正体がバレたヒーローのその後『アイアンマン2』

アイアンマン2』鑑賞。結構人が入っていて驚いた。アメコミ映画は当たらないんじゃないのかよ……

功夫さん(id:samurai_kung_fu)も書かれていたが、『アイアンマン』がおもしろいのは、全世界にその正体がバレているというところだと思う。

特に前作は手作りのパワードスーツを使って、拉致された場所から脱出し、さらに改良して、悪と戦うという一通りの筋書きを描き切ってしまったがために、続編でキモになるのは、「正体がバレてしまったヒーローのその後」をいかにして描くかだと思っていた。

まず『アイアンマン2』はそのへんのポイントをしっかり抑えてくれている。

特にトニー・スタークの登場シーンはすごい。度肝抜かれる。「あのヒーローのその後」を描くのに、こんなに適した演出はないだろう。その後に国家の人間を相手にするシーンが出て来るのだが、ここでもキャラクタースタディを忘れていない。続編の出だしとしてはパーフェクトだ。

さて、本筋だが、正体がバレているので、物語のパターンは無限に作れたはずだ。常に命を狙われるような緊迫感のある話にも出来るし、グウィネス・パルトローが狙われたりだとか、それこそ、この生活に慣れなくて、暴走して、世間から嫌われたりだとか、いろんなアイデアが出た事は想像に難しくない。

ところが『アイアンマン2』は、あまりに物語を考え過ぎたのか「もうここまで来たら、いろんな役者とか、他につながるキャラクターたくさん出して、ワーワー騒いで、最後に大バトルを入れればよくね?」という感じで、かなり大味な作品になっていた。一応トニー・スタークにある問題点が発生して、それが原因で物語は転がって行くんだけど、正直、かなり大雑把である。特に中盤サミュエル・L・ジャクソンが出て来てからは、トニー・スタークの周りでは何が起こってたのかさっぱり分からないし、ルールもかなり曖昧になっていたために、頭の中に「?」が山ほど点灯した。

ただ、この大雑把なお祭り感みたいなものが、やっぱりトニー・スタークには合ってるんじゃないかなぁと素直に感じたのも事実で、ハッキリ言えばすごく楽しい映画だった。

今回はそのお祭り感を出すための役者が全員良い。第二のトニー・スタークを目指すサム・ロックウェルや復讐に燃える謎の男ミッキー・ローク、そして新たなエロヒロイン、スカーレット・ヨハンソン、前作の最後に出て来たアイパッチのサミュエル・L・ジャクソンドン・チードルと、それぞれトニー・スタークに負けないくらいの粒立ちがあって、彼らのアンサンブルを見てるだけでも飽きなかった。

最後の最後には時代劇のような大殺陣シーンもあり、新しいガジェットもありで、前作のようにパワードスーツが大活躍するというのはかなり無くなったが、なんだかんだ言っても良かった。やはりビールを飲みながら、タテノリのリズムで大騒ぎして見るのが正しい鑑賞法なのだと思う。是非、スクリーンで!あういぇ。