輝け!喫煙映画大賞『ロング・グッドバイ』編

Twitter上でこのようなサイトが話題になりまして。

日本禁煙学会 無煙映画大賞

まぁ、要約するとタバコを吸うシーンが出て来る映画なんて死ね!ファック!ということらしいです。故にタバコを吸わない映画に賞を与えてるという。良い言い方をすれば斬新な映画賞という感じでしょうか。

文章を読む限り、ネタにもしてないというか、ちょっと病的な何かを感じます。むしろ、これ選出してる人が禁煙中で、タバコを吸うシーンを見るたびに「あー!!!吸いてぇ!!!バカヤロー!吸うシーンなんて出すんじゃねぇよ!このタコ!」ってイライラしてたんじゃないかと勘ぐってしまうほどです。

ぼくは嫌煙家ですが、別に映画の中でタバコ吸おうがそれでイライラなんて絶対にしません。むしろタバコうまそうだなぁと思うほどです。だからって吸おうとも思いません。それが映画のマジックです。というか映画の中では何したってかまわないんですよ。立ちバックだろうが、駅弁だろうが、顔射だろうが、なんだってしてくれ!!

というわけで、今日はタバコを吸いまくる映画。喫煙映画大賞と題して、とある映画を紹介したいと思います。ロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』です。

言わずと知れたチャンドラー原作のマーロウものです。鬼才アルトマンが監督してるとあって、既存のハードボイルドからは逸脱しており、最終的に『第三の男』のリメイクへと変貌しますが、今日の評価では最もマーロウらしさが描けてるとのことです。ヴィルモス・ジグモンドの撮影が神がかっており、映像も音楽もエリオット・グールドの演技も含め、かなり大人なムードが漂います。ご他聞に漏れず、わたくしもこの映画はオールタイムベストの一本としてこのブログでも『ビッグ・リボウスキ』と比較して感想書いたりしております。原作も死ぬほど好きだったりします。

『ビッグ・リボウスキ』の中にあるチャンドラー魂 - くりごはんが嫌い

今回は無煙映画大賞にならって、喫煙してるシーンを数えてみました。

映画スタートから1分30秒:朝の三時、寝てるところを腹が減った猫に起こされて、寝起きで一本。

6分30秒:猫のエサを買いにスーパーへ、入るなり一本。しかし店の中で吸えたのか、どんな時代だ。

8分12秒:スーパーの帰りにアパートのエレベーターで一本。

10分8秒:猫のエサを用意した後に「一服させてくれ」と一本。

12分28秒:親友テリー・レノックスが家にやってきて一本。

13分12秒:テリーを送り届けて一本。

16分28秒:テリーはどこだと警察に家宅捜索されながら一本。

20分11秒:取調室に連れて来られ、尋問されながらタバコを吸おうとするが、吸わせてもらえず。テリーが妻殺しの容疑者だと知る。

25分10秒:三日間の拘留のあと、テリーが自殺したと聞かされ釈放。車の中で一本。

26分15秒:店に入るなり一本。

26分43秒:吸ってたタバコを灰皿に押し付け、さらに一本。

28分43秒:依頼主の元へ向かう途中で一本。

35分13秒:失踪した作家ロジャー・ウェードを探して欲しいと依頼をうけ、病院へ。そこで一本。

38分12秒:病院にいるはずだと依頼主に伝えるため家へ、そこで一本。

41分45秒:病院内でロジャー発見、そこで一本。

42分50秒:ロジャーを家に連れて帰るところで一本。

45分30秒:家に帰って来て一本。

49分10秒:家に帰ってきたらギャングに襲われる。テリーがメキシコに運ぶはずだった金35万ドルが消えたと言われ、部屋を引っ掻き回される。そこで一本。

56分28秒:ギャングたち諦めて帰る。即座に後をつけるマーロウ。そこで一本。

57分35秒:ギャングたちが帰りに寄った場所はなんとロジャーの家だった!?「どういうことだ……」と神妙な面持ちでタバコに火を付けるマーロウ。ここセリフが一切ないけど、映像だけですべてが伝わる、すげぇ良いシーン。

58分04秒:翌日、出かける前に一本。

1時間33秒:ロジャーの家について、一本。

1時間7分3秒:タバコを落すが、その後浜辺に移動し一本。さらにその三十秒後一本。

1時間10分30秒:タバコに火を付けようとするがマッチが付かない。カメラはパンして浜辺を映すが、その間もう一本マッチを取ろうとしているので、一本とカウント。

1時間10分50秒:死んだはずのテリーから手紙が届く、そこで一本。

1時間12分6秒:深夜バスに乗り、メキシコへ。そこで一本。

1時間13分55秒:翌日地元の警察で一本。

1時間14分58秒:テリーの死を改めて確認、その後ロジャーの家へ。そこで一本。

1時間21分49秒:ロジャー家。夜、奥さんと一緒にメシを喰らう、そこで一本。

1時間30分42秒:ロジャー海へ入水自殺。テリーと友人だと話していたウェード夫人にギャングが行ったことを知っているんだぞと脅し、事件の全貌が明らかになり始める。それをギャングに伝えに行く。そこで一本。

1時間37分09秒:ギャングの部屋でやはり疑われるが、テリーが盗んだと思われる金が返って来る。部屋を出る時に一本。

1時間40分30秒:ウェード夫人を路上で見つける。追いかけたら車に轢かれてしまい救急車で病院へ。目覚めて一本。

1時間41分24秒:ロジャー家へ。登場と同時に一本。なんとウェード夫人は家を売っぱらって何処かへ姿を消していた。

1時間43分02秒:訳が分からず家へ帰る。そこで一本。

1時間44分11秒:意を決したようにメキシコへ。当然のごとく一本。

1時間44分33秒:再びメキシコ警察へ。そこでも一本。

1時間46分40秒:真実を知ったマーロウ、とある場所へ。そこではなんと2本も吸う。

1時間50分04秒:「ギムレットにはまだ早い」という原作で最も有名なセリフは出て来ないが、事件の全貌がすべて明らかになり、マーロウがポケットから取り出したのは……なんとタバコではなくハーモニカだった………完。

映画の中で吸う本数は38本。約3分に1本吸ってる計算になります。なかなかの本数だと思いますが、もしかしたら『コンスタンティン』や『コーヒー&シガレッツ』、『スモーク』ではもっと吸ってるかもしれません。それはいずれやります。愛煙家のみなさんタバコの吸い過ぎには注意しましょうね。あういぇ。

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