『スクラップ・ヘブン』鑑賞。
![スクラップ・ヘブン [DVD] スクラップ・ヘブン [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/313T8ND7G1L._SL160_.jpg)
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2006/03/24
- メディア: DVD
- クリック: 52回
- この商品を含むブログ (166件) を見る
これ一言でいうと和製『ファイト・クラブ』で、あの映画は仕事をバリバリこなして、ブランドを消費しても、虚しさしかない主人公が、暴力で支配するということから生きる実感を持っていくって話だけど、『スクラップ・ヘブン』は加瀬亮とオダギリジョーと栗山千明がバスジャックにあうところから始まる。
加瀬亮は刑事なんだけど、乗り合わせた二人を助けてやれなかったことを悔やみ続けていて、それと事務処理みたいな仕事のせいで、生ける屍みたいになってる。そこにバスジャックで一緒だったオダギリジョーがカリスマのごとく現れて、その生き方と考え方に惹かれた加瀬亮が復讐屋と称して、怨んでる相手にいたずら程度の復讐を代行するんだけど、それがどんどんエスカレートしていって、最終的にプロジェクトメイヘムになっていくというお話。
加瀬亮とオダギリジョーと栗山千明という個性がぶつかり合うだけじゃなくて、三石研、森下能幸、田中哲司、山田辰夫、柄本明というベテランが脇をガッチリ固める。近年にしては珍しくアイドル的なイケメンも堀北真希とかのラインの女優も出ない映画らしいキャスティングで、故に小品扱いになったかもしれないが、山椒は小粒でピリリと辛い的なワンパンチがある。
カメラワークがパキっとしてるわりに、抽象的なシーンが多くて、そのせいで若干ファンタジックになってしまったり、タイラーダーデンにあたるオダギリジョーに生活の匂いがあって、それが余計に感じたりと不満もあったが、この日本で、しかも体制側に付いているという主人公でもって、こういうアナーキーな内容の映画を撮ることはいいことだと思う。和製『ファイト・クラブ』と書いたものの、あまりそれを意識するとヌルい映画だと感じるかもしれないが、これ日本が舞台ですから!だからこれが限界ですから!拳銃とかあの辺も。
というわけで、ぼくとしてはかなり応援したい好きな映画。『ファイト・クラブ』が好きな人はもちろん必見だと思う。あういぇ。