『千と千尋』のDVDが赤い理由

日曜の昼間ということで、小ネタを一つ。

千と千尋の神隠し (通常版) [DVD]

千と千尋の神隠し (通常版) [DVD]

千と千尋の神隠し』はソープで働く女の子の話だ!

――――というのは映画評論家の町山智浩さんが指摘したりして、さらにブログでも性風俗と国民的アニメを結びつけるなんて!と怒った宮崎ファンはもういちど『プレミア』の監督インタビューを読むべきだろう。」なんて書いてたんで、昔このブログを読んだ後に、そう言えば、「風俗産業がどうとか言ってたなぁ」と思って、プレミアを読み返そうと探したんだけど、何処にもそんな記事見当たらないんだよね。

ブログには2001年6月21日号のインタビューって書いてあって、さらにウィキペディアにもそうやって書いてあったから、一生懸命6月号の中を探したんだけど、ないのよ。

あれ?と思って、全部のプレミア引っ張り出したら、載ってたのは9月号だった。ただ、ウィキペディアに記述されてる内容は9月号に書いてなかったりして、もしかしたら、別な『プレミア日本版』が出てたのかもしれません。

まぁ、それはさておき「『千と千尋の神隠し』は性風俗で働く女の話なの!!」と宮崎駿が主張しているロングインタビュー読んでみたいって思った方は是非ブックオフでプレミアの2001年9月号を探してみてください。山ほど置かれてるんで、何軒かまわればゲット出来ると思います。

表紙はこんな感じ。

いやぁ、今日、その時のインタビュー記事を引っ張り出して今更読んだら、すげぇおもしろいの!


インタビューでの発言を引用すると「分析は勝手にやってください」とか「ぼくは何も風刺のために映画を作ろうとは思ってないですよ」とか「私もあのような環境に置かれたら、自分はどういうふうに生きることができるんだろうっていう思いでみてくれたらいい」という感じで、ホントに発言通り「好きに観客が解釈してください」っていうスタンスでインタビューに応じてるんだけど、話が「お風呂屋さんに名もなき日本の神々が体を休めにやってくる」というところに及ぶと、どういう映画だったかというのを、バシッと言ってしまっている。以下、同インタビューからの発言。

「ぼくが子供の頃には、新宿にだって文字通り赤いランタンがともってるような街がありましたからね。意図的にそういうものをというより、ちょっと古くて、いつの間にかみんな忘れてしまっている盛り場を描いてるんです。もともと日本は、性に対してあっけらかんとしたものでしたから。ヨーロッパ人から、なんて貞操観念がないんだと呆れられて性道徳を押し付けられるまではね。何もそれを復活しようと言ってるわけじゃないんですが、いまの世界として描くには何がいちばんふさわしいかといえば、それは風俗営業だと思うんですよ。日本はすべて風俗営業みたいな社会になってるじゃないですか。いま女性たちは、売春窟に似合いそうな人がものすごく増えてる国なんじゃないかと思いますね。男はといえば、目の前を通る偉い人もそうでない人も似合いもしない背広着て歩いていると、みんなカエルに見えたんですね。立派に見える人なんて一人もいないもはやカエル男とナメクジ女の国ですよ。映画の中では結局それなりに描いていますけど(笑)」――――一部中略


これに対して、記事内での聞き手のコメントは「なんだかスゴイことになっている」これだけ(笑)

ただ、このインタビューがおもしろいのは、宮崎駿の話を聞いて『千と千尋』はどういう映画か?っていう結論を出してるってことなんだよね。

「宮崎アニメ版『ふしぎの国のアリス』とは、風俗営業化してしまったような世の中に、なんの準備もなしに放りだされた少女が、自分の存在を保つために懸命に働き、いつキレるとも知れない人間の欲望に囲まれながら、それでも生きていくために前進するしかないんだよ、というお話に思えて来た」

DVDが発売された時に「色調が赤い」ってことで問題になったけど、あれってもしかしたら意図的に赤い色にしてるんじゃねぇの?それで、ハナから「これは女の子が性風俗で働く話ですよー」っていうのを潜在意識の中に刷り込もうとしたんだよ、きっと。

記事内引用元 ― プレミア日本版 NO.41 SEPTEMBER 2001