“消耗品”はひとりよりも大勢がいいぜ!『エクスペンダブルズ』

『エクスペンダブルズ』鑑賞。スタローン監督の最新作。

冒頭、放った銃弾で人間の上半身がふっ飛ぶという描写から映画はノンストップで知能指数ゼロの世界へ!

とにかく爆破!カーチェイス!殴り合い!のループ&ループ!これ以上この映画を説明するのに必要な言葉がいるだろうか。「一人よりも大勢がいいぜ!」とトータス松本は歌っていたが、あの歌はこのためにあったのだ、「一人よりも大勢がいいぜ! 泣くよりも笑えばいいぜ!」

アクションだけでお腹いっぱいになってしまうがそれだけではない。この映画にはかつての大スター達が一堂に会すという特盛りのサービス付きなのである。アクションシーンでしっかりと見せ場を作っておいて、説明的なシーンでは大スターを共演させて画面を盛り上げるので、ホントに特定の人間にとってはダレるシーンがひとつもないのだ。

特にスタローンとステイサムとジェット・リー三者三様に魅せるアクションは、それぞれ力とキレ味と技を活かしてまったく違うコレオグラフになってるのも注目である。

確かに欠点はある。各キャラクターを活かしたアクションは素晴らしいのにかなりカット割が細かくなっているのはいただけない。何が起こってるのか分からないところもしばしばであった。混沌とした戦場を表現するのは分かるのだが、コリー・ユエンまでまねいてジェット・リーのアクションを振り付けたのに、これをぶった切ってしまったのは惜しい以外の何者でもない。プロットでも最初からあの女があの島から出れば何の問題もなかったのに…とかいろいろつっかかってしまうところもある。

だが、この映画にはそれを補って余りある魅力に満ちあふれているのも事実。

ジェット・リードルフ・ラングレンが戦ってるところをスタローンが割って入るとか、ミッキー・ロークジェイソン・ステイサムがナイフの投げ合いするとか、スタローンとシュワ知事とブルース・ウィリスが同じ画面でくっちゃべるとか、それだけで興奮するだろがい!

かつて活躍した大スターが老いを感じながらも、この時代にCGを極力使わず、再び自分のフィールドで勝負するという意味では現代版『昼下りの決斗』だと思った。もちろんスクリーンでイエー!とか心の中で叫びながら観るのがおすすめなんだけど、個人的には日曜洋画劇場で淀川さんの解説付きで観たかった!うーん、やらしいね、筋肉ですね、まったく歳とらないね、いいからだしてるね、こんど一緒にお風呂入りましょうね。あういぇ。