物語は思春期の少年たちがババアに扇動されて、同い年くらいの女の子を虐待し、それに少しずつ魅せられていくというのがキモだ(主人公は別にして)。

言えば、虐待というよりも嬲ることの魅力がまずあるわけだ。

実際、この物語で本当に心底酷いことをしているのはババアであって、虐待に加担している子供たちは女の子の裸が見たいとか、おっぱいを触りたいとか、チューしてみたいという願望の延長上で参加しているにすぎない。子供たちにとってみれば、冒頭に出て来る“ゲーム”とやってることは変わらないのである。

その嬲りが、やがて虐待に変わっていって、それに我慢ならなくなった主人公が行動を起こすというのが本来作品で見せなければならない部分だ。

ところが、女の子を裸にするというところは丹念に描いているのに、その先は雰囲気でしか見せてないので、見てる側に「早く助けてやれよ!」みたいな気持ちがあまり湧いて来ないのである。

せめて何をしてるかは映さなくても『スカーフェイス』や『レザボア』みたいにリアクションをじっくり見せるとか、方法はあったはずなのだが、この映画では虐待を始めたところだけ映して、後は横になってぐったりとかそんなのしか出て来ないので、虐待がエスカレートしていくのが、雰囲気でしか伝わって来ないのだ。実際、原作では鬼畜な虐待の嵐が続いて、最後の最後で一番酷いとされる虐待だけは「書けない」と詳細に語ることを無視しているので、それと逆のことを映画ではしているということになる。

正直、キャスティングはかなり良いし、あの時代の田舎の雰囲気はよく出てるし、こういう映画を映像化することの勇気みたいなものは買うが、どうもまだ安全圏で映画を撮ってるなぁというのは否めなかった。コアな客層だけに絞りたくなかったのだろうか、いや、原作ありきの映画化だから、ハナからそういうファンが行くことは承知してるはずなんだがなぁ…

というわけで、実際、こういう映画って観るの無理!って人でも観れるようなライトな作りになってたので、ある意味でおすすめ。

あとUS盤BDは画質がとても良いのは満足なのだが、メニュー画面が無いので、チャプターを選ぶのとかが大変――――というか、選べない作りなので、購入の際にはその辺に注意していただければなぁと思う。あういぇ。

The Girl Next Door Blu-ray (2007)