晴天のグランギニョール『ピラニア3D』

念願叶ってようやく『ピラニア3D』をUS盤BDで観ることができた。届くのに二週間以上かかった。

舞台はアメリカのビクトリア湖。誰も知らない程度の地震が湖のド真ん中で起き、割れた地表の中から太古の昔に生きていた肉食ピラニアが出現。時を同じくして、ウェットTシャツコンテストで盛り上がる地元民たち。なんとそこにピラニアが襲いかかって来てさあ大変というのがあらすじ。

噂にはいろいろ聞いていて、やれおっぱいが出まくるとか、やれピラニアに喰い殺されまくるだけとか、やれ後半の人体破壊がすごいとか聞いていたのだが、ずばりその通りだった!むしろそれしかない!それしかこの映画を形容することが出来ない!とにかくこの映画、前半50分におっぱい!後半25分に一大グランギニョール!そして最後5分に申し訳程度のクライマックス!とそれしかない!すごい!すごすぎる!なんて潔い映画なんだ!

映画のキモとなるピラニア襲撃シーンはほとんどCGでクリエイトされており、水中の映像もまるまる作りこみ、そこに実写映像を組み合わせることで自由自在なアングルからものすごい早さで泳ぐピラニアを出現させることが可能になった。そこにやるときゃやるよと言わんばかりに多種多様のあらゆる人体破壊描写がぶち込まれ、おっぱいとグロ描写(あと大バカなアメリカ人)しかいらないという人にとっては至福の80分。

さらに特殊メイクをこれでもかとふんだんに投入し、湖に打ち上げられた死屍累々の山をロングテイクで映した映像は、かの『プライベート・ライアン』に並ぶ最高のスプラッターシーンと断言してもいいだろう。全員が水着で半裸の中、激しく飛び散る血しぶきと首と手足が画面を覆い尽くす!こんなアホな映画に結構なバジェットが組まれたことも素晴らしい!おっぱいが喰われりゃシリコンがプカプカ浮いたり、ちんこが喰われりゃ、ちぎられたちんこがゆらゆらと水面を漂い、ボートのスクリューに髪の毛が挟まったらそのまま顔面の皮がベローンとめくれたりするなどの意外性もあり、それらがぜーんぶCGで描かれているという無駄な金の使い方も本当に素晴らし過ぎる!

監督は『ヒルズ・ハブ・アイズ』のアレクサンドル・アジャ。メイキングで80年代のB級映画を意識した(みたいなことを言ってた気がする)と言っていたが、それも納得。キャストはエリザベス・シュークリストファー・ロイド、さらにリチャード・ドレイファスなどいわゆる「わかってる」キャスティングである。

近年名作ホラーのリメイクが量産されているが、これは良作の部類。もちろん傑作ではないが、太陽がさんさんと照りつける中、人が虫けらのようにバンバン死んでいく楽しい映画。新世代のグランギニョールとして圧倒的におすすめ――――つっても観るのがかなり困難だけど。あういぇ。