オチが分かっている“ショートカッツ”『TSUNAMI-ツナミ-』

TSUNAMI-ツナミ-』鑑賞。

すさまじく傑作!ぶっちゃけ夜中の三時まで遊びほうけており、無理矢理起きて朝一の回を観たから寝てしまうかもしれないと危惧してたんだけど、まったくそんなことなく思わず声出るくらいすごかった。

映画はリゾート地開発によって、つぶされようとしている小さな港町が舞台。主人公は飲んだくれてばっかりいる漁師のマンシク。彼は過去に遠洋漁業で大津波に遭遇し、ある一人の男を死なせてしまっていた。その男の娘であるヨニとの付かず離れずの恋愛模様を軸に、救助隊員をしているマンシクの弟、さらに地震の研究をしすぎて妻と別れてしまったキムのストーリーが平行し、各キャラクターがそれぞれのシーンですれ違っていく。

TSUNAMI』というタイトルで90分の映画だが、実のところこの人間ドラマの部分は1時間ほどあって、しかもそれが映画的な誇張があまりされてない日常の延長線上にある出来事ばかりでリアリティがあり、これと言った見せ場もないのにすごく引き込まれる。各キャラクターはそれぞれに確執があり、とある人はケンカ別れをし、とある人は面接に行けと急かす母親を罵倒し、とある人は娘とのことで元妻と言い争い、とある人は悪い男の策略によって女とすれ違う。映画はそれぞれが大切な人に伝えたかったことを残して、クライマックスの津波のパートに向かう。

ハッキリいうとこの映画は端からオチが分かっている短めの『ショート・カッツ』である。災害映画としての魅力はもちろんのこと、“人生はクソみたいに予測が付かない”ということをよく描いており、それがクライマックスで数々の感動を呼ぶ。回収し切れてない伏線も革靴一個で表現するなど細かい気配りもしっかり出来ている。

もちろん目玉であるメガ津波のシーンはやはりすごい。それ以外でも川になって死体がどんどん流れていったり、爆発した○○○○から○○○○がドカドカ降って来て人がつぶされたり、むき出しになった○○○○が洪水になった道路にぶっ倒れて人が感電死したり、水族館の水槽が破裂したり、地震に驚いた鳥が猛スピードで車のフロントガラスにつっこんできたり、蜘蛛の糸のように救助ヘリに群がる人を執拗に写したりなど、阿鼻叫喚描写にもぬかりない。

というわけで、この『TSUNAMI』大変おすすめなんですが、あの頭の悪い宣伝はなんとかした方が良い。それからぼくは超日本語吹替版というので観たのだけれど、エンディングがAKBでものすごく萎えた。そこまでしないと韓流スターが出てない韓国映画って当たらないのだろうか……とにかく観ようかなと迷ってる方はすぐに劇場へ走るのだ!あういぇ。


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あとこれ↑によると、『TSUNAMI』の宣伝が決まっていた番組で、おすぎが関係ないところで勢い余って「ゴミよ!」と言い放ってしまったらしい……これ聞きたかったなぁ。