死体!死体!死体!『D-TOX』

DVDで『D-TOX』鑑賞。

古泉智浩さん経由で知り合ってお世話になってるMさんにおすすめされた映画で、Mさんは会う度にいろいろおすすめDVDを持って来てくれるんですけど、そのチョイスが他の人とまったく被らなくておもしろいんですよ。ホントに知らない映画ばっかりでそれをNO情報で観るからとても楽しいんですね。

いわゆる傑作中の傑作という感じの映画ではないんですが、気軽に楽しむのにちょうどいい映画ばかりを取り揃えてくれて、しかも時間も90分くらいでいいんですよ。んで、今回おすすめされた『D-TOX』もそういう感じの映画だったんですが、個人的にはツボにドンピシャで、クソ暑い夏にクーラーの効いた部屋でビール飲みながら観るには最適の映画でした。

監督は『ラストサマー』の人で主演がスタローンだったんですね。しかもロバート・パトリックトム・ベレンジャーという個性派が脇を固めてます。なのにもかかわらずまったく知らなかった。それもそのはずで本国アメリカではお蔵入り。一応限定という形で上映されてからすぐにDVDリリースといういわくつきの作品だったらしいです。まぁ、これもMさんの受け売りなんですけど。

話はスタローンが連続殺人事件を追うところから始まります。

スタローンはFBIで、なんとその連続殺人事件の被害者が全員警官。スタローンは仲間が次々殺されて行くことに憤りを感じてるんですが、ある日、その犯人に恋人を狙われて、残酷に殺されてしまうんですね。んで、それのせいで、彼はアル中になって、廃人同然の生活を送ることになります。

見かねた同僚が、スタローンをD-TOXという警官専用療養施設に送り込むことを決意して、スタローンも同意することになります。このD-TOXという施設が極寒の地にあって、一歩出ると凍死。さらにその施設は刑務所のような作りになっていて、収容されている警官は一癖も二癖もあるヤツらばかり。

んで、このD-TOX内で再び殺人事件が起こるんですが、猛吹雪のせいで外には出られず外部との連絡が取れなくなり、彼らは疑心暗鬼に陥る……というのが作品の概要。

まぁ、簡単に書くと、エイリアンの出て来ない『遊星からの物体X』というわけです。

ハッキリ言ってしまうと前半も後半もどっかで観たことあるような設定で、犯人も意外性があるわけではなく、あっさりとスタローンがバラしてしまって、そこでのサスペンスは一切ないです。

じゃあ、何がおもしろかったかというと、死体の描写。この映画、なんと、残酷に殺された後の死体を執拗にしかもスタイリッシュに延々写し続けるんですよ。

多分『羊たちの沈黙』あたりから始まったスタイルだと思うんですが、岩井俊二も『スワロウテイル』で取り入れたりして、これらの映画では一瞬だけパッと写して、登場人物と同じような気持ちにさせる効果があるんですよね。思わずチラッと見てしまって凝視出来ないんだけど、その瞬間が脳裏に焼き付いてるみたいな。それをとてつもなく短いショットでやるわけですが、『D-TOX』では、死体を調べて調べて調べまくるというのが設定にあるのでまぁ容赦無い。

一番うげぇって思ったのが、死体のまぶたをスタローンがめくるところ。あれは作り物と分かっていても、鳥肌が立ちまくりで、まともに見てられませんでした。

どっかで観たことある設定と書きましたが、後半の展開はジェットコースターのようで、最後の40分くらいは目が離せないくらいのスピードで駆け抜けて行きます。これまで散々むごたらしい殺し方をしてきた犯人にスタローンが制裁を加えるわけですが、まぁ、この制裁の仕方がハンパ無く、このシーンはかなり見応えがあると思います。前半でスタローンがなかなか繊細な演技を披露してるんですが、それを忘れさせるくらい強烈な展開です。

というわけで、極寒の地が舞台ということもあって、個人的にはこの夏におすすめしたい映画です。もちろんあまり身構えずに軽い気持ちで観てください。あういぇ。