『ドリームキャッチャー』をレンタルDVDにて鑑賞。
スティーブン・キング自身が「私のホラー小説の映像化された中で、本作は最高の出来だ」と言ってる通り、見事なバランスで成り立っているホラー映画の傑作!
正直、何の情報も入れずに観たので、コロコロ変わる展開に驚いた。最初は『スタンド・バイ・ミー』的な不可思議な青春グラフィティで、中盤から彼らは『シャイニング』のような雪深い場所で特殊能力を持ってるということが誇示され、そこから後半は『ミスト』的なスケールでもってトンでもない展開になりド肝を抜かれっぱなし。さらにそれらの時間軸がバラバラになり、過去のシークエンスがふんだんにフラッシュバックという形で取り込まれるため、最後の最後まで『スタンド・バイ・ミー』的な不思議な爽やかさを残しているのであった。
観終わった後にウィキペディアで調べたら、スティーブン・キングの様々な作品の要素を取り込んだ小説になっていると書いてあった。ぼくは彼の小説は一冊も読んでないのだが、映画化されたものはかなり観ていたので、そのような印象を持ったのだが、なるほど納得である。それにしても雪深い場所がキングさんはお好きなのね。
この手の作品ではランタイムは二時間越えと長めだが、映画の前半と中盤と後半で映画の表情はコロコロと変わっていくので、最低限この長さが必要不可欠でもある。DVDの特典には未公開シーンがあったが、恐らく編集でかなり削ったのだろう。香港映画のようにストンと終わってしまう結末も含めて、二時間越えにもかかわらずタイトな作りになっている。そしてそれぞれのパートがしっかりと作られているために、まったくダレることはなく、さらに情報と伏線が少しずつしか提示されないため、映画を観終わった後に、それらを全部頭っからもう一度確認したくなってしまうくらいよく出来ている。
特にすさまじかったのは中盤のトイレでのワンシーン。原作者のキング自身が「このシーンをやりたいがためにこの小説を書いた」と語ってるように、絶妙な恐怖感と緊迫感で、それを見事に映像化したスタッフとキャストには拍手を送りたい。トイレという限定された狭苦しい場所での激闘が、後にビッグバジェット作品のようにスケールアップしていくわけだが、最終的にトイレでの激闘と似たような狭苦しい場所が再びクライマックスでやってくるので、またそこで異様な緊迫感に包まれるあたりもうまい。
役者はモーガン・フリーマンやトム・サイズモアと言ったベテランどころが名を連ねているが、彼らは申し訳程度しか出ておらず、基本的に主要のキャストはスターどころではない。トーマス・ジェーンが実質の主役だが、彼はその後『ミスト』にも出てると思うと感慨深い。
というわけで、あらすじが素晴らしいためにとても抽象的になってしまったが、もし興味があるならば是非何の情報も入れずに見ることをおすすめしたい。ちなみにこの作品をウィキペディアで検索すると思いっきりネタバレが書いてあるので、注意すべし!あういぇ。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2009/11/18
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